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本稿は、 原題:【令和元年秋 特別対談】伊藤貫氏の警告、パックス・アメリカーナと中華思想の間で摩滅する「商人国家日本」 チャンネル桜(代表水島総氏)、令和元年10月26日の動画の主な内容を、独立系メディア共同代表の池田こみちが二部に分け要点をトランスクリプトしたものです。 なお、文途中にある注)は、池田こみちが入れたものであり、伊藤氏、水島氏が入れた ものではありません。 第一部 アメリカの外交政策がわかりにくいのは、アメリカという国は、17世紀の初めから口で言うことと実際にやることが違う国だからだ。バージニア、マサチューセッツに移民し10数年後にはアフリカから奴隷を輸入、原住民(インディアン)を殺して搾取し,その後、メキシコ人からカリフォルニアやネバダなどの土地をを全部とって国土を広げてきたてきたにもかかわらず、自分たちほど、世界で道徳的な国はない、アメリカは “The shining city on the hill”等と言っている。 「世界を啓蒙し道徳化するために」等と言い、口では典型的なリベラル、理想主義的なことを言う。すなわち、口先ではウィルソニアン(理想主義的なことを言う)が、国を大きくして行くやり方を見ると、典型的な覇権主義者、拡張主義者である。 彼らの行動は覇権主義的・拡張主義的であり、その理屈はウィルソニアン、ジェファーソニアン的な理想主義。彼は奴隷を何百人も所有し、奴隷の女に子供まで産ませているにもかかわらず、独立宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等で有り。。。自由と幸福追求の権利を等。。」などと言い、奴隷制の廃止に強行に反対する。 そうした態度をジェファーソニアン・デモクラシーという。ウィルソニアン外交政策にしても、きれいな理想主義的なレトリックはいつもそうだが、行動は覇権主義的。フィリピンを攻撃、日本を攻撃、ドイツを攻撃し第二次大戦後はヨーロッパ、アジアすべてを支配する執拗に覇権主義的な国である。言うこととやることがかなりギャップがある。 問題は1991年、東西冷戦が終わったとき、米政府はソ連が崩壊したので、自分たちは世界を一極構造にできる、ユニポラライズ(Uni Polarize)できる、と言い出した。日本の親米保守の人たちは大喜びして「世界が一極構造になるのは目に見えている」と、「だから日本は親米でいくべき」、と主張していた。産経新聞のワシントン特派員も喜んだ。 一極構造で世界を支配できると思い、それを喜んだ人も多かった。外交問題はなくなるし、世界史は終わったといった本まで書いていた。一方で、リベラル派は三つの理屈をつくり、世界支配を進めようとした。 その一つ目は、“Democratic Peace Theory”だ。民主主義国家は平和を好む。だから戦争しない、だからアメリカが独裁国をどんどん倒してレジームチェンジさせ民主主義国家にすれば、世界から戦争はなくなり平和になると考えた。 その二つ目は、“Liberal Economic Interdependence Theory”というもので、それは、自由経済制度を世界に広めると世界が(相互に)商売をするようになる。商売で相互依存し、戦争をしなくなるというもの。だからアメリカの経済制度を他の国もすべて受け入れなさい、と言う。 もうひとつが、“Liberal Institutional Theory”。Institutionとは、制度のことで、大きな意味の制度で、例えば国際組織、国際制度、国際法、紛争処理機構などをつくって、世界中に広げていけば世界は平和になる。自由主義と民主主義を世界中に広げていけばアメリカをリーダーとして世界が平和になるという理屈を主張した。 しかし、実際にやったことはと言えば、1992年の2月にできたDefence Planning Guidance(Top Secret文書)をみると、「アメリカに対抗できるような国の出現を許さない」、「ロシアは永久に封じ込める」、「中国にも覇権を認めない」、「第二次大戦の敗戦国であるドイツと日本は独立を認めない」、「ドイツと日本には核を持たせない」、というものであり、要するに永遠にドイツも日本もアメリカに従属させ、アメリカが世界中を平定できるという理屈をもちだした。 非常に覇権主義的な考えをもっていた。が口では上記の三つのTheoryで民主主義的自由主義的な主張を繰り返した。 クリントン政権時代はそれがばれなかったが、2001年にアルカイダの攻撃があり、その後ネオコンの連中がほとんどがユダヤ人で、ネオコンとアメリカのイスラエルロビー、イスラエルのネタニヤフ政権(リクード党)が影で根っこは繋がり、アルカイダの攻撃を口実として、アメリカがイラクとシリアとイランをたたきのめそうとした。