ところで日本ではガソリン価格と軽油価格に著しい価格差がある。たとえば、日本でガソリン価格が高騰していた3月、レギュラー152円、軽油131円などとなっていた。
軽油がガソリンに比べ15%近く安いのである。
日本人は軽油が安いのは当たり前と思っているが、米国では軽油の方がガソリンより高いのである。
下の写真はカリフォルニア州のサンホセ近くのガソリンスタンドで給油したときに撮影したものである。ガソリン価格は、先のスタントにおける1ガロン当たり3.67ドルとほぼ同額の3.65ドルである。
しかし、最下段にあるディーゼルの軽油価格を見ると、1ガロン当たり4.29ドルとガソリン価格より17%以上も高いことが分かる。
永年、1ガロン当たり2ドル以下がガソリン価格の相場だったアメリカの市民は1リットル当たり90円台の価格でも馬鹿高いと感じているのである。
このように日本ではガソリンが軽油価格より15%高く、米国では軽油がガソリン価格より17%高いというように、完全に逆転現象が起きているのである。これは今に限ったことなく、ここ数十年常態化している。
言い方は悪いが、国の情報操作や非公開、説明責任のなさ故に、何でも飼い慣らされている日本の国民は、軽油がガソリンより安いのは当たり前と思っているはずだが、米国、とくにカリフォルニア州の現実を見れば分かるようにそれはトンデモないのである。
軽油を燃料とするディーゼル車には2種類ある。今でも窒素酸化物や粒子状物質など膨大なの大気汚染を排出する直噴ディーゼル車、そして今やガソリン車並みの汚染となっている副室ディーゼル車である。
前者、すなわち直噴ディーゼル車が排出する大気汚染が著しいこともあり、本来、その燃料である軽油を環境税として高くすべきなのに、日本政府は永年、ディーゼル車が産業用に使われてきたことから、産業用=低い税率、他方、ガソリンは一般国民用=高額な税率として、圧倒的に産業用自動車の燃料を優遇、すなわち安くしてきたのである。
政府・自民党は欧州ではディーゼル車が温暖化との関連でよく使われているというが、その場合のディーゼル車の多くは後者、すなわち副室ディーゼル車である。
少なくともカリフォルニア州でかくも軽油価格がガソリン価格より高額なのは、一台でも圧倒的に大気汚染排出量が多い大型ディーゼル車に対する環境税的意味合いが大きい。
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上記については、以前、もし軽油価格をガソリン並み、さらにガソリンより高額とした場合、東京など大都市における大気汚染がどう削減するかについての委託調査を、私の株式会社環境総合研究所が環境庁から受託したことがあることからも明らかなように環境庁(現在、環境省)はこの点について問題意識を持っていたはずだが、おそらく軽油税を所管する省庁や自民党関連議員からの圧力により、この問題は一切公表されることはなく、現在に至っている。 |
以下に米国全体の平均値とカリフォルニア州の場合の軽油とガソリンの価格差(比率)を示す。
*ガソリンと軽油の価格差異(全米 vs カリフォルニア州)
以下の日経新聞の記事は昨年10月の時点でものであるが、米国(全米)ではガソリンの平均小売価格が1ガロン当たり2.788ドルであるのに対し、軽油の方は1ガロン当たり3.048ドルと9%もガソリンより価格が高いことを示している。
すなわち、軽油価格がガソリン価格よりも高いのは、何もカリフォルニア州だけでなく、全米平均でも高いのである。ただし、カリフォルニア州(17%)が全米平均(9%)よりはるかに軽油価格がガソリン価格に比べ高くなっていることに注目すべきである。
日経新聞 2007年10月2日
【ワシントン=藤井一明】
米エネルギー省が1日時点でまとめた最新のレギュラーガソリンの平均小売価格は1ガロン2.788ドル(1リットル約85円)となり、
前週を0.9%下回った。下落は2週ぶり。一方、ディーゼル車用の軽油価格は 前週よりも0.5%高い3.048ドルで5週連続の上昇を示し、3ドルの大台も2週続けて上回った。 |
もし、政府・自民党がガソリンの暫定税率を炭素税、環境税として復活させたいなら、その前に、軽油の料金をガソリンより最低15%あげたらどうか?これでやっとガソリン価格と軽油価格が同じレベルになる。
米国、とくにカリフォルニア州では上述のように軽油の方がガソリンより高額であることに注目すべきである!!
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