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調査報告
ロシア人はドルやユーロを捨て
中国の人民元に移行している

欧米の制裁を受け、ロシアの銀行で
中国通貨の口座が急増している

Russians ditching dollars and euros for yuan – survey
RT War in Ukraine -#484 April 9, 2022

翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2022年4月10日


ドルやユーロを捨てて人民元を買うロシア人-調査
© Getty Images / Peter Dazeley


本文

 ロシアの銀行では先月、中国元の口座数が急増したことが、金融専門紙コメルサントの調査で明らかになった。

 同誌によると、ロシア国民は外国為替貯蓄を積極的に中国通貨に換えており、人民元建ての新規口座数も大幅に増加したという。

 例えば、ティンコフ銀行では、人民元建ての資金量は8倍に急増した。MTS銀行では4倍、ウラル復興開発銀行では3.5倍、サンクトペテルブルク銀行では3.5倍となった。

 また、ティンコフ銀行では、多くのホールセール企業が、以前は米ドルの決済の方が簡単で早いと考えていたが、人民元での決済に切り替えていると報告している。同銀行のデータによると、人民元でのビジネス決済の割合は、昨年の15〜25%から現在は25〜30%に拡大している。

 MTS銀行によると、この取引には、スペアパーツ、周辺機器、繊維、食品などの商品を取引する企業が関わっており、ロシアの石油会社、炭鉱会社、金属メーカーも人民元決済に移行し始めていると指摘した。

 モスクワ取引所における中国通貨の取引も、ドルやユーロの取引量にはまだ及ばないものの、大きく伸びている。1-2月期は1日当たり30億ルーブル(約3700万ドル)を超えることはほとんどなかったが、先週は過去最高の185億ルーブル(約2億3000万ドル)の取引が行われた。

 これは、ウクライナに関連する欧米の制裁を逃れるための手段であり、ロシアがドルやユーロにアクセスすることを事実上制限している、とアナリストは見ている。

 しかし、中国は制裁に加わっておらず、自国通貨へのアクセスをオープンにしているため、ロシアの国際取引における潜在的な代替手段となっている。

 MTS銀行が同紙に語ったところによると、「制裁の状況下では、多くの企業が人民元での決済の方が安定的で予測可能だと考えている」そうだ。アナリストによると、制裁によりロシアの輸入業者や生産者がアジアに方向転換を迫られ、ドルやユーロがロシア企業にとって信頼できないものと見なされるようになったため、人民元での決済はさらに増加する可能性があるという。