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国民、福田内閣に見切り!
〜下げ止まらぬ内閣支持率〜

青山貞一

掲載日:2008年1月19日


 昨年12月23日に、「政権延命だけが自己目的化、福田内閣支持率急降下!」というブログを書いた。その後も福田内閣の支持率は下げ止まらない。既に危険水域に入っている。

 まず、この間の経緯を見てみよう。

●共同通信調査

 共同通信が2007年12月15日と16日の両日に実施した世論調査によると、福田内閣の支持率は35・3%と同社が11月上旬に行った世論調査に比べて11・7ポイントも落ち込んでいた。

 一方、不支持率は47・6%で11・0ポイントも上昇、初めて不支持が支持を上回った。このときの不支持の理由は、年金記録問題で福田内閣が全面的な解決を事実上断念したことにが「公約違反に当たる」との回答が57・6%を占め、「当たらない」は34・3%を大きく上回った。

 福田首相自身が「年金問題で公約違反というほど大げさなものか」と発言したことや、防衛省をめぐる守屋元事務次官の一連の利権疑惑が支持率急落に結び付いたとみられている。 さらに、国会を再延長した新テロ対策特別措置法案についてもこの時点で46・7%が反対であり、賛成の38・8%を大きく上回っていた。

 共同通信の世論調査では、望ましい政権の枠組みについても聞いていた。

 2007年11月の世論調査では自民党中心が多かった。しかし、同年12月調査では民主党中心が44・7%で自民党中心の28・5%を大きく引き離した。次の衆議院議員選挙の時期時期は2008年の前半までに行うのが望ましいが47・0%で2008年後半までに実施するが26・0%、また2009年に実施するが12・8%を大きく上回っていた。

 共同通信の世論調査の直後、C型肝炎問題で福田内閣は原告団が主張する全員一律救済に対し、高裁の司法判断を政府が勝手に変えるわけには行かないとうそぶいていた。

 その後、下げ止まらない内閣支持率に、福田首相が薬害肝炎患者を議員立法で一律救済するニュースが飛び込んできたが、C型肝炎被害者に議員立法で一律救済を福田首相が申し出ても内閣支持率は下げ止まらなかった。

 国民には福田首相の誠意のなさが見え透いていた。福田首相は、急降下した内閣支持率に押され、政権の保身的延命のために急転直下一律救済を決断したと思われたのである。

昨年末の内閣支持率調査

  朝日新聞    31%     12月19〜20日実施
  毎日新聞    33%     12月15〜16日実施
  共同通信    35.3%   12月15〜16日実施
  日経新聞    43%     12月14〜16日実施 
  フジサンケイ  39.2%   12月13日実施


グラフの出典:毎日新聞


●時事通信調査

 そして2008年1月11日〜14日にかけ時事通信が実施した世論調査によれば、福田内閣の支持率は34.5%と、時事通信が12月に実施した世論調査に比らべ実に5.6ポイントの大幅減となった。

 福田内閣支持率は5.6ポイント増の39.8%となった。

 時事通信社の調査でも、2008年9月に発足以来、福田政権の不支持が支持を逆転したことになる。

 時事通信によれば、該当者不明の年金記録約5000万件のうち一部の特定が困難となった問題で福田内閣への批判が高まったことに加え、薬害C型肝炎訴訟をめぐって福田首相が議員立法で一律救済を政治決断をしたものの4割台の支持率を維持できなかったとしている。

 不支持の理由(複数回答)としては期待が持てないが2.0ポイント増の23.3%で第一位である。リーダーシップがないが14.1%、政策がだめが10.2%などが続いている。

 年齢層別では、不支持は昨年12月調査で2割台にとどまっていた20歳代でも41.7%と15.2ポイントの大幅増となっている。60歳以上を除くすべての年代で不支持が4割を超えている。支持で4割を超えたのは70歳以上の44.8%だけであった。男女別では、不支持は男性47.9%、女性32.2%。支持は男性32.9%、女性が36.1%であり男性からの不支持が多い。 

 福田内閣支持率の低下は、産経新聞社がFNN(フジニュースネットワーク)と合同で1月13日と14日の両日実施した世論調査でも明確に現れている。

 FNNの世論調査では、福田内閣支持率は36.6%で、2006年11月10日と11日に実施したときの41.1%から4.5ポイントも下がっている。逆に内閣不支持率は47.3%で前回の40.3%から7ポイント増えている。