なぜその3つかというと、中東でイスラエルに対抗できるのはその三つだけなので、アメリカを利用してイラク・シリア・イランをたたきつぶそうとした。 2001年の911でこれを実現したとなっているが、1997年の段階で、クリントン政権がその政策を受け入れて1998年にIraq Regime Change Legislation(Iraq Liberation Act) という法案がでている。97-98年のホワイトハウスの安全保障会議の記録を見ると、ヒラリー・クリントンが一刻も早くイラクを爆撃しろ、と主張していることがわかる。ビルクリントンは戦争は嫌いだったがヒラリーは非常に好戦的だった。 ヒラリーは人殺しが好き。2011年3月にオバマ政権がブッシュ政権とカダフィの間の約束を破ってカダフィを殺した時にヒラリーが手をたたいて喜んだ。あの女はちょっとおかしい。人を殺して喜んでいた。イランに対してものすごく鷹派。イランと戦争になったら“We willobliterate ”(完全に抹消する)とまで言っていた。 注)2008年4月22日ののロイターの記事「クリントンはアメリカは完全にイランを消滅できると言っている」 Clinton says U.S. could "totally obliterate" Iran APRIL 22, 2008 1992年にアメリカは世界を一極構造にする、そのために軍事力をつかう、言うことを聞かない国には内政干渉してレジームチェンジさせる、それを正当化するときの理屈が「Democratic Peace Theory」。要するにアメリカが強硬手段を使って内政干渉し、政権をつぶしても、その後、アメリカが(主導して)“民主的な”選挙をやれば、結果としてアメリカのやり方は正当化できるという。だが、ヒラリー、コンドリーサ・ライス、オルブライト、ブッシュ(息子)にしても、ずっと同じ考えでやってきた。 オバマは三つ酷いことをやっている。ひとつは、2011年の2月にエジプトのムバラクを追い出し、それは民主主義の実現といい、その次の年、エジプトで選挙やったら、モスリム同胞団が勝って、オバマは「そんな奴は消してしまえ」と言ってCIAと国務省とエジプトの軍部がぐるになってモスレム同胞団のモリス氏に対してクーデターをやらせて潰してしまった。(その後裁判になったが、その最中モリス氏は亡くなっている)オバマはやりたい放題だった。 同じ年の3月にリビアを攻撃してカダフィーを殺した。だけど2003年にカダフィー大統領はブッシュ大統領とコンドリーサ・ライスと合意を結んで、当時リビアは核兵器開発を断念し、すべてをアメリカに渡す代わりに、リビアを攻撃しないように約束していた。カダフィーとしてはアメリカは攻撃してこないと思っていたら次の政権でそれを破棄され、結局殺された。2011年8月、オバマが突然、シリアのアサドについて“Asad should Go!”と言い出した。 失脚させると。シリアの反政府派(シーア派の原理主義者)でアルカイダとかISISに近い連中に武器と金(30億ドルちかく)を渡して混乱させた。意図的にシリアを内戦状態にした。その後ずっと内線が続き、60万人くらいが死んでいる。リビアもカダフィーを殺したあと混乱し、50~60万人が死んでいる、オバマは両方とも責任がある。 その後2011年12月に何をしたかというと、ブッシュ政権がイラクを叩き、一応イラクを平定したが、フセインはスンニ派だったが、シーア派に政権を取らせた。オバマは無責任なことに、米軍を引き上げたとたんにISISが台頭しシーア派が戦闘状態になって何十万人も死んだ。 2011年にオバマは、エジプト、シリア、リビア、イラクを壊して1年で4つの国を壊して内戦で百万人以上殺してけろっとしている。これがオバマの最初の罪。二つ目の罪は、ブッシュはアルカイダの容疑者を捕まえるとグアンタナモとかエジプト、ポーランド、バルカン半島などのCIAの拷問刑務所に連れて行って、CIAが拷問にかけていた。それは国際法違反。ブッシュは大統領による暗殺命令を300回出している。つまり、ブッシュはCIAに命令して300人を殺している。 オバマは、拷問は止めると言ったが、その代わりに「容疑者は全部殺す」、という方針を出した。オバマは8年間で3000件以上の大統領暗殺命令を出した。これは、前代未聞。オバマは44番目の大統領だが、初代から43代目までの大統領が出した暗殺命令の数より、オバマ一人が出した数の方が多い。歴代大統領で最大の数。 これは国際法違反。オバマは暗殺中毒。