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迷走する嘉田知事

〜RD最終処分場問題D〜
静岡市吉津の焼却灰不法投棄

青山貞一

2008年5月28日



 嘉田知事は、記者会見で数10年の研究者としての経験から地元住民の立場が分かっていると述べている。

 しかし、この種の問題は、地元住民にとっていかに生死を賭けるほどのものであるか委員や知事はまったく分かっていないと思える。

 栗東のRD産廃最終処分場の地元住民の立場に非常に近い深刻な事例が静岡市吉津地区にある。

 以下はそれを伝える2005年4月21日の私の「論考」である。
 

静岡市吉津の放置17年焼却灰の山!

青山貞一

掲載日:2005年4月21日


 2005年4月19日、日本テレビ系で静岡市吉津地区で起こっている膨大な焼却灰を含む産廃の実質不法投棄問題に、地元住民団体が敢然と挑んでいる報道番組が放映されました。

 その焼却灰に含まれるダイオキシン類の濃度には、3000pg-TEQ/gを超過するものもありました。これらが最終的に安倍川に流れ込む藁科川の上流の土地のあちこちに不法投棄されているのです。

 焼却灰は廃棄物処理法では管理型処分場あるいは遮断型処分場に処分しなければならなくなっていますが、この大規模な焼却灰不法投棄行為を静岡市は「業者を指導している」と言うだけで実質的に17年間も放置してきたと言います。

 それだけではなく、この問題に敢然と闘う市民団体に、市役所幹部は、「ダイオキシンなど怖くない。危険なものではない。」と言いながら「みなさんこれを読みなさい」と、渡辺正氏の例の本やコピーを手渡し、さらに市役所幹部は、住民説明会で3000ピコ超の分析結果やそれを分析した民間機関を誹謗中傷する始末です。

 静岡市吉津地区の焼却灰の大規模不法投棄問題は、地元住民団体のひとりで自宅の際まで不法投棄の焼却灰が押し寄せている。下の写真をご覧下さい。


静岡市吉津地域の焼却灰不法投棄の現場
撮影:市村拓斗氏



学校の横に違法に野積みされる焼却灰
撮影:市村拓斗氏

 NPO/NGO環境行政改革フォーラムの一般研究発表(早稲田大学理工学部で開催)で発表されました。また、当時、私とゴミ弁連会長の梶山正三弁護士が現地を視察し静岡市でこの問題の解決方策について講演してきました。

 本来、早期段階で刑事告訴(刑事告発)及び原状回復、さらに損害賠償請求などの訴訟を提起すべきものであり、梶山弁護士と私はそれを地元住民団体に提案しましたがが、地元住民団体がさもなくとも村八分的な扱いを現地で受けており、弱体なため、いまだ司法的対応はなされておりません。
 
 さらに驚いたことに、何と、このテレビ番組は、静岡市役所や産廃業者に気を遣ってか? 地元静岡では放映されないと言う信じられないことが起こっています。したがって、地元住民団体も番組そのものが見れないのです。

 このこと一つをとっても、今の静岡市の現状、実態が分かると言うものです。

注:文中に出てくる梶山正三氏は滋賀県のRD最終処分場委員会委員でもある


 さらに以下は、現地を訪れた早稲田大学法科大学院の学生のブログである。
早稲田大学法科大学院市村氏の静岡市吉津の不法投棄現場からの報告

 この静岡市の事例では、民家のすぐ隣に焼却灰が永年山積みされており、窓を開けると有害産廃の山が見える状態になっているにもかかわらず、静岡市は永年まともな対応をしなかった。

 そればかりか、野積みにされた焼却灰中のダイオキシン類の濃度分析を住民団体が依頼した環境総合研究所や実際の分析実務にあたったカナダの分析機関、Maxxam社を信用毀損し誹謗中傷し続けたのである。

 もし、この静岡市の場合、行政が全量撤去ではなく、D案のような中途半端な対応をしたとすれば、99%、住民はその案に反対するだろう。その意味で、今回の嘉田知事の対応は、積年の住民感情を逆撫でするものである。

 さらに、この静岡の不法投棄問題では、地元住民は静岡市に抗議し、焼身自殺を図った。

 以下は2007年9月に静岡市長に抗議し焼身自殺をされた井上英作さんの抗議文である。以下をじっくり読んで欲しい!


■小嶋善吉に、抗議文


 静岡市長、小嶋善吉へ、

 私は静岡市民として、吉津地区に野積みし放置してある産業廃棄物や、その焼却灰が何ひとつ撤去される事無く、 静岡市民が汚染された水道水を飲む危険性にさらされている事、 飛散し直接吸い込む危険さえあるこれらの焼却灰を、住民の長年にわたり、たび重なる撤去要請にも関わらず、放置し、3箇所のうち一つは小学校のすぐそばという非常識であり、 あきれ返った住民が、静岡県公害審査会に訴えた事に対しても、審査の事実を公表してはならないと、圧力をかけてきたり、野積みされ、放置されている焼却灰を、保管しているなどと言い換えるに至っては、 頭がおかしいとしか言いようが無く、 産廃ヤクザとの繋がりさえ見えてきた市長に対して、 我が命をもって抗議する。

清流ネット静岡事務局長 井上英作

 註:小嶋善吉氏は静岡市長(現職)。

 上記の焼身自殺の詳細は以下を参照のこと。

 ◆青山貞一:静岡空港建設と焼却灰不法投棄に抗議し焼身自殺
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7356.html
 

つづく