中国構想(China Initiative)の名の下に 科学者に「政治的迫害」を加える米政府 ~ハーバード大学教授の「ポケット犯罪」は マッカーシズムの復活を示す:専門家~ 曹志起 環球時報 2021年12月22日 "US govt. imposes 'political persecution' on scientists in the name of 'China Initiative' Global Times 翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授) 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年12月23日 |
米国マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学のキャンパスを歩く学生(2020年7月14日撮影)。(写真:新華社) 本文 米国政府はドナルド・トランプ前大統領の任期中から、「チャイナ・イニシアチブ」の名の下に中国に協力したり交流を行ったりした科学者を迫害しており、ハーバード大学教授が2日、「当局への虚偽の陳述」で最新の有罪判決を受けた。 「スパイ活動や知的財産の窃盗ではない」ということだ。 ワシントンは、科学や学術研究の分野で恐怖と嫌中的(シノフォビック)な雰囲気を広めることによって、自国のソフトパワーとハードパワーを弱めており、今や冷戦時代のマッカーシズムよりも状況は悪いと専門家は述べている。 ロイターの報道によると、ボストンの連邦裁判所は、著名なナノ科学者であり、ハーバード大学の化学部門の元会長であるチャールズ・リーバー氏に対し、「当局への虚偽の陳述、虚偽の申告、中国の銀行口座の報告漏れ」で有罪判決を下したという。 検察は、ノーベル賞を目指すリーバーが2011年に中国の武漢理工大学で「戦略科学者」になることに合意し、それを通じて 「千人計画」と呼ばれる中国の人材募集に参加したと主張している。 検察によると、中国はそのプログラムを使って、外国の研究者をリクルートし、その知識を国内と共有させているとのことである。しかし、参加は犯罪ではなく、検察はリーバー氏(62)が「自分の関与について問い合わせた当局に嘘をついた」と主張しているとロイターは報じている。 リーバー氏は2020年1月、米司法省の「チャイナ・イニシアチブ」の一環として起訴されたが、これは2018年のトランプ政権時に、米国の保守派政治家が煽る中、「中国の経済スパイや研究盗用の疑いに対抗するために」開始され、バイデン政権でもこのイニシアティブは継続しているが、司法省はアプローチを見直すと述べている。 北京の中国社会科学院で米国研究に関する研究員を務める呂祥氏は2日、環球時報に対し、米国の法執行機関は容疑者の意図しないミスを利用して罪をでっち上げることが容易であり、特に法律問題の処理経験がない者は、「当局への嘘」は米国の典型的な「ポケット犯罪」であると述べた。 12月2日付のサイエンス(Science)誌によると、リーバー氏は、"China Initiative "の原動力であるスパイ活動や知的財産の窃盗の罪に問われることはなかったという。その代わりに、12月14日にボストンの連邦裁判所で始まったリーバー氏の裁判では、検察はリーバー氏が連邦資金提供機関に対して「中国のある大学と提携している」と嘘をつき、連邦税務および銀行当局に収入を報告しなかったことを陪審員に納得させようとする予定だ。 批評家たちは、政府は、研究支援の出所を適切に文書化しなかった以上のことはしていないかもしれない科学者たちに対して、刑事上の重罪の有罪判決を求めるべきではない、つまり、通常、民事罰や行政罰を受けるだけのエラーである、とサイエンスの報告書は述べている。 「ノーベル賞受賞者7人を含む約40人のリーバー氏の同僚たちは、3月、政府にこの訴訟を却下し、このイニシアチブを終了するよう求める書簡を寄せたと、サイエンス誌は報じている。 批評家たちは、この取り組みが学術研究に害を及ぼし、中国人研究者を人種的にプロファイルし、一部の科学者を恐怖に陥れるとも主張している。 ロイター通信によると、テネシー州の教授は今年、無効審理を経て判事から無罪を言い渡され、検察は他の6人の研究者に対する起訴を取り下げたという。 呂氏は、今回の事件は、米国における科学・学術研究の環境が悪化し、米国政府や政治家によって政治化されていることを証明しただけであり、「冷戦時代のマッカーシズムの時代よりも状況はさらに悪い」と述べ、「ポケット犯罪」を使って科学者を告発することは、イデオロギーの告発と異なるからだと述べた。 たとえ合法的でオープンな協力であっても、中国と協力したり接触したりするな。さもなければ、いつか調査を受けることになり、たとえスパイでなくても、米国の利益を害することをしたことがなくても、告発される可能性が非常に高くなる」と呂は指摘する。 「そして、もしあなたが中国人なら、幸運を祈ります。あなたはおそらく、米国当局の最も指名手配されたターゲットでしょう」と述べた。 リーバー氏は、この構想の対象となった23人の米国人学者の一人で、そのほとんどが中国系の学者である。(連邦捜査当局) |