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与野党逆転ではじまる
日本の民主政治の夜明けD
〜実質、政権交代!?〜


青山貞一
 
掲載日:2007.8.6


 参議院選挙後初の安倍内閣と自民党の支持率が出た(記事は巻末を参照)。フジサンケイネットワーク(サンケイ新聞、フジテレビ)と毎日新聞それぞれが世論調査を実施した結果だ。

 記事によると、安倍内閣の支持率は、FNN、毎日新聞ともに22%、自民党の支持率はFNNが23%、毎日新聞は17%だった。FNNと毎日新聞の調査が、いずれも安倍内閣支持率が22%であった。

 ちなみに、この種の世論調査は、過去、サンケイ新聞、読売新聞の場合、政権政党に甘めに、他方、毎日新聞、朝日新聞、共同通信が政権政党に厳めの結果がでる傾向が多かったと思う。 にもかかわらずFNNと毎日新聞がまったく同じ数字となったことの意味は大きい。

 国民の多くがすでに安倍首相を見捨てているといっても過言ではない。

出典:毎日新聞

 政党支持率でみると、毎日新聞は民主党が自民党の約2倍の支持となった。FNN系でも自民党が23.0%で、前回調査より9.6ポイントも下がり、逆に参院の第1党に躍進した民主党は32.8%とほぼ倍に跳ね上がった。

 これら世論調査結果は、国民の大勢は既に自民党政権にレッドカードをつきつけていること、そして国民が実質的に政権交代を望みつつあることがわかる。自民党は既に国民の信頼を失っているわけだ。

 結果を見ると、参院選を通じ安倍首相と小沢代表との行状の対比が大きく作用していると思える。小沢代表は言葉は少ないが、言ったことを確実に実行する、というイメージが国民に浸透し、他方、安倍首相は、言葉が薄っぺら重みがない、と写っているようだ。
 
 ある夕刊紙は、首相の座にしがみつく安倍首相を「女々しい」(これは女性に大変失礼な言葉だが)と揶揄している。確かに、国民からいくらレッドカードをつきつけられても、「美しい国づくりに邁進します」とオウムのように空虚で薄っぺらな言葉を、繰り返す安倍首相に国民はうんざりしているのだろう。

 赤城前農水大臣がそうであったように、安倍政権が国民の意向と離れズルズルつづくこと自体、国民には自民党内でのたらい回しと写り、政権交代の必要性を強く認識することになることを安倍首相や自民党議員はわかっていないのである。

 その意味で、国民の大勢は、自民党は政権交代をつきつけていると思われる。

 にもかかわらず、大メディアは相も変わらず「安倍の後は、麻生か」とか、「小泉新党の出番か」とか、「8月末の内閣改造で竹中登場か」など、勝手に論評している。これら大メディアも自民党議員同様、国民感覚から大きくずれ、時代をまったく読んでいないとしか思えない。

安倍内閣支持率、過去最低の22% FNN世論調査
FNN(フジニュースネットワーク)

 FNN(フジニュースネットワーク)が参院選直後の7月31日から今月1日にかけて実施した「政治に関する世論調査」によると、安倍内閣の支持率は22.0%と内閣発足からの最低記録を更新し、支持しないとの回答も64.8%と、初めて60%を突破した。59.4%が早期の衆院解散・総選挙を望んでおり、安倍内閣が年内に退陣するとの見方も半数を超え、続投を表明した安倍晋三首相は、厳しい数字を突きつけられた。

指導力への不信増大

 安倍内閣は発足直後の支持率が63.9%、不支持率は17.0%だったが、1年もたたずに完全に逆転した。その最大の原因に、安倍首相の指導力が挙げられる。

 指導力への評価は、発足直後は36.8%だったのが、前回のFNN・産経合同調査(7月19〜21日)では15.8%まで下降、今回は8.1%と1ケタ台になった。参院選のひとつの争点だった年金記録紛失問題への対応は21.9%が評価したが、閣僚の相次ぐ不祥事が参院選の結果に影響したとする意見が92.9%にのぼった。安倍首相の不祥事への対応が後手に回ったとみられたようだ。

