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醜く危ない国になる
〜教育基本法改悪〜

日刊ゲンダイ

掲載:2006年11月17日


─ Dailymail Businessより ───────
■ 民主党の審議拒否は正しい
■ 自民公明の与党はなぜこれほどの改悪を強行採決したのか
■ 与党内には反対者はいないのか
■ 改悪阻止のため議員総辞職も必要
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この「改悪」でこれからこの国がどうなっていくか承知の上なのか

国民が要求している景気雇用対策を全く無視して必要もない危険な法律改悪に血道をあげている安倍政権を解散総選挙に追い込み一気に政権交代でこの国の民主主義を守れという声
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「機は熟した。やってくれ」――安倍首相のゴーサインで、この国は危険な一歩を踏み出した。教育基本法の改悪法案が、きのう(15日)の衆院特別委員会で可決したのだ。自公与党は「十分な審議を尽くした」(塩崎官房長官)などと単独採決を正当化。一方、委員会を欠席した民主党など野党は、参院でも審議拒否を続ける構えだ。

 特別委筆頭理事の町村前外相は「野党の主張通りに審議を進めてきた。『強行採決』という見出しをつけないように」と記者にクギを刺していたから、よほど後ろめたいのだろう。与野党のどちらが正しいか、これでハッキリした。

 そもそも、きのう午前に開かれた中央公聴会では、意見陳述した有識者5人のうち3人が改悪に反対している。早大教授の西原博史氏(憲法)は「子どもに(愛国心という)特定の価値観を強制することになる。多様な価値観を否定することは民主主義の否定です」とまで言い切っていた。

 これより以前、9日の特別委で行われた参考人質疑でも、国際基督教大教授の藤田英典氏(教育社会学)はこう話していたものだ。

「現行の教育基本法を変える必要があるかといえば、それはまったくないと考えています。教育にかかわる諸問題、イジメ自殺、未履修問題など、どれを取り上げても教育基本法のせいで起きているわけではなく、教育基本法を変えても解決されないと思います」

 藤田氏は、法案の問題点について
(1)こういう国民になれという国民命令規範への変質
(2)政治・行政による不当な支配
(3)教育の格差化・差別化とその正当化
――の3つの危険性を指摘していた。それなのに与党は馬耳東風で、国民に悪法を押しつけようとしている。

▼ 反民主主義法案をカネで買う安倍政権 ▼

 改悪法案をゴリ押しするために政府・与党がやってきたことは犯罪的だ。

 政府主催の教育改革タウンミーティングでは、「耐震偽装」ならぬ「質問偽装」をはたらいていたことが発覚。“やらせ質問者”の65人に5000円ずつ謝礼を払っていたというから、インチキにわれわれの血税を使っていたことになる。

 塩崎官房長官は苦し紛れに「発言してもらう役割をお願いしているわけで、『講師謝礼』があるのと同じ」なんて言い訳していたが、何が講師謝礼だ。法案をカネで買おうとしただけである。

 それだけじゃない。

 自民党の山本拓農水副大臣が、特別委の委員である国民新党の糸川正晃衆院議員に対して採決の協力を求め、見返りに自民党入党を持ちかけていたことも発覚した。「山本副大臣は『国民新党だったら選挙も厳しいだろ。ちゃんと処遇するから』なんて誘ったそうです」(政界事情通)

 弱みにつけ込んで意見を曲げさせようなんて、子供の教育上よろしくない。

九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)が言う。

「安倍首相は、教育基本法改正を最優先課題と位置付けています。悲願の改憲の一里塚ですから、一歩も引くわけにはいかない。党内基盤を強化するためにも臨時国会で一気に成立させようと躍起になっているのでしょうが、政府・与党の横暴ぶりは目に余ります。とても民主主義国家とは思えない。安倍首相が目指している国家主義的な教育体制、政治体制を暗示するかのようです」

 与党内でも「強引すぎる」と不満がくすぶっているらしいが、「官邸独裁で誰も声を上げられない」(自民党関係者)。

 教育基本法改悪の向こうから、軍靴の音が聞こえてきている。

▼ 野党議員は改悪ストップに退路を断て ▼

 この国がおかしな方向に進んでいく前に、野党議員は体を張って危険な改悪阻止に全力投入してもらいたい。 政治評論家の本澤二郎氏が言う。

 「教育基本法がどんな危ない法案に変えられようっとしているのか、大半の国民はちゃんとわかっていません。危険性を理解してもらうためには、野党議員の一人一人がすべての審議を拒否して選挙区に帰り、該当や集会で訴えることえす。国会の中だけで騒いでいるのではなく、日本中の国民が立ち上がる運動に昇華させなければダメ。普通にやっていてもかす数の力に負けてしまうと言うのなら、すべての野党議員が辞職すればよい。解散・総選挙をやらざるを得ない状況追い込むのです」

 職を賭してまで反対すれば、国民は否が応でも注目する。退路を断つのだから、パフォーマンスと批判される恐れもない。時計の針を逆戻りさせないために、思う存分、闘ってもらいたい。それくらいの覚悟で阻止しないと、この国は本当に「醜い危ない国」になってしまう。

 衆院には民社共で129人の議員がいる。すべて補選で終わらせようとすれば、ヒツジのような日本国民もさすがに黙っちゃいないだろう。

 戦前のような自由のない社会を望んでいる日なんていないのだ。

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