毎週、火曜日の夕方になると、執務室に顔写真のあるカードを並べて、ホワイトハウス担当のCAI担当官(ブレナン)を執務室に呼んで、今週は「こいつとこいつを殺す」と毎週、火曜日の夕方になると指示していた。火曜日はTerror Tuesdayと言われていた。オバマは、それくらい暗殺が好きな人。凍り付くような心臓の持ち主。 注)ハフポストのオバマ大統領の恐怖の火曜日“Terror Tuesday”に関する記事 Terror Tuesdays, Kill Lists and Drones: Has the President Become a Law Unto Himself? アメリカのCIAは暗殺するときにドローンで暗殺する。CIAの暗殺する人はアリゾナとかミズーリの基地かどこかに居て,お茶飲みながらコンピュータで見ていて精密誘導弾かミサイルでターゲットがくると、スイッチを推して殺す!!それは大統領暗殺命令の顔写真のリストに乗った人の場合。 オバマ大統領の時代何をやったかというと、Signature Killingといって、ミズーリかユタかどこかの基地の中で、リラックスして画面見ながら観察していて、この人の動きが怪しいとなると、容疑者リストに載ってなくても、相手の正体が不明でも殺す。たとえば、何かを車に積み込もうとしているとか、その場で殺していいという。 注)オバマ大統領のドローンを使った暗殺についての記事 US to continue 'signature strikes' on people suspected of terrorist links Obama’s Most Dangerous Drone Tactic Is Here to Stay Inside Obama's drone panopticon: a secret machine with no accountability これは、国際法違反。世界中でSignature Killingが許されている国はアメリカとイスラエルだけ。CIAとかモサドは怪しいと思ったらその場で殺す。 オバマは大統領を辞める前の年に何をやったかというと、次の20年間で、新しい核兵器をつくるために1兆ドル(108兆円)使うと言った。ところが実査に計算してみたら1.7~1.8兆ドルかかる。日本円にすると200兆円近くが必要になることになり、それは世界最大の核兵器増産国となることに等しい。 注)オバマ大統領による核兵器の近代化と維持管理費、今後30年で1.2兆ドルアメリカ議会予算局の記事 U.S. nuclear arsenal to cost $1.2 trillion over next 30 years: CBO オバマの凄いのはそういう世界最大の核兵器を量産するいうことを命令したら、当然、ロシアや中国もそれじゃ自分たちもいっぱい作らなければいけないということになるにもかかわらず、それを決めてから日本に来て安倍と広島に行って「日米心を合わせて核のない世界を」などと言うところだ。 この心臓には驚く。これはオバマだけじゃなく、ペンタゴン、国務省、CIAはいかに日本人を馬鹿にしているか、要するに「おまえ等は幼稚でinfantileな連中だから、アメリカの言うことを聞いてりゃ言い」ということに他ならない。これはまさに、Profound Contempt(深い侮蔑=心底からの最大の軽蔑)であるとしか言いようがない。 ところが日本の新聞は、朝日毎日だけでなく、産経読売も感激してオバマさんが(核のない世界を)誓ってくれたとか書いている。これはもう現実の国際政治で起きていることと全く関係なくて、英語でmanipulateという言葉(狡猾に操るという言葉)があるが、日本人はアメリカに完全にマニピュレートされていることに他ならない。 Totally Manipulated.日本人なんかあほだから操れば良いと考えられている。産経新聞は鷹派の振りをしているが、その産経もすごくナイーブにオバマさんが来てくれて良かったなどと言っている。護憲左翼だけじゃなく、親米保守もものすごく子供っぽい。 第二部 水島:馬鹿も極まっている。バランスオブパワーというなかで考えると言うこととやることが違う。歴代の大統領がやってきたことは一貫している。オバマはリベラルですてきな人ではない。同じように中国は日米の関係を冷静に分析している。習近平を招くのは別の意味があると。 なぜ、トランプ政権は日本の親中国政策を認めているのか、米中は経済摩擦がおきているが、安倍は親中国政策をとっている。トランプ政権、民主党外交政策はそれを認めているのか。それは、中国と日本はパッケージでみているからではないか、と言ったが。 伊藤:ぼくはちょっと違っていて日本は今徹底的に不利で危険な立場におかれている。首相とか官庁は日本がどれほど危険な立場におかれているかも認識出来なくて、中国と目先の金儲けだけはしたい、米中の貿易関係がぐらついているから、日本の利権だけは確保したい、という考えで動いている。