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大手製紙会社の古紙再生偽装B
 
〜産・官・学・NPOの相互癒着!?〜

池田こみち・青山貞一

掲載日:2008年1月29日

無断転載禁

  
 コピー用紙などの事務用紙からトイレットペーパといった家庭紙まで購入時にエコマークの有無を判断材料としている人は多い。エコマーク事業は、環境省の外郭団体である財団法人日本環境協会が事務局をつとめ、推進している事業である。

 その歴史は古く、1989年に「特定フロンを使用しないスプレー製品」など7種類の品目を対象としてスタートし、その後、対象類型および認定商品が毎年拡大され、2007年6月末現在では、47種類の商品類型、約4,600ブランドの商品をカバーするまでに至っている。それだけ認知度も高く、信頼性も高い者として消費者に親しまれてきたマークである。再生紙製品はその中でもかなりの数を占めていたと思われる。

 今回の一連の古紙混入率詐欺事件に絡んで、そうした製品にエコマークを認定してきた当財団がどのような対応をしているかホームページを確認してみた。

 すると、問題発覚後の対応は、製造会社の「自社ホームページで混入率に乖離があったことを認めている製品について、財団のホームページのエコマーク製品リストへの掲載を見合わせる」という対応のみであることが分かった。これまでに、4回掲載見合わせの広報が行われており、10社161ブランド(製品)にも及んでいる。

  http://www.ecomark.jp/index.html

 2008.1.17付け 日本製紙 1社 31ブランド
 2008.1.22付け 王子製紙、大王製紙、三菱製紙、北越製紙、
           中越パルプ工業 の5社で93ブランド
 2008.1.23付け 王子製紙、紀州製紙、日本大昭和板紙、リンテックの4社で
            6ブランド
 2008.1.25付け 三善製紙 1社 1ブランド

といった具合である。

 これからも、もっと増えるかも知れない。

 皮肉にも、環境協会のエコマークのトップページには、「厳しい審査をクリアした商品だけにマークがつけられます。そこから生まれる安心と信頼。だからこそ、エコマーク商品を買ったり、使ったりすることが環境にやさしい・・・さあ、あなたもはじめてみませんか?」と華々しく掲げられているのだ。

 いったい、「厳しい審査」とはどのようなものなのか、改めて確認してみたくなるのは当然のことである。審査を通と、それぞれの製品の売り上げに応じて、エコマーク使用料が財団に支払われる。その額は、売り上げに応じて、1万円から100万円(頭打ち)となっている。となると、これまでこのエコマークの付いた紙製品によってどれほどの使用料が財団に入ったのか、が気になるところである。そしてその使用料はどう使われてきたのかについても知りたいところである。

 エコマーク事業は、下記に示したように、運営委員会によって運営されている。その中には、事もあろうか、日本製紙連合会の常務理事も運営委員会のメンバーの一人として名を連ねている。また、「類型・基準制定委員会」にも、日本製紙連合会 技術環境部 調査役が名を連ねているのである。

 まさに、お手盛りとなっていると言われても仕方がない。一方で、事業者から申請された商品にエコマークを認定するかどうかの審査を行う「審査委員会」のメンバーは公表されていない。以前にも環境行政改革フォーラムのメンバーで財団に問い合わせを行ったことがあったが、「審査の公平性」などを理由に、公表は拒否された経緯を思い出した。

 エコマークが本当に消費者の信頼に足るマークというのであれば、事業の財務状況、運営実態などを含めすべてについて公表し、信を問うべきである。以下の名簿を見る限り、産・官・学・NPOのお遊び、自作自演に過ぎず、天下り法人の生き残りのための事業といわれても仕方がない。まじめに技術開発して環境にやさしい製品開発に取り組む中小企業や素直に信じてそれを買う消費者だけが馬鹿を見る事業は一旦すべて白紙に戻すべきではないだろうか。


エコマーク事業組織図 出典:http://www.ecomark.jp/youkou.html

<運営委員会>
事業者関係団体、消費者関係団体、環境保全に関する学識者および関係行政機関などの各界の有識者によって構成され、エコマーク事業の予算、事業計画、事業実施要領の制定・見直し、類型委員会・審査委員会ガイドラインなどの制定・見直し、その他エコマーク事業の運営に関する事項を審議します。→運営委員名簿

