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多極化する世界において、
G7はますます時代遅れで
無意味なものになっている
G7 increasingly outdated, irrelevant
in multipolar world

By Lu Xue  GT
 26 April 2021

翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年4月27日 公開

 


<イラスト> Illustration: Liu Rui/GT

 新疆ウイグル自治区でのいわゆる強制労働をめぐる中国への圧力を強化するよう、米国はG7の同盟国に働きかける予定であると、ホワイトハウスのトップが金曜日に語ったと、メディアが報じた。

 G7はすでに時代遅れの国の集まりになっている、と中国のオブザーバーは語った。G7は、世界で最も裕福で先進的な7つの国のグループと説明されている。設立当初は、メンバーが集まって経済的な問題を議論するためのブロックだった。しかし、経済においてG7が果たせる役割は著しく低下していると考えられている。

 2008年の金融危機の後、G7メンバーを含む欧米諸国は、程度の差こそあれ、経済の低迷を目の当たりにしてきた。その結果、ガバナンスの問題が露呈した。さらに、7ヶ国では近年、人種差別の高まりなどの国内問題が深刻化している。これは、少なくとも短期的には根本的な解決ができない制度的な危機を示している。

 このブロックの間には、利害関係の相違がある。ドナルド・トランプ前米大統領の4年間の大統領任期は、米国の同盟システムを弱体化させた。また、G7は見かけほど団結していない。米国と欧州の間の複数の紛争は、未だ取り組まれていない。

 負担の分担については、まだ議論中である。双方は、一部の製品の関税を一時的に停止することで合意しただけなのだ。バイデン氏は就任後数日で、連邦政府機関による米国製品の購入を促進するための大統領令に署名し、「バイ・アメリカン」計画を打ち出すという選挙公約を果たした。

 多くの欧州諸国は、これを貿易保護主義とみなしている。このような解決できない米欧間の摩擦は、G7をはじめとする各加盟国の連帯を阻害している。

 このような状況下では、G7が実質的な役割を果たすことは難しいだろう。7ヶ国の衰退と一部の新興国の台頭により、経済調整におけるG7の役割は弱まっており、このブロックは世界経済をリードすることができなくなっている。

 このような状況では、このグループは、その存在を維持するための他の理由を探さなければならない。「人権」はその一つに違いない。自らを民主主義国と称する7ヶ国は、この面で共通の価値観を持っている。これは、グループの価値を証明するために誇示できる数少ない分野の一つとなっている。

 また、ワシントンは北京を世界の覇権とリーダーシップを脅かす戦略的ライバルと見なし、中国のいわゆる人権問題を糾弾して同盟国に味方するよう繰り返し煽ってきた。最近のG7で、中国の「人権」や「民主主義」に関する議題が頻繁に取り上げられているのもそのためである。

 また、中国との付き合い方については、米国とは異なるメンバーがいる。欧州のメンバーは、巨大な相互利益のために中国との協力を明確に意図しており、戦略的自律性をより重視している。中国が新疆のいわゆる人権問題でEUに対抗措置をとったことは、欧州諸国が中国に対する根拠のない批判や内政干渉に断固として反対し、不寛容であることを示している。G7の他のメンバーも、それぞれの国益に合致した賢明な選択をするものと思われる。

G7の多くの国は、1900年に北京を侵略した「八ヵ国同盟」のメンバーである。しかし、現在の中国は、120年前のように彼らから恣意的にいじめられるような国ではない。彼らと中国との関係は、相互尊重に基づいたものでなければならない。米国に倣って、米国の反中戦車に縛り付け、中国の内政に干渉したり、嘘を捏造して中国を誹謗中傷するような活動をしても、彼らには何の生産性ももたらさない。