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スイス山歩き - グリンデルヴァルト(1)

鷹取敦

執筆日:2019年8月20日
 独立系メディア E-wave
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内容目次
8/11-13 ツェルマット 1 ツェルマット(1) | 2 ツェルマット(2)
8/13-16 グリンデルヴァルト 3 グリンデルヴァルト(1) | 4 グリンデルヴァルト(2) | 5 グリンデルヴァルト(3)

グリンデルヴァルトからメンリッヒェン

 グリンデルヴァルトは中心部がこぢんまりと小さな範囲にまとまっている町です。駅から数分歩いて南をみると下の写真のように間近に巨大な山がそびえ立っています。右側がアイガー、左側がシュレックホルンです。さらに左にはミッテルホルンがそびえています。


グリンデルヴァルトから見上げるアイガー(右)とシュレックホルン(左) 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 下の地図は南を上にして立体表示したグーグルマップです。中央下にグリンデルヴァルトの町があり、南側にアイガー等がそびえているのが分かります。ちなみにアイガーの右下に見える低めの山のメンリヘンに翌日バスで上り、メンリヘンからクライネ・シャイデックまでハイキングし、さらにグリンデルヴァルトまで歩いて下山しました。


グリンデルヴァルトと周辺の山々 Googleマップより作成

 到着したこの日は雨が降っていました。天気予報をみると翌日8/14と8/16日が晴れる予報でした。

 翌日8/14の朝は約6キロランニングしました。町中の短い区間は平らですが後は坂というコースです。アルプスの麓のひんやりとした気持ちの良い空気の中を走りました。ガーミンの記録には気温が-6℃と記録されていましたが、そこまでは低くなかったと思います。日本の冬のマラソンシーズンくらいでしょうか。下の写真はかなり上の方まで走ってから撮ったものです。グリンデルヴァルトの町中は既に陰に隠れて見ることができません。標高で100mくらい登ってきました。


朝のグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 iPhone XS

 この後朝食をとってホテルを出ました。次のコースを行くことにしました。約半日のコースです。

 グリンデルヴァルト→登山鉄道(約8分)→グリンデルヴァルト・グルント→ロープウェイ(約30分)→メンリヘン(メンリッヒェン)→ハイキング→クライネ・シャイデック→登山鉄道(約30分)→ユングフラウヨッホ→登山鉄道→クライネ・シャイデック→登山鉄道→グリンデルヴァルトまず予定変更です。

 グリンデルヴァルトからグリンデルヴァルト・グルントまで登山鉄道の予定でしたが地図をみると近かったので歩きました。グルントの駅まで徒歩で20分でした。

 アイガーの麓を眺めるとかわいい登山鉄道が往復しているのが見えます。


グルントの駅からクライネ・シャイデックへ登る登山鉄道 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 左手を見上げるとシュレックホルンが雲の中に見えています。


シュレックホルン 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 グルントの駅でロープウェイを探したところ、ロープウェイが1台も見えません。それどころか鉄塔にロープすらかかっていませんでした。どうやらメンテナンスかなにかで運休中のようです。駅にいる人にメンリッヒェンへの行き方を聞いたところここからバスが出ているようです。1時間に1本ですがちょうど出たばかりでした。バスのチケットを購入して次のバスを待ちます。

 下の写真はグルントの駅で撮影したものです。この写真より右手の方にメンリッヒェンがあります。


アイガー北壁を背景とした筆者 撮影:鷹取美加 iPhone XS

 グルントの駅にあった地図が下です。


駅にあった地図(一部拡大) 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 中央左にグリンデルヴァルト(Grindelwald)とあります。この右下にあるグルント(Grund)が今いるところです。ここからさらに右の方にあるメンリッヒェン(Männlichen)までロープウェイが伸びていますがこれが運休中だったわけです。メンリッヒェンから上のクライネ・シャイデック(Kleine Scheidegg)までハイキング、そこから点線で右上の方に伸びている鉄道でユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)に登る計画です。ちなみにクライネ・シャイデックからユングフラウヨッホまでの鉄道はほぼトンネルです。クライネ・シャイデックからはグルントを経由してグリンデルヴァルトまで鉄道で降りることができます。

 なお翌日は地図の左端にあるフィルスト(First)にロープウェイ登ってハイキングし歩いて降りました。

 1時間待ってバスが来たのでメンリッヒェンまでバスで登ります。文字通りバスが1台しか通れないような細い道を上がってきますが、車窓はなかなかの絶景です。


メンリッヒェンに登るバスの車窓からみるグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900


メンリッヒェンに登るバス 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 稜線にあるメンリッヒェンに近づくと途中にため池があり、斜面には沢山の牛が放牧されていました。


メンリッヒェンに登るバスの車窓から 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

メンリッヒェンからクライネ・シャイデック

 メンリッヒェンに到着しました。下の写真はアイガーの方向です。アイガーと反対側に向かって少し歩けばメンリッヒェンの頂上がありますが、そちらには向かわずアイガーを見上げる位置にあるクライネ・シャイデックを目指すことにしました。


メンリッヒェンからアイガーを臨む 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 約5km弱の距離で1時間ちょっとかかりました。おおむね平坦な全体的には下り基調の歩きやすいハイキングコースです。大勢の人で賑わっていました。