 安倍内閣の見通しにも厳しい数字が出た。年内に退陣すると回答したのが56.4%で、首相に早期の衆院解散・総選挙を求める意見が56.0%と、政治姿勢や政策を変えるべきだ(25.5%)、今までの通りでよい(14.7%)を大きく上回った。自民党支持者の間でも「衆院解散・総選挙を」「今までの通りでよい」が33.5%で並んでいる。

民主党への期待上昇

 政党支持率も、自民党が23.0%で前回調査より9.6ポイント下がり、逆に参院の第1党に躍進した民主党は32.8%とほぼ倍に跳ね上がった。また、54.3%が民主党に期待すると回答、76.8%が参院は衆院へのチェック機能を強めるべきだとしており、参院での民主党への期待が高まっていることもうかがえた。

 今回の調査結果について、塩崎恭久官房長官は2日の記者会見で「国民が期待する政策、要望にきちっとこたえ、結果を出すことが大事だ。いろいろな批判や評価に謙虚に受け止めたい」とコメントした。

 民主党の菅直人代表代行は2日、都内で記者団に「民主党にチャンスを一度与えてもらった。それにこたえるために、マニフェスト(選挙公約)を軸に、すぐできることは参院に法案を出して実現していきたい」と述べた。

本命不在

 「ポスト安倍」にふさわしいのは誰か、を尋ねたところ、最も多かったのは、民主党の小沢一郎代表。ただ、全体で13.8%、民主党支持者のなかでも26・5%程度で、小沢首相待望論が高まっているとはいえない。

 自民党内では、麻生太郎外相と小泉純一郎前首相が10.8%でトップ。以下、福田康夫元官房長官(8.4%)、谷垣禎一元財務相(4.1%)と続いた。しかし、全体の27.9%、支持政党なし層の54.5%が「ふさわしい人はいない」と回答しており、「ポスト安倍」に名乗りを上げる人物がいないという自民党内の現状を見透かした反応ともいえそうだ。

 

本社世論調査:内閣支持率急落22% 自民支持は17%
毎日新聞 2007年8月6日 3時00分

安倍内閣の支持率

 毎日新聞は4、5両日、電話による全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は22%で、昨年9月の政権発足以来初めて3割を切り最低を更新した。不支持は65%で発足以来最多。政党支持率は自民党が17%で55年の結党以来2番目に低く、民主党は33%で98年4月の結党以来最高で、政府・与党には参院選惨敗を反映した厳しい結果となった。安倍晋三首相の続投表明に対しては「辞めるべきだ」が56%で、「辞める必要はない」の41%を上回った。

 ◇赤城農相更迭「遅過ぎ」87%

 内閣支持率は前回(7月25、26日実施)の31%から9ポイント下落、不支持率は12ポイント上昇した。政権発足直後には支持率は歴代内閣で3番目に高い67%、不支持率は16%だったが、10カ月余りで支持、不支持が完全に逆転した。不支持の理由では「首相の指導力に期待できない」が前回比11ポイント増の57%と最も多かった。

 首相が1日、不透明な事務所費問題が指摘された赤城徳彦前農相を更迭した判断については、「更迭するのが遅すぎた」が87%と圧倒的。「評価する」は8%、「更迭の必要はなかった」は3%に過ぎなかった。

 内閣支持率を政党支持別にみると、自民支持層は69%で前回比15ポイント減。公明支持層も9ポイント減らして48%となり、半数を割り込んだ。参院選惨敗という結果を受けて与党支持層の中でも「安倍離れ」が起きていることが浮き彫りになった。

 男女別の支持は男性20%、女性24%で、いずれも前回比9ポイント減となり、政権発足以来最低を更新した。不支持は男性68%(前回比8ポイント増)、女性62%(同12ポイント増)で、ともに最悪だった。年代別では、30代で支持が16%、20代で18%と若い世代で低く、不支持は20代と50代でともに70%と高かった。

 政党支持率は、自民党が前回から5ポイント減らし、民主党が9ポイント増やした結果、民主党が自民党のほぼ倍となった。自民党の過去最低は野党だった細川政権下の94年1月に記録した15%で、今回の17%はこれに次ぐ低率となった。

 参院選結果を受けて、早期の衆院解散・総選挙を求める意見が出ていることについては「解散すべきだ」が58%で、「解散する必要はない」の39%を上回った。【佐藤千矢子】