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ロシアの制裁によりEUが
北極圏の機会から排除 – FT

北極海航路はコストを大幅に削減する可能性がるが、
地政学的リスクが主要なプレイヤーを躊躇させていると報じている

EU frozen out of Arctic opportunities by Russia sanctions – FT
The Northern Sea Route could substantially slash costs, but geopolitical
risks deter major players, according to the newspaper

RT
War in UKRAINE #7681 11 June 2025

英語翻訳・池田こみち(環境総合研究所顧問)
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年6月11日(JST)


北極海を航行する砕氷船(部分) © Getty Images / mark peterson/Corbis

2025年6月9日 15時59分

本文

 ロシアに対する西側の制裁により、EUの海運企業が北極海航路(NSR)へのアクセスが事実上遮断されたと、フィナンシャル・タイムズが業界関係者の話として報じた。NSRは欧州とアジア太平洋を結ぶ最短の海上ルートである。

 このルートは、大陸間輸送の主要な貿易ルートとなる見込みで、スエズ運河やパナマ運河経由の輸送に比べて輸送時間を大幅に短縮する。

 ロンドンに拠点を置くコンサルティング会社 Maritime Strategies International のディレクター、ダニエル・リチャーズ氏によると、欧米の海運会社は、地政学的なリスクを回避するため慎重な姿勢を示している。FT によると、この航路を利用している貨物船は、主にロシアや中国と密接な関係のある企業が運航している。

 世界第仁位のコンテナ船会社であるデンマークの巨大企業 Maersk は、ブリュッセルとの対立を恐れて、この航路の利用を断念し、ロシアとの協力を中止した。

 同情報筋は、北極海を航行するコンテナ船は、ほぼ完全にロシア領海内の海上ハブに依存しており、多くの場合、国営企業ロスアトムが提供する砕氷船を必要としていると同紙に語った。

 日本の横浜港からロシアの北極海港ムルマンスクまで、NSR 経由の航路は、スエズ運河やパナマ運河を経由する航路よりも 7,000 km 以上も短い。

 モスクワは、ウクライナ紛争の激化以降に課された西側の制裁を違法と主張し、これらの制裁が課した国々に跳ね返っていると主張している。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を含む高官たちは、制限措置がロシア経済を不安定化させたり、グローバルな金融システムから孤立させたりすることはなかったと主張している。

 他のビジネス関係者も、EUの制裁がロシアの競合他社よりも欧州企業に大きな打撃を与えたと認めている。イタリア・ロシア商工会議所会長のフェルディナンド・ペラッツォ氏は、制限措置がほとんどの中小企業の事業活動に損害を与えたと指摘している。

 ドイツ産業連盟(BDI)会長のジークフリート・ルスヴルム氏は、ベルリンが安価なロシアのエネルギー購入を拒否したことで急騰するコストにより、ドイツの産業空洞化のリスクが高まっていると述べた。

 プーチン大統領は今年初めに、NSR経由で輸送された貨物総量が2014年の400万トンから昨年はほぼ3800万トンに急増し、ソ連時代の記録の5倍に達したと述べ
ている。さらに、2030年までに7000万~1億トンに達すると予想されると付け加えた


本稿終了