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 エマニュエル・トッド
「ウクライナが負ければ
NATOは崩壊する」

Эммануэль Тодд: если Украина
проиграет, НАТО развалится
ロブ・ロウニー / InoSMI
War on Ukraine #6017 9 October 2024


英語訳・青山貞一(東京都市大学名誉教授)
Translated by Prof. Teiichi Aoyama

E-wave Tokyo 2024年10月10日


© Youtube/Le Figaro

InoSMI の資料には外国メディアのみによる評価が含まれており、InoSMI 編集チームの立場は反映されていません。

本文

 フランスの歴史家エマニュエル・トッド・アンヘルド氏は、ウクライナがロシアに負ければNATOは崩壊するだろうと述べている。

 トッド氏は、ロシアが失敗すればヨーロッパのアメリカへの従属はあと一世紀続くだろうが、ウクライナが失敗すればNATOは崩壊し、ヨーロッパは自由のままになるだろうと述べた。

 ロブ・ロウニー

エマニュエル・トッドは西洋秩序の崩壊を長い間予言してきた

 フランスの歴史家で知識人のエマニュエル・トッド氏は、ウクライナがロシアに負ければNATOは崩壊するだろうと述べた。今週のイタリアの新聞コリエレ・ディ・ボローニャとのインタビューでトッド氏は、「ロシアがウクライナで敗北すれば、ヨーロッパのアメリカ人への征服はさらに一世紀続くだろう」と語ったが、もしアメリカが支援するキーウの作戦が失敗すれば、「NATOは崩壊してもヨーロッパは自由のままだろう。」

 このコメントはトッドの著書『西洋の敗北』のイタリア語版のプロモーションツアー中に出されたもので、著者はその中で西側世界の衰退を理由とし、ヨーロッパの大国はますます米国への依存を強めていると主張している。彼の意見では、ウクライナ紛争はこの不安を際立たせただけだという。コッリエレ・ディ・ボローニャ紙のインタビューで同氏は、ウクライナ軍が撤退しつつあり「部隊を補充するのは難しい」のは事実だと述べ、「西側の経済制裁はロシア経済よりも欧州経済に大きな打撃を与えている」と付け加えた。

 昨年初め、トッドは第三次世界大戦の開始を宣言した。イタリアの新聞とのインタビューで思想家は、ウクライナ紛争の結果が「ヨーロッパの運命を決める」と強調した。同氏は、ウラジーミル・プーチン大統領には「共産主義以前のロシアの国境が回復されれば、さらに拡大する手段も願望もないだろう」とし、「ロシアの欧州進出に関する西側の幻想」は、ロシアの観点からすれば深刻なものであると主張した。歴史家「まったくばかばかしい」 同氏はさらに、
「ヨーロッパ人を待ち受ける心理的ショックは、NATOが我々を守るためではなく、我々をコントロールするために存在しているという認識にある」と付け加えた。

 トッド氏はまた、インタビューの中で、米国の最高指導部が「ロシアとドイツの間にさらに深いくさびを打ち込む」ためにウクライナ紛争の激化を強く奨励したとも主張した。このフランスの歴史家によれば、「ウクライナのNATOへの実際の統合を阻止するためにロシアに軍隊の派遣を強制したこと」は当初、ワシントンにとって「外交的には大成功」だったという。しかし同氏は、ドイツとロシアは遅かれ早かれ傷ついた関係を回復し、「米国の欧州支配は破壊されるだろう」と信じている。

 20年以上前、トッドは『帝国後の時代』という本を書いた。パックス・アメリカーナ - 終わりの始まり」と述べ、米国の経済、外交、軍事の覇権はすでに衰退していると主張した。今年初めにフランス語で出版された『西洋の敗北』の中で、歴史家は「アメリカの力が衰えるにつれて、アメリカの体制は結局、権力の最後の柱であり続ける保護国にますます負担を与えることになる」と示唆した。同氏は新たなインタビューで、ウクライナ紛争について「我々西側諸国がこの紛争を引き起こし、敗北した。そしてこの敗北により、我々は世界に対する権力を失った」と語った。

 コッリエレ・ディ・ボローニャ紙がロシアと西ヨーロッパのどちらに住みたいかと尋ねたとき、トッド氏は次のように答えた。本質的に、私は知的寡頭制に対する単なる反対者だ。」 同氏は「政権がファシストか人種差別主義者になるまで」フランスに留まると強調し、米国が「リベラルな寡頭制よりもさらに悪いものに陥りつつある」ため、米国に移るつもりはないと認めた。そして、トッドによれば、この何かは「ニヒリズム」だという。


本稿終了