高精度なWECPNLコンターが得られる画期的な航空機騒音再現・予測手法

増便、機種追加、フライトスケジュール変更、滑走路延長に対応

初出: ERI Technical Bulletin Release, September 1998

航空機騒音高度シミュレーション手法
その2:航空機位置追跡システム開発編−
その1 理論とモデル構築・手法開発編
その3 新潟空港における具体的事例編
調査業務実績

プロファイル(飛行経路)の測定

  本内容の著作権は筆者と株式会社環境総合研究所にあります。複製、転載することを禁じます。

本手法は、新潟空港(新潟県)、福島空港(福島県)、花巻空港(岩手県)、庄内空港(山形県)
など関連する自治体からの空港周辺騒音調査業務のなかで使っております。

4 航空機プロファイルの測定原理

 本手法による現状および将来のWECPNL推計を行うためには、飛行経路(プロファイル)の実測が不可欠である。ここでは、環境総合研究所が開発したプロファイル測定手法の原理を示す。

 この測定手法では、2つ以上の調査地点から航空機の見える「方位」(真北を0度とする)および水平面に対する「仰角」(水平を0度とする)を単位時間(例:1秒)毎にコンピュータで記録し、測定後の解析によって、飛行経路を3次元座標データとして再現する。(図1−10)

 このために環境総合研究所では、方位および仰角を単位時間ごとに記録する装置を開発した(図1−11)。この装置は、2つのロータリーエンコーダ(角度の変化を電子的にカウントする装置)によって航空機の見える「方位」および「仰角」(0.25度単位)を読みとり、小型コンピュータに1msec単位の時刻とともに記録することができる。測定の再にはこの装置に付属している低倍率望遠鏡を用いて、航空機の見える方向を手動で追跡することにより、確実な追跡、記録精度を確保している。

 また、本手法では最低2地点における記録を必要とするが、航空機の離発着方向は風向によって異なるので、実際の調査では滑走路の延長方向に各1地点、どちら側に離陸・着陸しても見える位置に1地点の、合計3地点を調査地点とする必要がある。

図1−10 プロファイルの記録・再現手法


図1−11 航空機飛行経路記録装置

@ 実測調査

 図1−12に示すように、調査地点から調査時刻および航空機の見える方位と仰角を100分の1度の単位で1msec単位の時刻とともに記録する。表1−2に、同一の便に対する2地点における記録結果の例を示す。

図1−12 プロファイルの測定 


表1−2 記録結果(例)
記録日時 単位:度 記録日時 単位:度
調査地点1 調査地点2 調査地点1 調査地点2
方位 仰角 方位 仰角 方位 仰角 方位 仰角
: : : : : 11:39:33 180.00 6.75 92.25 15.75
11:39:20 171.00 6.75 51.75 18.00 11:39:34 182.25 6.75 94.50 20.25
11:39:21 171.00 6.75 56.25 13.50 11:39:35 184.50 6.75 101.25 20.25
11:39:22 173.25 6.75 56.25 13.50 11:39:36 184.50 6.75 103.50 20.25
11:39:23 173.25 6.75 60.75 15.75 11:39:37 184.50 6.75 108.00 20.25
11:39:24 175.50 6.75 65.25 18.00 11:39:38 184.50 6.75 112.50 22.50
11:39:25 175.50 6.75 69.75 20.25 11:39:39 186.75 6.75 114.75 22.50
11:39:26 175.50 6.75 72.00 20.25 11:39:40 186.75 6.75 119.25 22.50
11:39:27 175.50 6.75 74.25 20.25 11:39:41 186.75 6.75 121.50 22.50
11:39:28 177.75 6.75 78.75 20.25 11:39:42 186.75 6.75 123.75 20.25
11:39:29 177.75 6.75 78.75 20.25 11:39:43 186.75 6.75 123.75 20.25
11:39:30 177.75 6.75 83.25 20.25 11:39:44 186.75 6.75 130.50 15.75
11:39:31 180.00 6.75 85.50 20.25 11:39:45 186.75 6.75 132.75 15.75
11:39:32 180.00 6.75 90.00 20.25 11:39:46 186.75 6.75 135.00 13.50
11:39:47 186.75 6.75 135.00 13.50
: : : : :

A トラック(平面上の飛行経路)の算出(実測調査後)

 @で行った実測調査の記録結果を用いて、図1−13に示すように、2つの調査地点から航空機の見えた方位の交わる点を同一時刻の記録結果に対して算出する。この交点を結んだものをがトラック(平面上の飛行経路)である。(1msec単位の時刻の記録を用いるため、実際の交点の間隔は図1−13に示したものより細かい。)

図1−13 平面上にトラックを算出

B 高度の算出(実測調査後)

 Aで算出したトラック上の各位置から測定地点までの距離と、対応する時刻に記録された仰角から、式1-7によって1秒毎の航空機の高度を算出する(図1−14)。

高度=距離×tan(仰角)              式1-7

 Aの結果と合わせることにより、飛行経路(プロファイル)の3次元座標を得られる。この点を結ぶことにより、航空機の3次元のプロファイルを再現することが出来る。

図1−14 高度の算出

 


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