特に経産省の連中は、数年先の金儲けのことしか考えていない。数十年先の東アジアのバランスオブパワーがどうなるかについては、全然興味がない。 それは総理官邸にもない。アメリカは中国と30年戦争やるつもり。早ければ2040年、遅くても2050年には東アジアでの覇権を中国が握ってアメリカ勢力を東アジアから追い出そうと考えている。しかし、アメリカはそうはさせないと、中国を押さえ込もうとしている。 着々と米中は三十年先のことを考えている。30年後に勝つのは自分と思ってやっている。アメリカの対日政策というのは日本人には二度と自主防衛能力を持たせない、自衛隊をどんどん米軍の下部組織に組み込んでいき、自衛隊には自衛能力を持たせない、着々とそうしている。日本人はそれは危険と認識出来ないで、良かった良かったと言っている。 アメリカの対日政策の一番重要なことは自主防衛能力を持たせない、二つ目には、中国と北朝鮮とロシアが日本とアメリカをターゲットとする核ミサイルをどれほど増産しても、日本人にだけは核を持たせない、この二つが一番重要。 だから、オバマをわざわざ核の増産を指示しておきながら日本の広島に来てパフォーマンスしたのも日本人にだけは核を持たせたくないから。その動機でわざわざ日本に来て背筋の寒くなるようなパフォーマンスをやっている。これが、どれほど危険なことであるか、一回敗戦した日本には戦後何年経っても自主防衛能力を持たせないと決めている。 それで、中国と北朝鮮が移動式のICBMを持っている、また、最近はSLBMまで開発している。そうすると北朝鮮でさえアメリカが核攻撃をかけても移動式の核兵器をもつようになったので、それはどういうことかと言えば、もし北朝鮮が数年後に言うこと聞かないで日本にミサイルを撃ち込むようなことがあっても、アメリカは決して北朝鮮と核戦争をしない。 なぜかというと、アメリカには北朝鮮の核兵器をすべて破壊する能力がない、能力がなかったらたとえ、アメリカが先制攻撃をかけても、北朝鮮から5-10発の核攻撃を受けるだけでアメリカ人が30分以内に数十万人も死んでしまう。 どんなばかなアメリカの大統領でも絶対手を出さない。もちろん、中国とロシアは既に持っているけど。北朝鮮でさえ着々と移動式の核兵器を作っているとなれば、今から10年後15年後に北朝鮮が言うことをきかなくて日本に核を打ち込むぞ、と脅してきてもアメリカは客観的に北朝鮮と核戦争出来ない。そうすると核の傘はないもどうぜん。すでにもうパーになっているが、口先で言ってるだけ。 実はアメリカはもとから日本を護るために中国やロシアと核戦争するつもりはない。それが5-10年経つと今の鈍感な外務省と防衛省にもまざまざとわかるようになる。要するに中国とアメリカは30年先のことを考えてるが、日本人は現在の総理官邸も経産省も2-3年後に中国と金儲けしたい、これ以外には何も考えていない。 10年後に日本がどういう立場におかれるか、このまま中国、北朝鮮が核を開発していけばアメリカは東アジアに介入できなくなる。そういう事態に向かっているのに、日本政府と永田町の政治屋たちは2-3年先の目先の金儲けのことしか考えていない。 なぜアメリカがこれを許すのかというと、アメリカのペンタゴンもICAも国務省も日本担当官は見ていて、「こいつらあほか、自分たちがどんな危険な境遇におかれているかも認識もしないでなにやっているのか」と本音レベルでは相手にしていない。 アメリカと中国が覇権争奪戦で20-30年先に東アジアの覇権をどちらがとるか、しのぎを削っているのにそんなことまったく考えもせずに、中国となかよくしておけばビジネスチャンスをアメリカから盗めるというようなせこいことしか考えていない。せこくて馬鹿な日本人。 水島:アメリカの国益にとって、日本列島が38度線になるとおもっている。 両方から収奪される可能性がある。そのためには・・・ 戦争が起これば、米中はそれぞれの本土ではやらないから、日本が戦場となる可能性がある。アメリカの東アジアの拠点は日本と思っている。自衛力核兵器を持たせないのはよくわかる。日本列島が最前線になる。自らは戦わない琴を目指しているのでは。中国と日本を両方とも弱体化させていくのが狙いか。 伊藤;中米とも本気で東アジアにおける覇権の争奪戦をやっているが、両国ともたぶん、次の10年間は武力衝突を避ける。というのは、たとえば、シカゴ大学のウエストポイント卒業した軍事学者でジョン・ミアシャイマーという人が居て、もと太平洋艦隊の参謀長だったマイク・マクデヴィッドという海軍少将がいて、あと、ペンタゴンにOffice of Net Assessment という部署があり、純評価局という部署でペンタゴンで最高の参謀本部。