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監察官、米アフガン作戦における数々の失敗を語る。
特別監察官によると、米政府は20年間にわたり
アフガンで「首尾一貫した戦略」を実施できず

 
アル・ジャジーラ  2021年8月17日
Watchdog describes litany of US failures in Afghanistan mission
Special inspector general says United States officials failed to
‘implement a coherent strategy’ over 20 years in Afghanistan.

Aljazeera 17 Aug, 2021

翻訳:池田こみち (環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年8月18日
 

アフガニスタンのカブールで、ハミド・カルザイ国際空港の前で見張りをするタリバンの戦闘員たち(同グループが首都を制圧した後) 写真:Rahmat Gul/AP

本文

 米国はアフガニスタンにおいて「首尾一貫した戦略の策定と実施に苦心し」、現地の全体像は「暗い」と、アフガニスタン復興特別監察官(SIGAR)が17日に発表した報告書(PDF)で述べている。

 ジョン・ソプコ特別監察官は、長年にわたる米国のミッションにおいて、「平均寿命、5歳未満の子どもの死亡率、一人当たりのGDP(国内総生産)、識字率」が向上したとしても、「米国の投資に見合ったものではなく、米国の撤退後も持続可能なものではない」と記している。

 20年と2兆ドルを費やした後、ジョー・バイデン大統領は8月31日までにすべての米軍を撤退させる。

 この撤退は、タリバンが国を乗っ取った後、首都カブールの空港で、何千人ものアフガニスタン人が必死に逃げようと集まってきた混沌とした光景を引き起こしたことから、批判が高まっている。

 評論家たちは、バイデン氏の避難行動への対応を非難しているが、月曜日、バイデン氏は全軍撤退の決定を断固として擁護し、アフガニスタンでの最近の出来事は、「アフガニスタンへの米軍の関与を今終わらせることが正しい決定であることを補強する」と主張した。

<動画:バイデン大統領演説>略

 また、バイデン氏は、米国の任務は決して国家建設のためではなく、むしろ「(米国本土への)テロ攻撃を防ぐ」ことを目的としていると強調した。

 しかし、 ソプコ氏は火曜日の報告書の中で、米国のミッションについてこう書いている。「もし目標が、米国の国家安全保障上の利益に対する脅威とならないような、自立した国を再建して残すことであるなら、全体像は暗いものとなる。」と。

 SIGAR(アフガニスタン復興特別監察官)のポストは、「アフガニスタンの復興プロジェクトや活動を独立した客観的な立場で監視するため」に作られたもので、特別監察官はその任務の一環として定期的に監査や調査を行っている。

 火曜日の
報告書は、米国の指導者たちがアフガニスタンの政治的力学を十分に理解していなかったことを非難し、彼らの優先順位が彼ら自身の政治に影響されていたと述べている。

 
「米政府高官は、アフガニスタンの復興がどうあるべきかについて、現実的にそれを達成することよりも、自分たちの政治的な好みを優先させた」と報告書は述べている。

 「米政府は、アフガニスタンの複雑な制度や権力者、タリバンと対立するコミュニティの難しい関係を、ワシントンでの決定によって変えることができると勘違いして、明確なタイムラインを作ったのである。」

 また、ソプコ氏は米国政府に対しても厳しい言葉を投げかけており、官僚組織の混乱や、逆効果の軍人・民間人の政策や慣習が、持続不可能な制度やインフラ整備事業に何十億ドルもの「無駄遣い」をすることになったという「ミッションの最も重大な失敗のひとつ」につながったと述べている。

 「米国政府はアフガンの状況を理解しておらず、そのために努力を調整することができなかった」と報告書は指摘している。「アフガニスタンの一般的な社会的、文化的、政治的背景を知らないことが、戦略、作戦、戦術の各レベルでの失敗の大きな要因となっている」としている。

<動画:空港で飛行機に群がる人々>略


出典:アル・ジャジーラ