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廃棄物問題: ロシア連邦は、廃棄物の分別収集の
違反に対する罰則を提案した誰が罰を受けるのか、
どうすればそれを回避できるのか
IZ :2021年6月11日
Сорный вопрос: в РФ предложили штрафы
за нарушение раздельного сбора мусора
Кому грозит наказание и как его избежать

Evgeniya Pertseva
IZ  11 June 2021

翻訳(原語:ロシア語)池田こみち Komichi Ikeda
(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年6月11
日 公開

<写真キャプション:ごみの分別>
写真:イズベスチヤ/アレクサンダー・カザコフ

<本文>

 プラスチックリサイクル業連合会は、ビクトリア・アブラムチェンコ副首相に対し、個々の廃棄物収集制度に違反した者に対する責任(罰則)を導入するよう提案した。イズベスチヤはその提案の文書を読んでみた。

 生ごみ系廃棄物と無機廃棄物を分別していない(住宅棟などの)管理会社は、未分類の廃棄物を1回出しただけで最大30万ルーブル(約457,000円)の罰金を科せられるというものである。それによって、その会社の管理下にある家の市民すべてにその資金を再分配することができる、

 という構想を提案している。これにより、ごみ箱段階での廃棄物の分別が徹底され、その結果、さらなる(リサイクル、資源化)処理が可能になると筆者らは考えている。その結果、ロシアでは、商品のコストの上昇を引き起こす可能性のある使い捨ての食器や包装を禁止する必要がなくなると指摘
している。

■厳格な体制

 5月末、副首相ビクトリア・アブラムチェンコは、廃棄物からの抽出が困難で、リサイクルできない素材の使用を禁止する意向を示した。例えば、色つきプラスチック、プラスチック管、綿棒、使い捨てプラスチック製食器などである。内閣はすでに必要な改正の準備を進めている。政府は、(こうした措置によって)現在埋め立て地に運ばれているゴミの量を減らそうとしている。

 しかし、使い捨て製品やその他のプラスチック製品を製造するメーカーは、この問題はもっと簡単な方法で解決できると考えている。これは、プラスチックリサイクル業組合のミハイル・カテフマン会長が6月7日にヴィクトリア・アブラムチェンコ副首相に送った文書からもうかがえる(「イズベスチヤ」より入手可能)。

 カテフマン会長は、都市環境の汚染は都市住民の行動に起因するものであり、廃棄物の素材に起因するものではないと確信している。ほとんどのプラスチックはリサイクルできるし、極端に言えば、エネルギーのリサイクルにも利用できる。つまり、ゴミ箱の中で生ごみ類と混ざらないように、適切に回収する必要がある、と指摘している。

 ロシア連邦内には、プラスチックの選別・リサイクル施設が十分にあると同団体は述べている。なので、家庭や自治体の敷地内で廃棄物の分別収集を行う必要がある。これまでのところ、市当局はこの課題に完全には対処していないと文書には書かれている。ゴミの分別収集の違反に対する罰則強化は、

 この問題の解決に貢献することとなる。個人の家の所有者だけでなく、家主協会(HOA)や管理会社にも責任を負わせるべきだとしている。プラスチックリサイクル業組合は、副首相にこの問題を検討するよう申し入れた。同団体は、廃棄物の収集作業中に、地域の管理者が分別違反に気がついた場合(生物・無機廃棄物の混合など)、罰金が科せられるべきだ、と指摘している。

 その金額については、業界関係者とさらに協議する必要があると文書には書かれており、まず第一に、組合は罰金の計算基準に、廃棄物の撤去、廃棄物の分別、埋立地への移動にかかる費用を含めることを提案した。その結果、1回の違反で、管理会社への罰則は約30万ルーブル(その後、会社が市民に分配)、一般家庭への罰則は3〜5千ルーブル(4,000~5,000円)となる可能性がある、都指摘している。

 (ただし、)同組合は、このような罰則が適用されるのは、市民がすでに分別収集のための設備を持っている場合に限られると強調している。マンションには2つのコンテナ、個人住宅には4つのコンテナが必要となる。

 また、使い捨ての食器やプラスチック製品の生産を禁止するだけでは、「産業の競争力が低下し、ロシアの生産性が低下し、生産コストが不当に上昇する」とも指摘している。

News 掲示板
 ロシアでは2019年1月1日から廃棄物業界の改革が始まった。ロシア環境オペレーター(REO、ロシアの固形都市ごみの取り扱いを管理する団体)のデータによると、2020年末までに85地域のうち71地域で分別収集が実施された。このサービスは、モスクワとモスクワ地域、コミ共和国、プスコフ、ヴォログダ、コストロマ、ヤロスラブリ地域で最も広く利用されており、人口の60から100%まで利用することができる。


必要な制限

 ヴィクトリア・アブラムチェンコ副首相の政権は「イズベスチヤ」に対し、連邦の提案(イニシアチブ)を関係機関に送って修正を求めると述べている。また、2030年までに廃棄物の全量を分別し、埋立地の量を半減させる必要があると指摘している。そのためには、リサイクル可能なゴミのうち、最大で50%が再利用されるシステムを作る必要があり、そのためには、本格的な廃棄物の分別収集システムを構築し、リサイクル能力を高めなければならない。また、インセンティブや規制措置も計画されている。

 - リサイクルできない素材の使用を禁止することは、廃棄物の発生を減らすために必要なステップである。多くの商品はリサイクルが不可能だが、より環境にやさしい類似品もある。- 移行期間を設け、代替素材への移行を支援していく。

 REO(ロシア環境オペレータ)は、市民が料金に加えて何かを支払ったり負担することを望んでいない、とイズベスチアに語った。むしろ、廃棄物の分別で市民が利益を得られるように、市民を刺激する方策を導入することを提案している。

 たとえば、ロシア全土を対象に使用済みボトルなどの回収ボックス(fondomats)のネットワークがすでに開始されている。このネットワークでは、使用済み製品の回収コンテナを提出することで、ボーナスや割引を受けることができる。REOは今後2年間で、ロシアの10地域に1万台の回収ボックス(ファンダマット)を設置する予定となっている。

 FBKグラント・ソントンの戦略分析研究所のディレクターであるイゴール・ニコラエフは、イズベスチヤに対し、国が廃棄物の分別収集のためのインフラを整備しない限り、罰金による負のインセンティブは効果的ではないと語った。

 たとえば、ロシアでは分別された廃棄物の処理能力が十分ではないため、依然としてゴミを埋立地に搬入している、と指摘している。同時に、市民は、回収が困難なゴミやリサイクルできないゴミ、例えば綿棒など、を自分で回収して処分するために特別なお金を受け取っている場合にはそれもできるが、(何のインセンティブもなければなかなかできないしやらない)と専門家は付け加えた。

 BMS 法律事務所のGRプラクティスの責任者であるドミトリー・レズニヤック(Dmitry Lesnyak)氏は、提案で示された方向性は一般的に正しい、とイズベスチヤに語った。ロシアでは、廃棄物処理が十分に管理されていない。しかし、分別収集用の容器を設置しない人(市民や管理者)だけでなく、収集する人も責任を負うべきだということを理解することが重要だと専門家は指摘した。

 天然資源省の広報担当官はイズベスチヤの問い合わせに応じなかった。