国力の評価、軍事力、国力、技術力の評価を通して国力を評価している。その局長をやっていたクレピノビッチという人だが、アメリカは中国と正面衝突できないと評価している。 注)ジョン・ミアシャイマー (John J. Mearsheimer、1947年 - )Wikipedia アメリカ合衆国の政治学者で、シカゴ大学政治学部教授。国家が他国に対して パワーの拡大を試みる行為主体だと想定して安全保障を研究する攻撃的現実主義 (offensive realism)の代表的論者として知られる。 注)Michael McDevitt, Senior Fellow, Center for Naval Analysis 退役海軍少将で、米太平洋軍司令部の戦略計画・政策部長、国防総省東アジア 政策部長、国立戦争大学司令官などを務めた https://www.youtube.com/watch?v=0V5owteJD8Y 注)Andrew F. Krepinevich Jr. is a defense policy analyst who is a distinguished senior fellow at (and former longtime president of) the Center for Strategic and Budgetary Assessments.(中略) While working for the Office of Net Assessment in 1992, Krepinevich authored "The Military-Technical Revolution: A Preliminary Assessment," an influential document in the development of thinking about the "Revolution in Military Affairs." (Wikipedia) つまり、今の戦争は陸海空の通常兵器に加えて、核兵器、宇宙兵器、サイバー兵器があって、宇宙兵器とサイバー兵器は先に使った方が勝ち。通常の戦争のまえにまずその二つで前段の戦争をやると、お互いの人工衛星を全部壊したり、コンピュータネットワークを全部壊したりということをやる。これをやると結果はどうなるかわからないと三人とも言っている。 2030年に近くなればなるほど、国力と軍事力については差がなくなってくる。どっちが有利になるかわからない。そういう状態で、不確実性が高まる。陸海空+3つの分野の戦争がはじまるとどうなるかわからない。筋書きが読めない。経済力国力で両国が拮抗してくると、どちらの国民が先にギブアップするか、中国人は賢いことに先にギブアップするのはアメリカだと考えている。 アメリカは2023年頃になるとアメリカの人口の過半数が有色人種になる。2030年になると30才以下の人口の半分以上が非白人となる。アメリカはいまよりもっと不安定ないがみ合いとなる。今でも民主党と共和党はいがみ合い、お互いを罵り合っているのに。 大統領弾劾 (inpeachment) で引きずり下ろすことしか考えていない。2030年になって6つの戦力が拮抗する世になると中国もアメリカも予想できないようなダメージとコストになるから、お互いにやりたくないという状況になると思う、そうすると国力の差で、2030年になってもアメリカが今のようにヨーロッパ、中東、東アジアをすべて支配し続けることができるか。 米軍、CIA、国務省は2030年になっても、ヨーロッパと中近東と東アジアを全部支配し続けると言っているが、それは彼らの覇権欲と彼らの職場自体が覇権し続けることによって自分たちの組織も維持できて権力も高まるということから、彼らにとってはUnipolar hegemonyを維持し続けたい。彼らの理屈はそうだが、議会の予算局によると2030年代になると白人のベビーブーマー世代が引退し、老人のための老齢年金、医療制度が急増し、GDPの2~2.5%しか軍事費に使えなくなる。 今トランプは4%使っていてうまくいっていない。北朝鮮も、作りたい放題になっている。北朝鮮と中国と本気で戦争する積もりはない。10年後はコストが持たない。コストの面から10年先ヨーロッパ、中東、東アジアを3地域とも支配し続けることができるかというと無理。そうすると、どこかギブアップすることになる。どこをギブアップするかわからない。 だけどアメリカの政治資金の少なくとも半分以上はユダヤ人が支配している。ユダヤ人はアメリカを永遠に中東の軍事戦争に巻き込んでおきたい。特に、ネオコンはアメリカとシリア、アメリカとイラク、アメリカとイランを戦争させたいからずっと米軍の軍事介入を続けたい。 