◆長野県旧臼田町、福井県池田町 実は日本でも生ごみなど有機物を堆肥化したり、消化槽でメタンガス化し、発電したり、ガスを利用している自治体もある。実際、私が4年間、知事の顧問でかかわった長野県でも旧臼田町にはカナダのハリファックス市で使用されていたものと同じメーカーの堆肥化施設があったし、福井県の池田町にも同じメーカーの牛糞用堆肥化施設があり、それなりにうまく稼働していた。 ◆福井県池田町視察時の案内(ゴミ弁連) ◆福井県池田町の堆肥化活動 ◆東京都市大学横浜キャンパス ちなみに、私が在職している東京都市大学環境情報学部(横浜市都筑区)では、ISO14001環境管理活動の一環として、学生食堂からでる生ごみの堆肥化を行っているが、今回、そこでつくられる堆肥の品質検査として、29種類もの重金属類調査を環境総合研究所に依頼し実施した。 これは先のハリファックス市の大型堆肥化施設でも実施していることだが、出来上がった堆肥に亜鉛や銅など、植物の生育に影響を与える重金属の含有濃度が高いと、堆肥として使えないばかりか、生育を阻害することもあり重要である。 ◆日本における課題 ただ、日本の場合、市町村が堆肥化を行うと、どうしても装置が大掛かりとなり、巨額な投資と管理運営費がかかっているという別の問題がある。 日本社会での大きな問題は、技術論としては、いくらでも上記が可能であったとしても、一般ごみの収集、運搬、処理などが廃棄物処理法により市町村の事務となっており、国から市町村に中間処理施設建設事業費の多くを補助、あるいは交付される仕組みとなっていること、すなわち行政論がある。 国が永年、重厚長大企業とツルんで、焼却主義政策を基礎自治体に押し付け、自治体も少しはおかしいと思いつつ、それに甘んじてきたのだ。 ◆青山貞一:廃棄物焼却主義の実証的研究〜財政面からのアプローチから、武蔵工業大学(現在、東京都市大学)環境情報学部紀要 ◆青山貞一:廃棄物処理施設を事例とした国から自治体への補助金及び地方交付税交付金の仕組みについて ◆台湾環境行政視察(廃棄物)ハイライト、その1:台北縣八里郷一般廃棄物大型焼却施設 以下に示す徳島県の上勝町のように、ほとんど補助金、地方交付税に依存せず、35分別により脱焼却、脱埋め立てに近づいている基礎自治体もある。 しかし、圧倒的多くの基礎自治体は、上記の国からの補助金や交付税の麻薬、それも国からカネをもらい巨大で高額な焼却、溶融施設、管理型処分場を建設するという呪文から抜け出ないことが決定的な問題となっていると思える。 ここにも地方分権、地方主権を叫びながら現状に甘んじている基礎自治体の課題があるだろう! また、日本の場合、カナダや米国、オーストラリアなどに比べ圧倒的に人口密度が高いため、堆肥化施設によっては悪臭問題で立地や稼働がとん挫することが多い。においなどが原因で裁判となるケースもある。 ◆徳島県上勝町 ところで、地方分権、地方主権と声高に叫ぶ前に、「隗会より始めよ」で独自にユニークなゼロウエイスト政策を黙々と行っている町がある。 下の写真は、日本で最初にゼロウエイスト宣言を行い、実際、政策を実現しつつある徳島県の上勝町である。 今や全国区となった上勝町の35分別 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix 上勝町では、以前から一般廃棄物を35種類に分別している。ここまで分別すると「ゴミ=資源」となり、それぞれの資源は各地にもらわれていくことになる。場合によっては有料で貰われてゆく。 この上勝町では家庭から出る生ごみは、原則として各戸でコンポスト化することになっている。 上勝町で35分別を視察する筆者 撮影:鷹取敦、カシオデジタルカメラ
上勝町でカナダ・ノバスコシア州のゼロウエイスト政策を紹介する筆者と池田さん 撮影:鷹取敦、カシオデジタルカメラ 下の写真は筆者らと笠松町長ら上勝町の面々との交流風景である。上勝町には6回ほど行っているが、ここでは夜、宿泊先の旅館(月ケ谷温泉)で上勝町笠松町長と延々と議論。これが何よりも宝!飲食費は各自もち(念のため) 上勝町笠松町長さんらとの交流会 撮影:鷹取敦、カシオデジタルカメラ 上勝町と言えば、いろどり事業だ。ほっておけば、落ち葉となる葉っぱなどを集め、毎日全国のツマとして出荷するのが「いろどり」事業である。この事業はTBSドラマとなり、全国に放映されている! ◆青山貞一:上勝町の活動がテレビドラマとして放映されました! 下はその中核メンバーの横石さん、それに菖蒲夫妻と一緒に撮影した一枚。 左から池田、菖蒲さん、青山、横石さん、菖蒲さんの旦那さん 菖蒲さんのご自宅前で 撮影:鷹取敦、カシオデジタルカメラ