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プーチンは勝利した: 次の6年間の任期に 何を期待するか? Putin Has Won: What to Expect From His Next Six-Year Term? Sputinik International War on Ukraine #4774 18Mar. 2024 英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問) E-wave Tokyo 2024年3月19日 |
© Sputnik / POOL / Go to the mediabank リード文 ウラジーミル・プーチンの勝利は、現在進行中の世界的地政学的転換の中で、ロシアの経済的台頭と軍事技術的発展を確実なものにするだろう、とスプートニクの対談相手は大統領選挙の結果についてコメントした。 著者:エカテリーナ・ブリノワ(Ekaterina Blinova) エカテリーナ・ブリノワはフリージャーナリストで、2014年からスプートニクの寄稿者。専門は米国、欧州、中東、アジアの政治、国際関係、社会学、ハイテク。 本文 ロシアのプーチン大統領は3月17日、再選に成功し、80%以上の得票率で新たに6年の任期を確保した。過去数ヶ月間、プーチン大統領は一連の演説やインタビューの中で、ロシアの社会経済発展に関して既に達成されたこと、そして今後数年間で達成されるべきことを振り返り、自身の戦略を概説した。 スプートニクは、経済と軍事の専門家と対談し、今後6年間のロシアの政策に起こりうる変化について議論した。 ◆軍事:「軍備競争」ではなく「技術競争」を 軍事アナリストで『Arsenal Otechestva(祖国の工廠)』の編集者であるアレクセイ・レオンコフ氏は、スプートニクに対し、「プーチン大統領の勝利は、彼の下で(ロシアが)研究開発から始まり、ロシア軍への近代的な兵器や軍事装備の納入に至る(技術的な)連担/つながりを構築してきたことを踏まえれば、それは勝利を決定づける要因である。」と語った。 「特別軍事作戦が証明したように、敵はロシアの最新兵器システムを打ち負かす方法を探している。つまり、彼らは普遍的な手段、あるいは、彼らの意見では、どんな軍事作戦でも勝利が保証される奇跡的な技術を求めているのだ。」とレオンコフは続けた。 プーチンは、2月29日の連邦議会での演説の中で、西側諸国がロシアを軍拡競争に引きずり込もうとしていることを非難し、1980年代にソビエト連邦が崩壊する際に同様の手口が使われたことを強調した。 レオンコフによれば、ロシアは再びこの罠にはまることはない。ロシアは「軍拡競争」に参加する代わりに、西側諸国との技術競争に参入し、いくつかの分野で西側諸国を凌駕している。レオンコフ氏は特に、ロシア製の新型ドローン群や電子戦(EW)機器とともに、現在特別軍事作戦で使用されているロシアの極超音速兵器について言及した。 専門家によれば、ロシアの防衛産業は、今後6年間で150万人まで軍備が増強されることに関連し、技術的な近代化が行われる予定である。 彼は特に、陸・空・海軍のために新世代の小型極超音速兵器が製造されることを期待している。ロシア軍はまた、最新鋭のS-500防空システム、EWシステム、高精度の砲弾や弾薬、新しい物理的原理に基づく武器も手に入れる可能性がある。 この作業は、国防産業複合体の一部であるロシアの設計局によって、新しい技術、最新の素材、最新の開発に基づいて行われるとレオンコフは強調した。 ◆経済 西側に代わるロシアとBRICS ロシアの軍事技術的近代化が可能になったのは、プーチン政権下で経済戦略が大きく変わったからだ。西側の制裁は、ロシアの工業化と貿易関係の多様化を促進し、よりグローバル・サウス(南半球)を重視するようになった。 「ロシアは購買力平価でドイツを抜き去り、世界第5位の経済大国となった」と大統領は13日、スプートニクの親メディアグループ、ロシヤ・セゴドニャのドミトリー・キセレフ総局長との独占インタビューに応じた。大統領は、「経済の構造そのものが変わり、より効率的で、より近代的で、より革新的なものになることが重要だ」と指摘し、選挙に勝てばそれに取り組むつもりだと付け加えた。 さらに、モスクワとそのパートナーは、長い間世界貿易における懲罰の道具となってきた米ドルからの離脱を加速させている。 