チャヴェス・ ヴェネズエラ大統領3選 新しい社会主義国家を目指す アルジャジーラ 掲載:2006年12月6日 |
【アルジャジーラ特約4日】 ヴェネズエラ大統領選では、現職のウゴ・チャヴェス氏が勝利して3選された。同大統領は4日、歓呼する群衆に対して首都カラカスの大統領宮殿バルコニーから、「人民の勝利、万歳」と叫んだ。 これまで8年間、大統領の座にあった、この52歳の人物は、自分独自の社会革命を継続すると誓った。 対立候補のマヌエル・ロサレス氏は敗北を認め、「相手側がわれわれを負かしたことを認める。しかし、われわれは闘いを継続する」と述べた。 開票の中間結果(開票率78%)では、チャヴェス候補が投票の61%を獲得、ロサレス候補は38%だった。 ヴェネズエラ西部の石油産出州の知事であるロサレス氏は、チャヴェス嫌いを主たる動機として結束した野党連合を率い、大統領が同国の莫大な石油という富を横領していると非難して戦った。 選挙当日には、多くの投票所に長い行列ができ、一部の地域では投票は午後4時で終了することに定められていたが、投票所は法に従って、行列の最後の1人が投票するまで閉鎖できなかった。 ヴェネズエラの厳しい選挙法によって、出口調査の結果は、選挙管理委員会が全投票の半数以上を開票し、開票の状況を公表するまで、いかなる形での出版も放送も許されていない。 治安当局筋によると、投票中に重大な事件は皆無だった。選挙運動が暴力化する場合に備えて、特別部隊が配備されていた。 ロサレス陣営の中では、一部に選挙不正があったといううわさが広がったが、選挙管理当局はいかなる違法行為も報告しなかった。投票率の高さを強調して、チャヴェス候補は「民主主義的な結果」を予測していた。 チャヴェス派のリードがずっと続いたにもかかわらず、選挙運動の中ではヴェネズエラ国民の間に分裂が明確となり、多くの有権者の間で極端な意見が表明された。 中流階級が住む通りをマルガリータ・ブディックと名付けられたスラム街が取り囲んでいる近郊サンベルナディノでは、ロサレス派の退職者の女性(68)は、自分が投票するようになってから50年間の中で最も重要な選挙だとして、「この選挙は、私たちがここに住んでいられるのかどうか、共産主義になってしまうのかどうかを決めるでしょう」と話していた。 商店主のフリオ・セサール・ペレスさん(59)は投票の番が来るのを待っていたが、そのそばの壁にはアンクル・サム(米国を象徴する人物像)の戯画と一緒に「祖国を売り渡すことはできない」と書かれた帝国主義反対の落書きがあった。 チャヴェス支持の真っ赤なシャツを着たペレスさんは「このシャツがすべてを物語っているさ」と話した。 チャヴェス大統領は先に、米国政府を非難して、ヴェネズエラに不和のタネを蒔こうとしていると述べ、対立候補を「アメリカ帝国」の傀儡(かいらい)とののしった。同大統領は3選されれば、新しい社会主義の時代をスタートさせると公約していた。 一方、ロサレス候補は、これまで仲間割れしていたヴェネズエラの野党諸派をなんとかまとめるのに成功し、チャベス大統領はヴェネズエラを共産主義国家にしようとしていると主張、チャベス氏を「カストロ(キューバの最高指導者)の膝に抱かれたあやつり人形」と呼んだ。 大統領選挙での有権者は1600万人で、うち1万7000人が米国フロリダ州マイアミで有権者登録し、投票した。 今年の中南米は選挙で明け暮れたが、左翼ないし左翼系の国家元首がおれまでに就任した。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟) |