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内戦またはリベラルな
独裁の瀬戸際にある米国

Америка на пороге гражданской
войны или либеральной диктатуры

文:ウラジミール・モジェゴフ VZ

War in Ukraine -
#1538
Sep 26 2022


ロシア語翻訳・青山貞一(東京都市大学名誉教授) 
独立系メディア E-wave Tokyo 2022年9月27日



本文

 アメリカの保守派は、南部諸州の利害や意見を考慮しようとしないワシントンの姿勢が南北戦争を引き起こした1861年の状況に、ますます明確に近づいていると言ってきた。

 このように、アメリカのベテラン保守派で『The American Conservative』の創刊者であるパトリック・J・ブキャナンは、今日のアメリカ人が道徳の問題から完全に離れ、主要な社会制度に対する信頼を同様に完全に失っていることを指摘し、こう問いかける。

 「パールハーバー」や 「9.11」以外に、今の私たちに共通することは何であろう?それでも立ち向かえる収束点はどこなのか。宗教、人種、民族の違いや、道徳、思想、文化、政治の問題で一見不一致があるように見えるが、そんな基盤があるのだろうか。大実験は終わったのか?」

 保守派は長い間、このような問いを投げかけてきた。ところが最近、特にトランプのマール・ア・ラーゴ邸にFBIが踏み込んだ後、保守派のレトリックが突然リベラル派の主流メディアに乗っ取られて、「内戦」が迫っていると大合唱しています。

 このように、The New York Timesは、カリフォルニア大学とCenter for Research on Violenceのデータを引用し、その調査によると、回答者の半数(8000人以上)が「今後数年のうちに米国で内戦が起こるだろう」と考えていることを明らかにしている。

 一方、米国では5人に1人が「政治的暴力は状況によっては正当化される」と考え、さらに4割の国民が「民主主義」よりも「強いリーダーを持つこと」が重要だと考えている。センターの創設者であるガレン・ウィンテミウは、この調査に文字通り唖然としたという。

 そしてもちろん、2020年に始まり、今も増え続けている前代未聞の銃販売の急増を指摘し、起こっていることをトランプのせいにしている。保守系の「アメリカン・ライフ・リサーチ・センター」が行った別の世論調査では、30%以上の人が「アメリカの伝統的な生活様式は失われつつあり、それを守るためには武力を行使しなければならない」という意見に賛成している。

 クリントン政権下の元労働長官ロバート・ライヒは、ガーディアン紙で「アメリカでは第二の内戦がすでに始まっている」と断言している。しかし、それは戦争ではなく、正式な離婚のトラウマを抱えたくない不幸な結婚をした人々のような、一種のソフトな分裂なのです "と。

写真:ZUMA/タス

 一方、MSNBCの司会者であるティファニー・クロスは、こう切り出す。「人々は内戦が起きると言い続けているが、私は内戦はすでに起きていると言いたい。」 そしてもちろん、「OANからNewsmaxまで」の保守系メディアの「過激派ネットワーク」、「そのプロパガンダネットワーク」は毎晩「数百万人」に利用されており、「煽った」ことを非難しているのである。

 ワシントンポスト紙のシニアエディター、マーク・フィッシャーは、そのコラムで次のように述べている。「今日の誰もが(政治家、学者、過激派を含めて)、内戦は避けられないし、実際、必要だという考えに同意している。そして、彼の主張はブキャナンと同じで、制度(警察、メディア、教会、政府)に対する信頼の崩壊、中絶の権利をめぐる法的対立などである。しかし、その影響はもっぱら保守派に続く。テキサス州の米国撤退を問う住民投票の話が復活し、州共和党はバイデンを「大統領代行」と名付け始めた、とフィッシャー氏は憂慮している。そして、右翼過激派の「ファシストの顔」で読者を脅し始める。「いつか政府を転覆させる本物の組織的テロが起こるだろう」と、アメリカの新しい内戦を描いた人気右翼本『ターナー日記』の著者ウィリアム・ピアス(2002年に死去)がかつて語ったことを引用しているのである。

 コラムは、2021年1月6日の国会議事堂ハイジャック事件の責任者を裁き、攻撃を煽ったトランプの役割を調査することで、「極度の緊急事態を何とか緩和してほしい」と結んでいる。

