FNN(フジニュースネットワーク)が参院選直後の7月31日から今月1日にかけて実施した「政治に関する世論調査」によると、安倍内閣の支持率は22.0%と内閣発足からの最低記録を更新し、支持しないとの回答も64.8%と、初めて60%を突破した。59.4%が早期の衆院解散・総選挙を望んでおり、安倍内閣が年内に退陣するとの見方も半数を超え、続投を表明した安倍晋三首相は、厳しい数字を突きつけられた。
指導力への不信増大
安倍内閣は発足直後の支持率が63.9%、不支持率は17.0%だったが、1年もたたずに完全に逆転した。その最大の原因に、安倍首相の指導力が挙げられる。
指導力への評価は、発足直後は36.8%だったのが、前回のFNN・産経合同調査(7月19〜21日)では15.8%まで下降、今回は8.1%と1ケタ台になった。参院選のひとつの争点だった年金記録紛失問題への対応は21.9%が評価したが、閣僚の相次ぐ不祥事が参院選の結果に影響したとする意見が92.9%にのぼった。安倍首相の不祥事への対応が後手に回ったとみられたようだ。
安倍内閣の見通しにも厳しい数字が出た。年内に退陣すると回答したのが56.4%で、首相に早期の衆院解散・総選挙を求める意見が56.0%と、政治姿勢や政策を変えるべきだ(25.5%)、今までの通りでよい(14.7%)を大きく上回った。自民党支持者の間でも「衆院解散・総選挙を」「今までの通りでよい」が33.5%で並んでいる。
民主党への期待上昇
政党支持率も、自民党が23.0%で前回調査より9.6ポイント下がり、逆に参院の第1党に躍進した民主党は32.8%とほぼ倍に跳ね上がった。また、54.3%が民主党に期待すると回答、76.8%が参院は衆院へのチェック機能を強めるべきだとしており、参院での民主党への期待が高まっていることもうかがえた。
今回の調査結果について、塩崎恭久官房長官は2日の記者会見で「国民が期待する政策、要望にきちっとこたえ、結果を出すことが大事だ。いろいろな批判や評価に謙虚に受け止めたい」とコメントした。
民主党の菅直人代表代行は2日、都内で記者団に「民主党にチャンスを一度与えてもらった。それにこたえるために、マニフェスト(選挙公約)を軸に、すぐできることは参院に法案を出して実現していきたい」と述べた。
本命不在
「ポスト安倍」にふさわしいのは誰か、を尋ねたところ、最も多かったのは、民主党の小沢一郎代表。ただ、全体で13.8%、民主党支持者のなかでも26・5%程度で、小沢首相待望論が高まっているとはいえない。
自民党内では、麻生太郎外相と小泉純一郎前首相が10.8%でトップ。以下、福田康夫元官房長官(8.4%)、谷垣禎一元財務相(4.1%)と続いた。しかし、全体の27.9%、支持政党なし層の54.5%が「ふさわしい人はいない」と回答しており、「ポスト安倍」に名乗りを上げる人物がいないという自民党内の現状を見透かした反応ともいえそうだ。