新テロ対策特別措置法案の再可決との関連

 時事通信社のコメントにはないが、今回の世論調査の実施時期(1月11日から14日)からみて、インド洋での海上自衛隊による補給活動を再開するための新テロ対策特別措置法案を福田内閣が衆院で再議決したことも内閣支持率の低下の一因となっていると思われる。

 事実、共同通信の世論調査では、国会を再延長した新テロ対策特別措置法案についてもこの時点で46・7%が反対であり、賛成の38・8%を大きく上回っていた。

 また、 FNNの世論調査でもインド洋で海上自衛隊の給油活動を再開させるための新テロ対策特別措置法が11日成立したことに関連した設問では、45.1%がよかったと評価しているものの、43.8%が問題があると答えており、ほとんど同数であったが、自民公明の与党が衆院の3分の2の多数で再議決したことに関し「よかった」としたのは39.4%にとどまり、48.4%が「問題がある」としていたからだ。

早くも安倍内閣末期に近い状況

 いずれにせよ、国民からの支持率で見る限り、安倍内閣の政権末期の数字に近づいている。

 以下は時事通信社が行っている内閣支持率に関する世論調査結果の推移である。グラフより分かるように、福田内閣は安倍内閣同様、総選挙を経ず政権の座に居座っている内閣であることに変わりはなく、安倍内閣同様、支持率の単調減少に歯止めがかかっていない。
 
出典:時事通信社
 
 国民の中には、3年前の郵政民営化問題を争点にした総選挙の議席でテロ特措法を強行採決するのは直近の民意(昨年参院選)をまったく反映しておらず許しがたいという意識が強くある。

とんでもない誤解

 その意味でも総選挙を早く実施し、国民世論の洗礼を受けるべきである。

 一部メディアや与党のなかには、総選挙で民主党など今の野党が衆院で過半数をとれなければ元の木阿弥で、「ねじれは解決しない」などと言う無味がある。

 これはとんでもない誤解であり、おかしな世論誘導である。

 なぜなら、現状はまさに3年前の郵政民営化問題を争点にした総選挙の議席で与党は2/3以上の異常な議席数を有している。

 今、総選挙を行えば間違いなく与党が2/3以上の議席をとることはありえない。となれば、今回のテロ特別措置法のような正当性のない再可決を自民・公明は行えないことになる。

 すなわち、もし総選挙で民主党などの野党が過半数をとれない場合でも、現在のような正当性のない自民・公明による衆院2/3議席による再可決を防ぐことは大いに意味があるのである。

 いずれにしても、3年前の郵政民営化問題を争点にした総選挙の議席はここ1,2年の国民の世論をまったく反映していないことは間違いない。

今後より顕在化する経済失政

 日本の異常な米国追随による弊害は、経済分野にも及んでいる。

 米国のいわゆるサブプライム問題は、とどめを知らぬ泥沼状況を呈しており、すでにこの弊害は日本の金融業界にも飛び火している。株価も下げ止まらない。

 2008年1月18日、福田内閣の一閣僚である大田経財相はもはや「経済一流」ではないと 国会冒頭演説で述べた。

 1月18日に召集された通常国会冒頭の経済演説で、大田弘子経済財政担当相が国際的地位の低下に歯止めがかからない日本経済の現状につき 「もはや日本は『経済は一流』と呼べない」と言ってのけた。

 まさにその通りである。大田大臣は一人当たりのGDPで日本はOECD諸国中何と18位に急落していると述べたが、各種の社会経済指標で見ると、政治はもともと3流であるとして、財政、経済、社会、教育などの多くの項目で到底日本は一流どころか二流もおぼつかない状況となっている。

 ちなみに環境ですら、毎年この時期にスイスのダボスで開催されるダボス会議に米国のコロンビア大学などが行っている環境保全力ランキングで、日本は50−60位を低迷してきた。

 池田こみち:日本の環境保全力は世界の62位

 いくら政府与党が自画自賛したとしても、本来、評価は他人がするものである。 その他人の評価で間違いなく日本は順位を下げている。