エントランスへはここをクリック         

反北京ヒステリーの金メダルは、
中国の五輪成功に心ない
攻撃を行ったNYTに決定

RT 2021年7月30日
The gold medal for anti-Beijing hysteria goes to the NYT for
its unhinged attack on China’s Olympic success

RT July 30 2021

翻訳:池田こみち (環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年8月2日
 

2021年7月25日、東京アクアティクスセンターで開催された東京2020オリンピック競技大会2日目の女子3mスプリングボード決勝のメダルセレモニーで、表彰台で金メダルを持ってポーズをとる中国チームのTingmao ShiとHan Wang。© Al Bello/Getty Images


執筆者
トム・ファウディ:英国の作家であり、東アジアを中心に政治や国際関係を分析している。

本文

 中国のスポーツの素晴らしさも、米国では無関心ではいられないことが、木曜日のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)に掲載された批判的な記事で明らかになった。これは、
現在米国で蔓延しているヒステリー文化の典型である。
 
 木曜日のニューヨーク・タイムズ紙は、「The Chinese Sports Machine's Single Goal: The Most Golds At Any Cost(中国のスポーツマシンの唯一の目標:どんな犠牲を払っても最も多くの金メダルをとること」というタイトルの驚くべき記事を掲載した。

 この記事は、事実上、中国が政治的目的のためにオリンピックを不正に操作したと主張し、「何万人もの子供たちを政府運営のトレーニングスクールに入れ」、若いアスリートを 「北京が支配することを望んでいるあまり目立たないスポーツ」に誘導していると非難している。御褒美は?できるだけ多くの金メダルを獲得し、その過程で政治的なポイントを獲得し、国に栄光をもたらすことである。

 これはパロディではない。

 豊富なオリンピックの歴史を持つ米国と中国の間で、メダル獲得のための熾烈な争いが繰り広げられている中、この記事は、自分の選んだ競技で優秀な成績を収めるために人生を捧げている中国のオリンピアンたち(世界中のどのアスリートもそうであるように)を見下し、馬鹿にし、そして完全に侮辱している。

 ニューヨーク・タイムズの見解を受け入れれば、彼らには参加する動機も野心も目的もなく、むしろ国家の単なる道具であることに満足していると思うだろう。

 それ以上に、この記事は本質的に皮肉であり、米国ほどスポーツの覇権を争う競争力のある国は世界にないと思われるだけに、自己認識が全く欠けている。

 何事にも「一番」であることを好み、負けることを嫌う米国の高校時代の運動部員のステレオタイプなイメージを頭に浮かべるのは簡単だ。彼は本当のアメリカのアスリートを代表する存在ではないかもしれない。彼らはおそらく、他の人たちと同じように謙虚で、勤勉で、高潔な人たちなのだ。しかし、彼は紛れもなく、国内外の米国のスポーツ文化の「集団心理」を表している。

 しかし、それはここでの問題ではない。どこの国の選手であろうと、最もふさわしい選手が勝つように、スポーツはスポーツなのだ。ニューヨーク・タイムズ紙が中国に関してこのような全くひどい記事を掲載したことは驚くべきことではないが、政府の外交政策に沿って、可能な限り否定的、中傷的、完全にヒステリックになっている米国メディアの大きな流れの一例なのだ。

 中国の人々が外国の報道をますます軽蔑するようになったのも不思議ではない。特に米国の3大紙、NYT、Washington Post、Wall Street Journalは、中国国内のあらゆる出来事を細かく分析し、信用を落とし、攻撃しようとする反中国的な記事を毎日延々とベルトコンベアーのように流しているが、その多くは全く馬鹿げた前提に基づいている。

 例えば、最近の報道では、「中国のワクチンは効かない」という記事に執着しているが、それだけではない。

 今では、中国のオリンピックでの成果は、残忍な政治的陰謀によって、選手を意図的に無関係なスポーツ(もちろん、無関係と考えるのは米国人だけだが)に振り分けているため、信用できない、だから価値がないのだという主張がなされている。

 この報道が滑稽なのは、東京で誰がトップに立つかるかということを問題にしていない。尤も、ニューヨーク・タイムズ紙の国別メダル獲得数一覧は、金メダルではなく獲得したメダルの総数で国をランク付けしているので、米国が一位なのだが-もしそうでなければ(選手個人個人を取り上げていれば)こうした主張も信じててもらえるかもしれないが。


出典:東京五輪ガイド Yahoo  2021-8-1 現在

 そうではなく、米国のメディアや政治家が、中国に関していかに正気を失っているかを表しているということだ。米国はますます不安を募らせ、主流のコメンテーターは中国がスポーツで活躍することにさえ耐えられないほどだが、米国が中国に劣等感を抱く理由がないことを考えると、これは奇妙なことだ。

 米国では「ヒステリー文化」が横行しており、特に政府の外交政策の優先順位の正当性に関しては、例えば、マッカーシズムの遺産であるとか、イラク戦争を不法に行うためにテロへの過度の恐怖心が利用されたことなどが挙げられるが、中国の挑戦は、世界における自分の居場所や地位に関する米国の集団的な自尊心に真の不安を投影しているという点でユニークである。

 この現象は、差し迫った攻撃への直接的な恐怖というよりも、追い越されたり、追いつかない可能性のある国があるという認識であり、米国は常に世界を支配し、自分たちの方向性に合わせて形作っていくべきだという既定の認識が終わりを迎えるという事に対する恐怖である。一言で言えば、それは覇権の問題であり、覇権が常態であるという信念である。

 "Make America Great Again!"や"America is Back!"といったスローガンには、米国が何かを失い、世界での地位を取り戻さなければならないという生来の考え方が反映されている。その主な原因は中国にあると考えられており、そのため、中国は米国国内のすべての問題のスケープゴートとして使われている。

 そのため、答えは常に封じ込めであり、以前にもコメントしたように、超党派の外交政策はますます混乱している。このヒステリー状態の中で、米国は理性を失い、世界のありのままの姿を理解することができなくなっている。

 
米国の不安の結果として、中国を馬鹿みたいに否定的に報道し、あらゆる領域で地政学的競争と中傷戦術に執着するようになっている。ワクチン、オリンピック、貿易、テクノロジーなど、あらゆることがゼロサムで妥協のない政治的闘争に仕立て上げられ、そこでは、中国の成功を細かいことまで徹底的に調べてあらゆる犠牲を払ってでもうまく(適切に)その信用を落とす必要があるのだ。

 この2年間、中国の「脅威」は米国の頭の中に家賃無しでスペースを確保してきたが、この全く幼稚なニューヨーク・タイムズ紙の攻撃ほど、これを完璧に示したものはない。