2007年度 エコマーク運営委員会」委員名簿(50音順)
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http://www.ecomark.jp/meibo_unei.html

01 芦崎 治   環境ジャーナリストの会  会長
02 井守 明央  独立行政法人国民生活センター 総務企画部 部長
03 小笠原一晃 社団法人電子情報技術産業協会  常務理事
04 乙間 末廣  北九州市立大学大学院 国際環境工学研究科 教授
05 加来 栄一  日本労働組合総連合会 社会政策局長
06 角田 禮子  主婦連合会 参与
07 笠井 俊彦  環境省 総合環境政策局 環境経済課 課長
08 郡嶌  孝  同志社大学 経済学部 教授
09 今野 一正  日本チェーンストア協会 理事
10 酒巻 高一 社団法人日本オフィス家具協会 専務理事
11 高野ひろみ 全国消費者団体連絡会 事務局  
12 鳥羽 治明 生活協同組合連合会コープネット事業連合 総合企画担当執行役員
13 永田 勝也  早稲田大学 理工学部機械工学科 教授
14 中西 英夫 社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会 専務理事
15 永松 惠一 社団法人日本経済団体連合会 常務理事
16 二瓶 啓 日本製紙連合会 常務理事
17 早野 敏美 社団法人日本電機工業会 専務理事
18 樋口 隆昌 財団法人世界自然保護基金ジャパン  事務局長
19 緑川 芳樹 グリーンコンシューマ研究会  
20 茂木 洋 東京商工会議所  常務理事
21 森島 昭夫 財団法人地球環境戦略研究機関 特別研究顧問
22 山田 直子 神奈川県 環境農政部環境計画課 課長
23 山本 良一 東京大学 生産技術研究所 教授

23名(2007年11月現在)

<類型・基準制定委員会>
商品類型に関する事業者関係団体、消費者関係団体および中立機関の専門家や有識者によって構成され、エコマーク商品類型の選定および認定基準の制定やこれらの見直しに関する事項を審議します。→類型・基準制定委員名簿

2007年度 エコマーク類型・基準制定委員会」委員名簿(50音順)
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01 井出 稔 (社)日本電機工業会 環境技術専門委員会 委員長
02 岩下 博樹 (社)日本オフィス家具協会 環境対策委員
03 岩間 芳仁 (社)日本経済団体連合会 産業第三本部 本部長
04 大沢 年一 日本生活協同組合連合会 環境事業推進室 室長
05 岡山 隆之 東京農工大学大学院 共生科学技術研究院環境資源共生科学部門 教授
06 奥  利江 主婦連合会 常任委員
07 甲斐 正昭 日本製紙連合会 技術環境部 調査役
08 郡嶌  孝 同志社大学 経済学部 教授
09 高橋 晋 日本チェーンストア協会 環境委員会 委員
10 湛  久徳 (社)電子情報技術産業協会 環境・安全部 部長
11 辰巳 菊子 (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事
12 奈良 松範 諏訪東京理科大学 システム工学部環境デザイン研究室 教授
13 畑中 賢二 社)ビジネス機械・情報システム産業協会 環境部  担当部長
14 原  早苗 消費者問題研究家  
15 原田 和幸 環境省 総合環境政策局 環境経済課 課長補佐
16 平尾 雅彦 東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻  教授
17 緑川 芳樹 グリーンコンシューマー研究会   
18 村田 幸雄 (財)世界自然保護基金ジャパン 自然保護室 シニア・オフィサー
19 森下  研 (株)エコマネジメント研究所 代表
20 山田 直子 神奈川県環境農政部 環境計画課 課長
21 和才 英治 (社)全日本文具協会 環境安全問題検討委員会 委員長

21名(2007年7月現在)

<審査委員会>
環境負荷の評価・低減対策などに関する中立機関の専門家や有識者によって構成され、エコマーク商品の認定に関する審議を行います。

<ワーキンググループ>
設定された商品類型に関する事業者、消費者および中立機関の専門家や有識者によって構成され、環境の観点から商品のライフサイクル全体にわたる考慮をした上で、認定基準案を策定します。
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