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廃プラスチック焼却計画の
撤回を求める東京23区民・区議会議員
による共同声明

2006年5月16日

掲載日: 2006.6.6


● 廃プラスチック焼却処理の実施方針は自治権を踏みにじるものです

 4月17日、東京23区ならびに清掃一部事務組合は「東京23区における廃プラスチック等のサーマルリサイクルの実施について」という記者発表を行いました。

 その主な内容は、2008(H20)年度から23区全域で廃プラスチックを「可燃ごみ」として収集し焼却処理する、それに向けて今年度から収集運搬のモデル事業と清掃工場における焼却実験に入る、というものです。

 この発表を受けて、今年度のモデル事業を実施するとされた足立、杉並、品川、大田の4区だけでなく、すべての区でモデル事業実施に向けた準備作業が早々に始まっています。

 計画の決定は当然、各区の区議会並びに区民の十分な理解と合意を踏まえ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第六条の定めに従って、各区の一般廃棄物処理基本計画においてその意義や課題、スケジュール等が十分に検討・整理されていなければなりませんが、その手続きが踏まれていません。

 私たちの調査では、2000年度に計画を策定したまま、いまだに改定していない区も7区あり、廃プラスチックの焼却処理・混合収集の是非そのものについてさえ、一般廃棄物処理基本計画上の整理が行われていない区も数多くあるのが現状です。

 こうした状況からすれば、今回の廃プラスチック焼却計画・モデル実施計画は、廃掃法の手続きと精神をないがしろにする行為です。また、モデル区の確定は、ほとんどの区議会において審議や了解もないまま一方的に記者発表され、区民への説明や意見募集などまったく行われず、はなはだしい議会軽視、区民無視で容認できるものではありません。

 そもそも区、市町村のごみ処理のあり方は、各区のごみ減量審議会などで十分時間をかけ、議論したうえで基本計画を作成していくと廃棄物処理法上も自治権がうたわれており、今回の廃プラ焼却・混合収集は、各区の自治権を否定するものです。

●区民への衝撃と影響は極めて深刻です

 廃プラスチックの焼却とこれに伴う混合収集は、長年にわたって行政自身が推進してきた23区の分別収集・運搬・処理のシステムを抜本的に転換するものであり、清掃工場の安全性や環境リスク、財政や施設整備計画のあり方、さらには区民の意識やライフスタイル、子どもたちの環境教育も含めてその影響はきわめて広汎かつ深刻です。

 また、廃プラスチックの焼却はごみを増やすことに繋がり、これまで「混ぜればごみ、分ければ資源」の原則のもと、分別によってごみの減量努力を続けてきた多くの区民や市民団体の努力を踏みにじり、区民の信用を失墜させるものです。

●遅れている廃プラスチックの減量・資源化の取り組み努力を23区全体でまずすべき

 廃プラスチックの減量・資源化に向けた取り組みは、一部の区でこそ先行的に行われているものの、23区全体としてははなはだ立ち遅れています。区長会主導で廃プラスチックの焼却に向けた動きが急ピッチで進む一方で、減量・資源化については「各区事項」とされ、23区共同で取り組む熱意や姿勢が感じられません。

 2005年5月26日改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第五条の二、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針では、「廃プラスチック類については、まず発生抑制を、次に再生利用を促進し、なお残るものについて、直接埋立を行わず、熱回収を行うことが適当である」となっています。容リ法対象プラスチックの資源化さえ遅々として進んでいない中で廃プラスチックの焼却を打ち出すことは、循環型社会づくりの理念と原則に背を向ける政策です。

 区民が望む政策は、限りある資源を大切に再利用し、ごみを減らし、焼却炉を減らし、焼却による大気汚染と温暖化などの環境汚染を軽減し、真の循環型社会を実現することです。

●焼却による大気汚染の実態把握のために全工場にダイオキシン連続測定装置の設置を

 東京都の大気のダイオキシン濃度が清掃工場の焼却炉に由来することは、都も認めるところです。プラスチックを清掃工場で焼却することは、二次公害を引きおこしたり、焼却炉への過大な負担を与えるため「焼却に適さない」と東京都の一般廃棄物処理基本計画『東京スリムプラン21』にも明記されていました。

 また、一般廃棄物の焼却炉に対する重金属類並びに未規制の有害物質については、国の安全基準もないのが現状です。こうした状況で、廃プラスチックの焼却実施を決定することは、区民の生命と健康に全く配慮していないことの現れと受け取らざるを得ません。

以上の理由から、私たちは以下の点を強く求めるものです。



一、 2008年度からの全面的な廃プラスチック焼却をめざす計画「東京23区における廃プラスチック等のサーマルリサイクルの実施について」を撤回し、今年度からのモデル収集等の準備作業を直ちに中止すること

二、 廃プラスチックの減量・資源化に向けた取り組みを23区共同で推進すること。とりわけペットボトル・トレイ以外の容リ法対象プラスチックについて、全区で減量・資源化に向けた具体的な実施計画を策定し加速化すること

三、 廃プラスチック焼却の是非、課題と意義等について、各区の議会、廃棄物減量等推進審議会もしくはこれに準ずる機関において十分に調査・検討を行うこと。各区区民の理解と合意が得られ、各区の一般廃棄物処理計画において適切に位置づけられるまでは、廃プラスチック焼却を行わないこと

四、  ごみ焼却が大気汚染の原因であることを十分認識し、焼却に伴う環境負荷を低減させるための対策を講ずること。まず従来の測定方法を見直して全工場にダイオキシンの連続モニタリング装置を設置し、その調査・分析結果を公開すること

以上

以下に賛同議員名、区民団体名、区名と区民個人名を列記

区議会議員連絡先目黒区議会議員 坂本史子
東京都目黒区中央町1-12-14-202
TEL 03(3715)1064/FAX 03(3715)0414

区民連絡先 廃プラ燃やすな!市民協議会代表 植田靖子
〒162-0042東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
日本消費者連盟気付
TEL03(5155)4765/FAX03(5155)4767
E-mail: nishoren@jca.apc.org