 ガーディアンのクリス・マクギル記者は情熱を燃やし続け、アメリカ人の3人に1人が白人アメリカ人が少数民族に「大きく取って代わられる」という極右陰謀論を信じていることにおののき、引退した米軍将兵の言葉を引用して、2024年の大統領選挙の結果が問われた場合「我々の軍隊内に致命的な混乱が起こる可能性」を警告していち。「もしトランプ派が勝利すれば、極めて高いレベルの暴力が見られるだろう」とMcGillは記事を締めくくっている。

 ヒステリーの度合いは、ホワイトハウスのカリン・ジャン=ピエール報道官が最近発表した、大多数のアメリカ人(もちろんリベラルな民主党議員のこと)に反対する人は「極端な考え方」をしているという発言にも表れている。ジャン=ピエールは先ほど、バイデンはトランプ支持者を過激派とみなし、民主主義への脅威と考えていると言う。

 どういうことなのでしょうか?アメリカは大規模な内戦の危機に瀕しているのだろうか?それとも、何か別のものを扱っているのであろか?

 一方では、現在の米国のリベラルと保守の対立のレベルは、とっくにすべてのレッドラインを越えており、「共和党」と「民主党」という伝統的な政治の揺れは、とっくに季節性を失い、不倶戴天の二軍の対立に変わっていることに異論はないだろう。

 一方、冷静に考えてみると、現在の国家装置と個人に対するコントロールのレベルでは、制御不能なカオスはほとんど不可能である。

 2020年のBLMの大虐殺は、リベラル派の最高レベルで扇動され、それが行われた州の当局によって支援されたからこそ現実となったのだ。いわゆるカラー革命のような見世物で、これもいろいろな意味で演出されたもので、そのたびに「打倒」した政府内のリベラル・ロビーに支援された。

 上からの無秩序な暴力はすべて、同じアメリカで素早く残忍に抑圧される。自分の家は最後まで守るが、隣人の家は守らない覚悟のある、無組織で勤勉なレッドネック(その思想は本質的に極めてリベラルである)が、真剣に組織的に抵抗できると考えるのは甘い考えである。

 ディープ・ステートに対する真に真剣な抵抗は、州政府のレベルでしかできない。しかし、現在のアメリカには、おそらくテキサス州しかないだろう。

 トランプ氏の短い大統領就任期間では、ボイコットに直面しても政府を組織できず、大規模な不正選挙を防ぐことができないなど、政治戦略家としての弱さを露呈した。ディープ・ステートはより強力であることが証明された。

 だから、リベラル派のマスコミで言われている「恐ろしい保守派」が明日からアメリカを恐怖に陥れ、本当の内戦を起こすというテーゼは、もちろんナンセンスなのだ。そして、今日の主要メディアに降臨したダーキーは、おそらくその下にまったく異なる意味をもっているのだろう。

 2016年にトランプの一撃を逃した民主党(金融資本とその背後にあるグローバリズムのイデオロギー)が、再びこのような破局を許すつもりはないことは明らかである。しかし、バイデン党には雲行きが怪しくなってきた。11月に行われる中間選挙で、もし決定的な行動を取らなければ、民主党の勢力はカボチャになる恐れがあるのだ。このような事態を防ぐために、主要な報道機関でこの大規模なキャンペーンが行われた。

 その主な目的は、来る選挙で共和党が議会を「乗っ取る」のを阻止することである。そのためには、保守派が「アメリカの敵」「過激派」として世論に確認されるだけでなく、事実上、過激派として認知される必要がある。

 多くの人は、「ディープ・ステート」にはそのような影響力がないだけだと言うだろう。しかし、第一次世界大戦と第二次世界大戦の歴史を思い出せば十分である。アメリカでは、民主的な権力の代わりに、実際には独裁政権が存在し、前者では「内閣科学者」ウィルソンのイメージが、後者では麻痺した神経症のルーズベルトが、懐疑論者に答えるために少し覆いをしていた。「もし、そうした必要が生じたなら、レバーは見つかるだろう。

 「1914-1918年にアメリカの政治権力が集中した「銀行家三羽烏」(バーニー・バルーク-戦争産業評議会と国防顧問委員会の責任者、ポール・ウォーバーグ-FRBの副議長、ユージン・メイヤー-戦争融資・資金調達計画の責任者)と、第二次世界大戦中に「車椅子の大統領」を演じた「ルーズベルト・チーム」は、近い将来のアメリカの自由主義独裁がどうなるかを概観している。その間、「自走するおじいちゃん」ジョー・バイデンの体内の生命は、必要なだけ維持されることになる。