米国民より全世界の人々への公開書簡
Open letter from people in the United States
to people all over the world

イラク攻撃不支持賛同署名受付中!

               英原文と現在の署名人リスト

 困難な時がやってきました。戦の太鼓は打ち鳴らされ、メディアが日々これを増幅して伝えています。米国政府は「先制戦争」を唱えていますが米国にはこれに反対する多数の国民がいます。私たちは、平和と正義、経済的平等、健全な環境をめざして世界の人々と手をつなぎたいと考えています。

 悲しいことに、米国政府の振るまいはあたかも世界をまたにかけた暴漢のようであり、私たちは、政府のこのような振るまいによって、父親の世代の戦争により十二分に苦しんだ子供たちに再び戦争と破壊がもたらされることに、強い危機感を抱いています。すでに度を超している憤怒の情を一層あおり、米国や世界各地でのテロリズム発生のリスクを高めるおそれもあります。

 私たちの目標は争いの平和的解決です。国際機関を強化して、これによる平和的解決が達成できるようにすることも願っています。米国は自らのよき伝統に反し、単独での武力行使をちらつかせて国際連合や諸外国を強引に従わせようとしていますが、このような行動は国際法の原理を損なうものです。

 私たちはまた、米国内における市民的自由が、テロとの戦争の名のもとに侵害される速度と深度にも衝撃を受けています。米国市民も米国籍をもたない移民も一様に、古くから確立されてきた基本的自由の大半を奪われつつあります。

 私たちはこのような潮流に断固として抵抗します。若者から老人まで何十万人もの人々が街頭をデモしていますが、その中にはこうした活動に初めて参加した人が大勢います。地方では、市民や移民を逮捕したりスパイするための連邦手続への非協力を求める法律が施行されつつあります。

 しかし、これだけでは不十分であることも私たちは承知しています。米国の莫大な石油消費量は、気候変動の危機と戦争のリスクを生みだすもとです。米国政府は二酸化炭素の排出削減義務を受入れませんが、カリフォルニア州では排出削減につながる基準が施行されています。私たちは米国を、もっとも危険で大量にゆきわたっている麻薬、すなわち石油から、乳離れさせなければいけないと考えています。

 私たちがともに解決にあたらなければならない問題は、まだ他にもあります。とりわけ大量破壊兵器の問題は厄介な現実として迫っています。私たちは、米国が対イラク戦争をやかましく要求することが、大半の国々から偽善、あるいはもっと悪いこととみなされていることを身にしみて感じています。そうみられるのは、米国自身が、核兵器の放棄、核兵器依存からの脱却という条約上の義務を拒んでいるからです。米国は1945年に原子爆弾により2つの都市を焼き尽くしましたが、これほどのことをしでかした政府は後にも先にもありません。オサマ・ビン・ラディンは、2001年9月11日以後も含め、大勢の罪なき人に暴力的報復を行うという自己の野心を正当化するため、一度ならずこの事実を持ち出しています。

 かくも恐ろしく、不法かつ道徳に反する兵器を操ることはどんな善人、どんな篤信家にも許されません。これらの兵器は、誰の手によってであろうと二度と再び使われてはならないものなのです。核兵器を保有する国は現在8カ国、すなわち米国、ロシア、英国、フランス、中国、イスラエル、インド、そしてパキスタンですが、北朝鮮とイラクも、核不拡散条約に違反して核兵器を保有しようとしています。

 破壊力の絶大な兵器は不法なのものであり、北朝鮮やイラクがこれらを保有することは正当化されませんし、されえるものでもありません。私たちは大量破壊兵器の時代を終焉させなければならないのです。戦争にゆく兵士の命と他国の子供たちの命を犠牲にしてまで、政府がこうした兵器の使用を正当化できる時代は終わりにしなければなりません。今こそ、すべての核兵器と核兵器に使用可能な物質を回収し、これらを確実な国際的管理のもとに置くべきです。今こそ 、生物化学兵器を禁止した国際条約を強力な組織と権限で強化し、いかなる場所の査察でも可能なようにするべきです。

 私たちはこの精神に立って、国連によるイラク査察を支持します。仮にイラクが期待を裏切ったとしても、米国主導の対イラク戦争は私たちは支持しません。理由の一つは、米国は自らの核兵器使用の特権については手放すつもりがないこと、もう一つは、米国には武装解除問題と無関係な隠れた動機があると思われることです。よりよい解決法は、国連を基盤にした組織を補強し、すべての核兵器と核兵器に使用可能な物質を確実に接収できる権限と技術力をもたせることです。同様のアプローチは、核以外の大量破壊兵器や、2001年9月11日のような人道に対する罪を働いたとされる人物の逮捕にも適用できるでしょう。

