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本日、名古屋地方裁判所民事第9部(増田稔裁判長)は設楽ダムに関する公金支出差止等請求住民訴訟について、原告が本訴訟を通じて明らかにした事実をまったく理解することなく、原告らの主張を退ける、不当判決を下した。 本判決は、原告らが明らかにした以下の点について、 1 洪水調節の面で、原告らが明らかにした、設楽ダムによらない部分的な河道改修によって、計画高水位以下に水位を下げることが出来ること、そのことについて河川整備基本計画策定において検討がなされていないことについて、何らの判断もされなかった。 2 流水の正常な機能の維持という点については、原告らが明らかにした寒狭川上流を除いて自然環境が既に破壊されている豊川の現状、ダムが三河湾や河川全体に大きな悪影響を与えることについて、理解をしないまま河川管理者の裁量のみを強調して判断してしまった。また、牟呂松原頭首工の5トンの制限流量の設定の最大の根拠となっている水道用水の取水制限の相関図の理解を誤っている。 3 水道用水、工業用水について、平成27年度における愛知県需給想定値に達しない可能性が相当高いと認定しつつ、長期的な見通しにたって水需要の見通しを立てるという政策裁量を強調して、このような想定が著しく合理性を欠くとは断ずることは出来ないとしている。 4 農業用水について、供給量を用いなければならないところ、需要量を用いて間違って計算していると、原告が指摘した点については、理解をしないまま、被告の主張をそのまま引用する判断であった。 5 環境については、環境影響評価法施行後初めての該当事業であったにもかかわらず、不十分な環境影響評価であったことが明らかになったにもかかわらず、これらは単なる意見に過ぎないなどとし、一顧だにせずに排斥した。 6 灌漑利用者負担金について、矢作ダムの灌漑利用者負担金が、条例もなく徴収されていないという点については何も触れずに結論を出している。 こうした本判決の判断は、原告らが明らかにした事実をまともに受け止めようとしないもので、行政がすすめる公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとせず、むしろ無駄で環境を悪化させるダム事業を積極的に奨励する誤ったものである。 本判決は司法の役割を放棄した不当な内容であるから、原告らは名古屋高等裁判所へ控訴手続を行うとともに、引き続き設楽ダムの建設中止に向けてたたかい続けることを表明する。今後とも、みなさまのご支援をお願いしたい。 設楽ダムの建設中止を求める会 設楽ダム公金支出差止等請求訴訟 原告団・弁護団 |