しかもその連中は、ヒラリーの場合には、ヒラリーの政治献金のトップ10を見ると、No.1~No.7までがユダヤ人。しかも1~6まではユダヤ人の金融業者なわけで、誰がアメリカの政治家をあやつっているかがわかる。圧倒的にアメリカのWall Streetのユダヤ人の金融業者が金を出している。そうすると、アメリカが中東の軍事紛争からでていくのは難しくなる。 そうすると、物理的にどこから手を引くかというと、その決断をするのは2028年のアメリカの大統領か2032年の大統領か、誰がなるかわからない。バーニーサンダースがなるかもしれない。彼は軍事予算を1/2にすると言っている。 中東の軍事介入をすべて止めるとも言っている。ぼくはそれもかなりあり得ると思っている。右翼の孤立主義者か左翼の反戦主義者か、だって、イギリスだってジョンソンの後、ジェレミーコービンが次の首相になるかもしれないと言われている。彼はもの凄い反戦主義者。イギリスでさえそうなるかもしれないのに世界中で右翼の孤立主義者か左翼の反戦主義者がトップになる可能性がある。 そうすると、2030年になって中国とアメリカの国力が均衡してきてアメリカの大統領がサンダースのようなひとになると、軍事紛争いやだからアメリカは東アジアから出て行っても十分暮らしていける。自然資源はあるし、エネルギーはあるし、食糧はあるし、朝鮮半島もいらない、日本もいらないと。 そういうことまで考えると、日本が今後着々と不利な立場に追い込まれている。だから日本は自主的な各防衛力と自主防衛能力を持たないと生き残れない、これは高校生だってわかること。これを日本の総理大臣と防衛省と外務省はわからないというのが凄いところ。 水島:習近平が変わっても共産党体制はかわらないと言われているが。選択と集中ができる中国の体制は、ドル基軸体制はどうなるのか。国際金融資本の動きはどうなるのか。人民元仮想通貨かをついにやりだした。世界の金融体制を替えていくかもしれない。中国共産党体制はどうなっていくのか。 伊藤:バランスオブパワーの争いが起きるというのは僕の視点は自然なこと。大きな視点から言うと、16世紀の後半と17世紀の後半は、ハプスブルグ帝国がヨーロッパで一番強く、それに対抗する連中が30年戦争を起こしてハプスブルグ帝国を押さえつけた、その後はフランスのルイ14世が大きくなりすぎて、その後はイギリスとドイツといろいろな国がブルボン王朝を押さえつけて戦争をやってきた。40年くらいかかっている。ハプスブルグを抑えるには100年くらいかかっている。 ロシア、イギリス、などナポレオンを抑えるために大戦争をやってユニポラー・ヘゲモンを押さえつけるのに大騒ぎして、気がついてみたら、ビスマルクのもとでドイツ帝国が大きくなっていた。それを押さえ込むために第一次、第二次世界大戦で、40年くらいかかっている。 こういう歴史を見ると、どこか一国が覇権国家になるとそこを押さえつけるのに40年から100年かかる。そういうパースペクティヴからみると、アメリカと中国が覇権争いを30年やるのは普通のこと。30年で終わればよくて、もしかすると50年続くかもしれない。人類史はそういうもの。 そういうことを少しわかれば、米中の覇権争いが30年、50年続いても"That's very natural"ということになる。それを日本の訳知りの人たちが、細かい知識を集めてきて専門家面しても、ビッグピクチャーが見えていない。 習近平が明日死んでも中国人は東アジアの覇権を握ろうと努力する、そういう国民。中国の歴史を見ると、帝国をつくってから100~150年後に一番強くなっている。中国共産党はまだ70年。 水島:日本の中にはそういう大きな見方が出来る人が居ないしない。 伊藤:自民党政権というのは吉田派と反吉田派に別れていて、反吉田派が居なくなってからはその後の政権ははっきり言って全部アメリカの傀儡政権。自民党は傀儡政権ですから。国務省とCIAとペンタゴンに言われたことをやっているだけ。誰が出てきてもアメリカに命令されたことをやっていくだけと言う体質がしみこんでいる。 言論界も同じ。アメリカの傀儡となることに喜びを感じているひとばかり。本気で独立したいわけではない。日本会議でも産経新聞の田久保さんでも。本音とはったりを使い分けてきているがアメリカの前に出ると跪く。時にはアメリカが言わなくてもアメリカに忖度して、せこいことを考える。アメリカは内々に憲法9条を替えてほしくないと自民党に伝えている。だから1項2項を残して3項に自衛隊を加えるような、加憲とかちんけなことを言っている。そんなことは意味はない。無意味。 水島:あんな改正ならやらないほうがいい。 伊藤:形式だけ憲法改正する振りをしていれば、日本の保守はおめでたいから、それで満足している。 |