視点;エマ―ディー解説員 ガザの戦闘めぐる大きく隔たる 超大国の姿勢と民衆の意見 Pars Today イラン国営放送日本語版 War in Palestaine #0055 17 October 2023 E-wave Tokyo 2023年10月18日 |
10月 16, 2023 19:12 Asia/Tokyo ガザでの戦闘 出典:Pars Taday イラン国営放送 ガザでの戦闘 シオニスト政権イスラエルがパレスチナ・ガザ地区の住民に対し全面戦争を始めてから10日が経過しましたが、諸国民が占領者たる同政権の犯罪を非難しているのに対し、世界の超大国は依然として、このような犯罪に沈黙を保つ、もしくはイスラエルを支持しようとしています。 パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスは今月7日、パレスチナ人および自分たちの神聖視する場所・アクサーモスクに対し占領者政権イスラエルが行う犯罪に対抗するため、「アクサーの嵐」作戦を実施し、シオニスト政権にその75年に及ぶ占領史上最大の敗北をもたらしました。しかしイスラエル側は、この作戦への反応としてガザ地区への全面戦争を開始し、それは現在も続けられています。 ガザ地区にあるパレスチナ保健省は16日月曜、イスラエルの攻撃によるパレスチナ人殉教者がさらに増えて2670人、負傷者も9200人となり、その60%以上は子供と女性で占められていると発表しました。イスラエルの犯罪の規模があまりにも大きいことから、シオニスト系のメディアでさえ、ガザが「大惨事に見舞われた」としながら、その状況をさながらゴーストタウンだと表現しています。それにもかかわらず、シオニスト政権はガザに対して地上戦も開始しようとしています。 出典:Pars Taday イラン国営放送 イスラエル政権の犯罪 今回の戦闘をめぐって重要を見られる点は、政府と民衆の取る姿勢が特に世界超大国において、明らかに大きく隔たっていることです。 各国の人々は、数千人規模のパレスチナ支援デモを実施することでイスラエルの犯罪を非難し、その犯罪の阻止に向けて世界規模で措置を講じるよう求めています。イラク、ヨルダン、バーレーンをはじめとした西アジア全体では数万人、アルジェリア、チュニジア、モロッコなどのアフリカでは数万人、イギリスなどのヨーロッパ諸国では数万人、そしてアメリカやチリでは数千人が、市民デモに参加してガザ住民への支持を表明し、イスラエルの犯罪を非難しながらその攻撃を防ぐべく諸国間で協力していくよう呼びかけています。 出典:Pars Taday イラン国営放送 イスラエル政権の犯罪 しかしその一方で、これらの国の政府はほとんどが、沈黙を決め込む、もしくはイスラエル政権の犯罪を支持するなどしています。アメリカ、イギリス、フランスの政府は、イスラエルの現政権を公式に支持しており、さらにガザ北部の人々を同地区から立ち退かせ強制移住させようと、アラブ諸国の政府と協議さえ行っています。また、アラブ諸国の政府もこれまでに、イスラエルの犯罪への非難を表明した以外には実際的なパレスチナ支援の行動をとっていません。この部分でも、これらの国々の政府のアプローチとその国々の人々の要求や姿勢との間に隔たりがあることが、改めて浮き彫りにされています。 出典:Pars Taday イラン国営放送 ガザでの戦闘 フランス・パリ政治学院の著名な国際関係専門家であるベルトラン・バディ教授は、「一部のアラブ諸国政府は、パレスチナ支援は非常に高くつくと考えているが、そうした国々の民衆が取っている立場は、パレスチナの理想と融合したものだ」と語りました。その上で、2011年のアラブ圏の民衆革命蜂起中や昨年開催されたカタールでのサッカーW杯でもパレスチナ国旗が広く掲げられたことを指摘しながら、「これは、人々が腐敗し弱体化した専制政権に自身が失望していることを表現する方法にもなっている」という見解も示しました。 ガザでの戦闘をめぐり、大国を含む世界各国で政府とその民衆の姿勢が隔たっていることは、世の中で起きる出来事、事件、戦争に対し、人々は政治ゲームや人種差別から離れた公正な姿勢が取れるものの、人権を主張する世界大国は、不公正、差別、人種主義にまみれた行動しかとれていない、という現実を示していると言えるでしょう。 |