 平和の創設や武装解除に主導権を果たそうとする国はすべて、国際司法裁判所の裁判権に自らを委ねなければなりません。しかし最強の国のいくつかがいまだにこれを果たしていません。いかなる国も自らを法の上に置くべきではないのに、残念なことに米国はまさにそれをしている国の一つです。かつてナチスを裁いたニュールンベルグ裁判において、米国の裁判官は、自分たちは勝者の正義ではなく、正義の勝利に立ち会うのだということ、人道に対する罪で裁かれるすべての被告は国籍にかかわらず等しく扱われることを世界に向かって約束しました。ところが米国はこの約束に背いて国際司法裁判所の一般的管轄権(ジェネラル・ジュリスディクション)から撤退し、国際刑事裁判所の創設にも反対しています。しかし私たちは約束は守りたいと思っています。

 他国の人々と私たちの友好関係を引き裂くような、思慮が浅く近視眼的な米国の軍事・エネルギー政策を、私たちは認めるつもりはありません。この手紙を書いたのは、私達が、国籍にとらわれず非暴力的な方法で平和と正義のために働き、今なお世界に蔓延し私たちを飲み込もうとしている恐ろしい暴力に立ち向かっているすべての人々とともにあることを知っていただきたいからなのです。

 21世紀には、マハトマ・ガンジーやマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の唱えた原則が憎しみや貪欲、暴力に打ち勝てるように、私たちは力を合わせる必要があります。ガンジーはインド独立のために働き、インドが世界に多大な貢献をなしてきたことを誇りにしていましたが、しかし「私の愛国心は排他的なものではありません。すべてを包み込む心です。他国の人々の絶望や搾取を前提にする愛国主義は私は拒否します」と彼は語っています。私たちはこの精神にのっとって皆さんと手をつなぎたいのです。

 これまでの署名人一覧(*はIDのみの組織)

フランシスコ・アルゲレス・パツィー・プエンテ(全米組織者同盟*)
キャロン・ボーカニー
ハリエット・バーロー(ブルーマウンテン・センター)
メーヴィス・ベライル(ザ・ピースファーム所長)
ジョン・バローズ(核政策に関する法律家委員会常任理事)
ジャッキー・キャバッソ(西部諸州法律基金常任理事)
ウォルター・B・クランシー(アーカンサス平和と正義の連合メンバー)
デヴィッド・クローズ(東テネシー州大学物理学教授)
ジェイ・コグラン(核ウォッチ・ニューメキシコ)
ジョアン・W・ドレイク
ダニエル・エルスバーグ
リチャード・フォーク(プリンストン大学名誉教授)
ルイーズ・フランクリン−ラミレス(広島長崎平和委員会創設者)
キャロル・ガラハー(『アメリカン・グラウンド・ゼロ:秘密の核戦争』著者)
ジューン・グッドウィン(著作者)
ジーン・T・ゴードン(新しい方向をめざす女性行動メンバー)
スーザン・ゴードン(核アカウンタビリティ同盟*所長)
キミ・グリーン(ニューサイクル基金*)
アダム・ホクシルド(著作者)
ウォルター・フック(第二次世界大戦長崎退役軍人)
ハディ・ジャワド(ダラス平和センター役員)
マリア・ヒメイネス(移民と難民の権利のための全米ネットワーク役員)
マイケル・クレア(ハンプシャー・カレッジ、他5カレッジの平和・世界安全保障学教授)
リサ・レドウィッジ(エネルギー環境研究所アウトリーチ部長)
アージャン・マッキジャーニ(エネルギー環境研究所所長)
クリス・メッケルス
マリー・ルー・ネルソン
メリル・ナス(医学博士)
M・V・ラマナ(プリンストン大学)
インディラ・ラヴィンドラン(ジョンズ・ホプキンス大学)
レスリー・ラインドル
トニー・レギュスターズ(パシフィカラジオWPFW-FM臨時総支配人)
マーク・リッチー(農業貿易政策研究所所長)
ベン・シフ(オバーリン・カレッジ政治学教授)
ジョン・スタインバッハ(グレイパンサーズ・オブ・メトロワシントン共同呼掛人)
キャシー・サリヴァン(ロスアラモス博物館プロジェクト)
アシュウィーニ・タンブ(ジョージタウン大学)
ロクサンヌ・ターネッジ(CS基金常任理事)
ジェニス・L・ヴュー(理学博士、公正な移行同盟*常任理事)
キャサリン・イー(ハーバード・メディカルスクール*)