「ロシアは、欧米の経済・金融制裁によって始まった脱ドル化の旗手と見なされており、その後、ロシアがSWIFTシステムにアクセスすることを禁じたことで一気に加速した」と、実業家でコンサルティング会社ゴンチャロフLLCのオーナーであるポール・ゴンチャロフ氏はスプートニクに語った。 西側諸国がロシア中央銀行の資産凍結を決定したことは、他の国々への警鐘となった、と同オブザーバーは言う。「ドル決済が単純な金融決済のための方法として、また無担保の価値貯蔵機関として安全でないと見なされれば見なされるほど、信頼は損なわれ、今後もますます損なわれ続けるだろう。」とゴンチャロフ氏は指摘する。 「ロシアは現在、ヨーロッパ最大の経済大国として台頭しているだけでなく、BRICS、ユーラシア経済連合、ASEAN、アフリカ大陸自由貿易地域、湾岸協力会議、南部共同市場(メルコスール)、上海協力機構など、経済的に関連性が高く、急速に強化されつつある国家グループの中で、目に見えて重要な位置を占めている。 ゴンチャロフ氏は、「これは、従来から目立って注目されてきたG7よりも大きな地域経済グループである。」と指摘した。 「別の見方をすれば、ロシアは世界で最も急成長している経済圏と連携しており、これらの経済圏はすでに世界の成長エンジンの大部分を占めている」とゴンチャロフ氏は強調する。「BRICSは2024年1月に設立当初の5カ国から10カ国に倍増したばかりで、プーチン大統領はその推進に尽力している。 ※注:BRICS ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、(従来) イラン、サウジアラビア、エジプト、UAE、エチオピア (拡大) BRICSの拡大 西側と対立するロシアを助ける 専門家はBRICSが数十カ国に拡大すると予想 ◆外交政策 ロシアは地理経済的安全保障の空間を創造する ロシアの外交政策の優先順位は、プーチン大統領が連邦議会へのメッセージ、キセレフ氏とのインタビュー、そして以前に行われた米国の独立ジャーナリスト、タッカー・カールソン氏とのインタビューの中で明確にしている、と政治学者で国立研究大学高等経済学院(HSE大学)教授のドミトリー・エブスタフィエフ氏は言う。 エフスタフィエフは、プーチンの今後6年間の任期中のロシアの対外戦略について、4つの主要なベクトルを示した: 第一に、ポストソビエト空間およびユーラシア全般におけるロシアのパートナーとの対話の維持; 第二に、2024年の米大統領選の結果が明らかになった後に行われるであろう、世界の主要な安全保障問題に関する西側諸国および米国との交渉の実施; 第三に、ロシアとグローバル・サウスとの関係を深めること; 第四に、新たな地理経済空間とドルを使わない決済システムの構築である。 「ロシアは、国際関係システムの他の参加者がイニシアチブを取らない中で、アメリカ中心の世界経済が崩壊した場合に備えて、地理的経済的安全保障の空間を創造するリーダーの役割を担っている。」とエブスタフィエフは説明した。 「アメリカ中心の経済は、近いうちに非常に深刻な危機に陥るかもしれない。したがって、ロシアは、まず第一に、自らを守るために、そのような安全保障空間を作り出すだろう」。 同教授は、ロシアが西側諸国と建設的な対話を行うことができるのは、アメリカやヨーロッパのまともで責任感のある政治家が自国の手綱を握り、最後通牒やプロパガンダの言葉を避けながら、安全保障問題やヨーロッパとユーロ大西洋地域のさらなる関係構築について話し始めた場合だけだと指摘する。エフスタフィエフによれば、現在、西側の主要国の舵取り役にはそのような政治家はいないという。 最後に、このアナリストはプーチンの次の任期中に外交戦略が突然変わるとは予想していない:「プーチンは、そのような急激で決定的な転換をするような人物ではない。プーチンが下す決断については、誰もが比較的早く知るところだが、その決断から3年後には、誰もがその変化の大きさを理解するようになる。」 「ロシアは、2021年12月に宣言された自国の利益を損なうことなく、粘り強く目標を前進させる」と、エブスタフィエフは、特別軍事作戦の前にワシントンとNATOに手渡されたクレムリンの安全保障協定草案に言及して述べた。「ロシアは、西側諸国が話し合いを始めるために十分に接近するまで待つだろう。」 本稿終了 |