ビル・ゲイツのような億万長者は、 私たちをCovidから救うことも、フェイクニュースや 気候危機を解決することもできない。 なぜなら、それは彼らの利益にならないから。 Bradley Blankenship(ブラッドリー・ブランケンシップ) Billionaires like Bill Gates won’t save us from Covid, or fix fake news or the climate crisis. Because it’s not in their interests RT 6 May 2021 翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問) 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月6日 公開 |
FILE PHOTO. Bill Gates in Paris, France. © Reuters / Charles Platiau 筆者プロフ Bradley Blankenship(ブラッドリー・ブランケンシップ) プラハ在住の米国人ジャーナリスト、コラムニスト、政治評論家。CGTNでシンジケート化されたコラムを持ち、新華社通信などの国際的な通信社でフリーランスのレポーターとして活躍している。ツイッターでは、@BradBlank_をフォロー 2021年5月4日 14:51 <本文> マイクロソフトの創業者は、何百万人もの人々がワクチンを受けられなくても、大手製薬会社がワクチンの独占を維持しなければならないという信念を持っているが、これは超富裕層の本質的な真実を示している:彼らは利己的なヒルなのだ。 億万長者。記録的な不平等の時代に彼らが存在するだけで、資本主義下での日常生活の不条理さが浮き彫りになり、私たちの社会と彼らと関係は複雑なものとなっている。というのも、彼らは実際に10億ドルを稼いだわけではなく、労働者を搾取してその猥雑な富を蓄えているからだ。彼らはヒルであり、存在すべきではないが、中には善良な人もいるだろう。 億万長者の一人、マイクロソフトの共同創業者で慈善家のビル・ゲイツ氏は、間違いなく善人ではない。それどころか、本当に嫌な奴だと思う。最近発表された27年連れ添った妻との離婚のせいではない。ゲイツ氏、そして彼のような人物は、自分が利益を得ているシステムを維持するために、Covid-19ワクチンを人々、特に南半球の貧しい人々から遠ざけていることに直接責任があるからだ。 ジャーナリストのアレクサンダー・ザイチク氏は、4月にニューリパブリック紙に寄稿した記事の中で、ゲイツ氏が慈善団体のネットワークを通じて、Covid-19に対する世界の対応を実質的にハイジャックし、「人々のためのワクチン」という考え方を遠ざけ、独占的な医療をそのままにして、WHOを通じた極めてやる気の無いCOVAXプログラムを選択したかを見事に描き出している。 これは、ゲイツ氏と彼のネットワークが、「知的財産権は、世界的な需要を満たすためにも、公平なアクセスを確保するうえで問題とならず、パンデミックの間でも保護されなければならない」と暗に主張していたからだと、ザイチク氏は書いている。基本的にゲイツ陣営は、Covid-19を根絶すると同時に、そもそも無秩序な広がりをもたらしたこの(社会)システム構造そのものをさらに強化することが可能だと考えているのだ。 これは、文字通り誰もが推測した通り、予想外の失敗に終わった。ゲイツ氏はSkyNewsとのインタビューで、「ワクチンのレシピ」を貧しい国に提供するために、知的財産法を改正することが役に立つかどうかを尋ねられ、「いいえ」と答えている。 そもそもワクチンを製造できる工場が限られているのだから、知的財産法を改正しても意味がないというのだ。 「このケースで物事を阻んでいるのは、知的財産権ではありません。魔法のように安全なワクチンを作れるところや、規制当局の承認を受けたのに働いていないワクチン工場があるわけではありません」と彼は言う。「ワクチンの製造には試験が必要ですし、すべての製造プロセスは非常に慎重に検討されなければなりません。医薬品に関する知的財産権の問題はいろいろありますが、ここでの生産量をどれだけ早く増やせるかという点については関係ありません」と。 このゲイツ氏の発言の問題点は、彼が非公認のCovid皇帝(権力者)であることから、この問題に関して最高レベルの人々と接触していると思われるが、それが嘘であるということだ。例えば、AP通信の3月1日の記事によると、彼らの報告にでは、少なくとも3つの大陸に3つの工場があり、「設計図と技術的なノウハウさえあれば、すぐにでも何億ものCovid-19ワクチンの生産を開始できる」という。 ゲイツのあからさまな嘘をめぐる騒動に対し、なぜかPolitiFact*は、「ビル・ゲイツはCovid-19ワクチンメーカーの知的財産権を擁護しているが、米国で使用が認められているCovid-19ワクチンの成分はすでに公開されている 」と述べた。これは事実だが、誤解を招く恐れがある。なぜなら、ワクチンの成分は公開されているが、「レシピ」、つまり、正確な配合や作り方など、ゲイツ氏に質問した記者が言及していたことは公開されていないからだ。そして、それはゲイツのせいでもある。 注)ポリティファクト (英: PolitiFact.com) Wikipedia 政治にまつわる発言・声明の信憑性をファクトチェック (事実検証) するアメリカ合衆国のサイトである。検証対象となるのは議員、ホワ イトハウス政権、ロビイストおよび関係団体などである。検証対象と なる発言を転記し、独自の評価コメントと共に"Truth-O-Meter"と呼 ばれる6段階スコアで評価を行う。フロリダ最大の日刊紙タンパベイ・ タイムズによって運営され、タンパベイ・タイムズの記者および編集 者がファクトチェックに従事している。 彼や彼のおべっか使い、大手製薬会社の幹部によれば、特許保護は技術革新につながり、その結果、より良い、より新しい医療が実現するという。しかし、これも嘘である。Institute for New Economic Thinkingの調査によると、アメリカの納税者は過去10年間のすべての新しい医薬品に補助金を出しており、それにはmRNAワクチンの技術も含まれている。(公平に見て、どの分野の新技術であっても、政府の研究開発との関連性がないものを見つけるのは困難なのだ)。 ジョナス・ソーク博士もまた、政府の研究支援の恩恵を受けており、ポリオワクチンの特許を取得することで世界初の億万長者になれたかもしれないが、有名な話だが、彼はそれを拒否した。この決断のおかげで、世界のほとんどの地域でポリオは根絶された。知的財産権の壁があれば、このようなことは不可能だっただろう。 ゲイツ氏らが知的財産権の擁護に熱心なのは、それが彼らの思想に深く浸透しており、彼らの一部となっているからである。考えてみてほしい。ゲイツ氏が全財産を築いたのは、この法律のおかげなのだ。知的財産権が、人々が商品やサービスを利用するための障壁になっていることを認めることは、彼と彼の財産が社会に存在しないことを認めることでもあるのだ。だから、事実に基づかないイデオロギー的な議論を盾に、自分の存在を正当化しながら、その一方で、正しいことをしようとするのだ。 問題は、正しいこと、例えば、公衆衛生に取り組むことは、利益のみを動機とする独占資本家にとっては文字通り不可能だということだ。ゲイツ氏は善意で、純粋にこのパンデミックを解決したいと思っているかもしれないが、彼が提示する解決策は、彼の思考の不一致によってうやむやにされてしまう。 マーク・ザッカーバーグが「フェイクニュース」から私たちを救えないように、イーロン・マスクがこの滅びゆく地球から私たちを救えないように、ウォーレン・バフェット率いる億万長者の連合がアメリカの巨大な医療制度の問題を解決できないように、ゲイツとビッグファーマの友人たちはCovid-19から私たちを救うことはできない。それは、これらの問題を実際に解決することが彼らの利益に反するからなのだ。 |