廃棄物関連施設
Monitoring on Incinerator |
【調査の目的】 生活環境影響調査の調査項目は、施設の種類によって以下の表ように定められている。 (出典:「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針の解説」厚生省監修、平成10年発行) この生活環境影響調査では、廃棄物の処理場・処分場の紛争において絶えず議論、問題となってきた重要な項目が抜け落ちている。 それは、「土壌汚染」と「地下水汚染」である。 土壌汚染と地下水汚染の重要2項目を除外した環境アセスや生活環境影響調査の現況調査や事後調査は、日本における廃棄物処理処分施設の実態をまったく反映していないことになる。 従って、現況調査や事後調査では、敷地およびその周辺における「土壌汚染」と「地下水汚染」の実態を調査することが重要となる。
【調査の方法:〜重金属汚染の分析の方法〜】土壌汚染の分析は、ダイオキシン類をのぞき、わが国では欧米の先進各国で常識となっている「含有濃度分析」でなく、「溶出濃度分析」となっている。しかもこの溶出濃度分析には、以下に示すように決定的な欠陥が指摘されている。したがって、土壌汚染の分析では、溶出分析ではなく、含有濃度分析を実施すべきである。 重金属の測定分析方法には大別して溶出分析と含有分析がある。 日本の重金属分析では、従来、溶出分析に対応した基準しかない。しかも日本の溶出分析を定める環境庁告示では「試料液をpH5.6から6.3に調整し」とある。これは、アメリカ(pH4)、オランダ(pH4及びpH7)、ドイツ(pH4)、スイス(pH4.0〜4.5)のように、酸性液による調整でないため、溶出率がきわめて低いことが専門家*から指摘されている。その結果、アメリカ、オランダ、ドイツ、スイスの重金属の溶出分析に比べ、日本の環境庁告示の溶出分析では重金属類が非常に検出されにくくなっている。 * たとえばゴミ弁連会長の梶山正三弁護士(理学博士)は以下のように述べている。 「日本の溶出分析は非常に問題があるということを私はどこでも言っていっています。日本の溶出分析は、要するに、土壌なり底質から重金属がどのように溶け出してくるのか、試料を乾かし、細かくし、それをpH(ペーハー)5.8〜6.3溶液のなかにいれ、それを6時間ふるわけです。通常は酸性でやらなくてはいけません。というのは、重金属はアルカリ性では溶け出ないからです。だから酸性で溶け出してくるかどうかが重要なのですがが、環境庁告示第13号、第46号ではpHが酸性でないため原理的に溶出しないのです。環境庁告示第13号は土壌環境基準で、第46号が廃棄物をそのままうめていいかどうか、有害性があるかどうかというのをみるときに使います。どちらも液pH(ペーハー)は5.8〜6.3です。それに対してTCLPはアメリカの方法、Total Availabilityはオランダの方法です。オランダではpH7と4で行い両方合わせ何もでなくなるまで分析するという、しつこい方法となっています。またスイスは、だいたい4で行っています。日本はだいたい6です。pHが2違うとだいたい100倍違います。それで、この上のグラフですが、だいたいpHペーハーが2違うと溶け出してくる濃度が100倍違います。そういうデータなんです。」
一方、先進各国における重金属の分析は含有分析が主流となっています。 その理由は、溶出の方法以外に、土壌、底質などサンプルの種類、性質により溶出濃度が著しく異なることがあるからである。 市街地土壌汚染分野の先進国では、土壌に含まれる重金属の分析結果をもとに、環境リスクや健康リスクを評価するガイドラインや基準が作成され利用されている。たとえばドイツでは連邦土壌保護法において含有濃度を対象とした重金属類の評価ガイドライン、予防ガイドラインが設定されている。表2は、ドイツの連邦土壌保護法の保護令に定める含有濃度の試験値、また表3は予防値である。また表4は、国際再開発土壌汚染検討委員会の土地利用毎の重金属の推奨値でる。いずれも含有濃度を対象としたガイドラインである。
Contaminated Land, UK body, which set guideline values for contaminated land in 1987
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環境総合研究所では、生活環境影響調査に対し以下の各調査の追加を提案します。 ○地形・建築物・構造物を考慮した2次元、3次元大気汚染シミュレーション 境界条件の設定の難度、気象、地形、建築物データの入手可能性により調査費用は異なります。 ○土壌汚染・地下水汚染の現況調査、事後調査 土壌・地下水汚染については、技術・業務提携先の化学物質分析機関による精度が高く、適正費用の測定分析が可能です。土壌、地下水の現況調査の概要を以下に示します。
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