 なおスイスではハイキングコースの途中で所々に柵がありました。下の写真は比較的しっかりした作りのものですが、単なる棒のようなものも多く設置されています。放牧された牛が範囲外に出て行かないようにするためのものと思われます。


ハイキングコースの柵 撮影:鷹取敦 DJI OSMO ACTION

 歩き始めたころは雲(霧)に覆われていましたが、だんだんと晴れてきました。


ハイキングコース 撮影:鷹取敦 DJI OSMO ACTION


ハイキングコース 撮影:鷹取敦 DJI OSMO ACTION

 上の写真の方のように登山装備の方もいれば、下の写真の親子連れのように軽装の人もいます。メンリッヒェンからクライネ・シャイデックまで歩くだけであとはバスと登山鉄道であれば天候がよけば軽装で充分ですが、その前後の険しい道を歩くこともできますので、そのような場合にはそれなりの装備が必要となります。

 今回は行けませんでしたが、クライネ・シャイデックからアイガーの斜面を歩いてグリンデルヴァルト方面に出る(厳しめの)ハイキングコースがあるようです。クライネ・シャイデックから歩いて降りる途中で、たまたまそのコースを歩いて来た方と出会って絶景だからと薦められました。


ハイキングコース 撮影:鷹取敦 DJI OSMO ACTION

 クライネ・シャイデックの駅が近づき、目の前にはアイガー、メンヒ、ユングフラウが壁のようにたち並んで見えます。駅に着く手前のレストランでサンドイッチの軽食を取り、駅に向かいました。


左からアイガー、メンヒ(雲の中)、ユングフラウ、手前下がクライネ・シャイデック 撮影:鷹取美加 iPhone XS

 駅の裏側には下の写真のように食べ物を買って外で食事ができるようになっており、とても賑わっていました。この写真の右側の建物の奥にチケット売り場があります。


クライネ・シャイデック駅 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 チケット売り場に並んでいたところ前の人がチケットを買えずに窓口を離れました。会話がちょっと聞こえましたが、念のため窓口で聞いてみると今日の切符は売り切れということでした。どうやら1日の人数制限があるようです。

 後でわかったのですが、天気がよくて見晴らしが良いことがわかった時点で切符を買う人が多いので、この時間(13時頃)には売り切れになってしまうようです。早朝の切符(行きと帰りに乗れる列車が限定されています)であれば割引もあり、売り切れる心配もないそうです。

 それが分かったので、クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルトに降りた後に、天気がいい確率が高い翌々日の早朝割引の切符をグリンデルヴァルト駅で購入しました。

 ここから登山列車でグリンデルヴァルトまで降りるのももったいないので、歩いて降りることにしました。

 現地には下の写真のようにアイガー北壁の登頂ルートが紹介されていました。


アイガー北壁ルート(現地の案内板) 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 アイガーは上の案内板にあるように標高3,970mです。クライネ・シャイデックはヨーロッパ一標高が高い駅でクライネ・シャイデックの標高は2,061mです。

 アイガー北壁は1934年に史上初の北壁挑戦を試みるも滑落して死亡、1935年にはマックス・ゼドゥルマイヤーとカー・メーリンガーが凍死、1936年には2隊が競いながら登頂を目指しましたが負傷者が出たため下山途中で犠牲を出しました。1937年には悪天候により撤退したものの初めての生還者となりました。1938年にドイツ隊とオーストリア隊が北壁を初登頂したという厳しいところです。(出典

 ちなみに日本人は1965年に高田光政が初登頂しています。また1978年に冬季単独初登頂した長谷川恒男は、その名を冠したハセツネCUP(日本山岳耐久レース)で、トレイルランナー達によく知られています。

クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト

 クライネ・シャイデックからは登山列車、自転車、徒歩等でいろいろな方面に進めます。グリンデルヴァルトまでは2時間40分とあります。標高差が1000mくらいあります。緑の小さな2つのシールは最初に紹介したアイガー・ウルトラ・トレイルのコースであり進行方向を示すものです。


クライネ・シャイデックにある案内板 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルトへ降りる道は見晴らしもよくのどかな風景です。歩いているも少ないのんびりした光景と右手にそびえるアイガーの絶壁とが対照的です。


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 アイガー北壁を真下から見上げることができます。この道の途中でアイガーの斜面のハイキングルートから降りてきたハイキングの方と遭遇しました。機会があれば次はそちらを歩いてみたいところです。


アイガー北壁の真下から 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 まだまだ上の方ですが遠くにグリンデルヴァルトの町が見えます。


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取美加 iPhone XS

 2回ほど登山鉄道の線路を渡り下に降りてきました。まわりは林になっています。


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 林を抜けるとさらに見晴らしのいいところに出ました。グリンデルヴァルトの町はもうすぐです。遠くに見えるのはシュレックホルン(右)とミッテルホルン(中央)です。


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 グリンデルヴァルトの谷の一番深いところに川が流れています。下の写真をみると右側の支流から流れ込む水と本流の乳白色の水で色が違う事が分かります。


クライネ・シャイデックからグリンデルヴァルト 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900

 このあたりにあるスーパーで飲料を購入して一休みし一応のゴールとしました。この後、坂をのぼってグリンデルヴァルトに戻りました。

つづく