現地調査報告 San Diego Fires
サンディエゴ
山林火災-現地報告D
〜甚大被害地域(ホッジ湖周辺)〜


青山貞一 武蔵工業大学環境情報学部
 
2007.12.8 転載禁

<青山貞一:サンディエゴ山林火災の現地報告 アーカイブ>
@:山林火災の爪痕
A:サンオノフレ原発との関係
B:サンディエゴの概要
C:火災の時間的経過

 2007年10月20日〜10月27日、米国カリフォルニア州サンディエゴ郡(San Diego)で起きた前代未聞の山林火災による被害の実態を一ヶ月後の11月22日〜11月26日に行った現地調査をもとに報告する。

 本章では、サンディエゴ郡のなかで最も深刻な山林被害で住宅全焼など深刻な影響、被害を受けたホッジ湖(Lake Hodges)周辺のエスコンデイド地域の地理、地形などを衛星写真、地形図、一般地図をもとに見てみたい。

 図1、図2は、カリフォルニア州及びサンディエゴ郡による2007年10月の山林火災で甚大な影響・被害が出た地域であり、その中心はウイッチ地区と南のハリス地区である。さらにウィッチ地区で最も住宅地全焼などの被害が大きかったのは、ホッジ湖周辺地域である。

 

図1 2007年10月の山林火災で甚大な影響・被害が出た地域(ウィッチ、ホッジ湖)
出典:前掲


図2  2007年10月23日 22:30現在の山林火災状況図 出典:前掲

 私たちの現地調査では、図1、図2のウィッチ地区のほぼ全域を車で視察したが、@山林火災の影響、A住宅全焼被害が著しかったのは、図3で赤色の破線及び橙色の一点鎖線で囲った部分であった

 図3の赤色の破線で囲った地域はサンディエゴのエスコンデイド(Escondido)地域とランチョベルナード(Rancho Bernardo)地域、橙色の一点鎖線で囲んだ地域はパウエイ(Poway)地域でいずれも米国を代表する住宅地である。

 図3の赤色の破線で囲った地域ホッジ湖流域のなかでも、とくに南側斜面と丘陵さらに南の住宅地に被害が集中していたことである。、図3でみどりとなっている山林の大部分は、2007年10月の山林火災で焼失し、11月時点では山肌は真っ黒に焼けただれている。なお、図3は山林火災以前の写真である。


図3  ホッジ湖流域地図      Source:NAVTEQ, Googl Mapをもとに青山貞一作成

 2007年10月22日から23日にかけ山林火災の影響と住宅全焼などの被害が著しかった図3の赤色点線及び橙色一点鎖線内の地域だが、11月22日から25日に行った現地踏査によると、図4にあるように、影響や被害の圧倒的多くは、ホッジ湖を基底とする渓谷、とくに南側の斜面さらにその南側丘陵の頂上付近に集中していることが分かった。

 現地調査及び聞き取り調査からは、2007年10月22日から24日にかけて同地では秒速30mの強い東風が吹いていたことが分かっている。それらの風はホッジ湖を基底とする渓谷の中を東から西に向けて地形にそって流れていた(火焔が走っていた)と推定される。図4の赤い太い矢印は風の流れを示している。

 なお、2007年10月22日から24日にかけて同地を襲った山林火災時の風向、風速については、別途、同地の詳細地形を考慮した3次元流体シミュレーションにより検証する予定である。


図4  ホッジ湖流域地形図        Source:NAVTEQ, Googl Mapをもとに青山貞一作成

 現地調査によりホッジ湖の南側丘陵のランチョ・バーナードとパウエイ地域の被害が顕著となっていることが判明しているが、それは図4の風の流れを示す赤い太い矢印より南(下)側地域を意味する。これらの地域は、先の<サンディエゴの概要>に示したように、全米平均で第2位の高額所得者が居住する地域である。

 図5に影響、被害が大きかったランチョ・バーナードとパウエイ地域を示す。


図5  影響・被害が大きかったホッジ湖流域南側の
ランチョ・バーナード及びパウエイ北部地域(赤い点線枠内)
    Source:NAVTEQ, Googl Mapをもとに青山貞一作成


 以下に対話型のグーグルマップを示す。マウスを用いることで、@通常の地図、A衛星写真(航空写真)、B地形の3種類により現地の詳細を見ることができる。ただし、衛星写真は山林火災発生以前のものである。

<グーグルマップ操作説明>
 マウスで操作することにより以下のグーグルマップで山林火災発生前の現地の土地利用、住宅、自然、地形などの状況を見ることができる。使用方法は簡単。矢印(↑↓→←)をクリックすることにより矢印方向に移動する。また+−でズームイン、ズームアウトが行える。また単なる地図だけでなく、衛星画像、地形図も選択できる。



つづく