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与野党逆転ではじまる
日本の民主政治の夜明けH
〜共産党、選挙区立候補者半減へ〜

青山貞一
 
掲載日:2007.9.11


 共産党が衆参を問わず全小選挙区に候補を立候補させてきたことが、結果的に自民党政権の永続化に「貢献」していると私は常々思ってきた。しかし、やっとその流れが変わることになる。

 以下の朝日新聞の記事にあるように、2007年9月8日、日本共産党の志位委員長は、衆議院議員選挙の小選挙区に立候補する共産党候補を大幅に絞り込む方針を明らかにした。

 共産党のこの方針は、2003年衆院選では全小選挙区に、2005年は275小選挙区に候補者を立ててきたが、いずれも全敗だったことに起因している。

 問題はただ全敗ですむのではなく、いわゆる法定得票数(割合)に到達しないと、供託金の没収があり、財政的に大きな痛手を被るからだ。

 事実、共産党は従来の方針を貫くと、多額の供託金没収による財政圧迫など、マイナスが大きい」と説明している。供託金に関する新基準では得票率が10%未満だと、供託金が没収される。

 野党では、すでに社民、国民新党の各党はごく一部の小選挙区でしか候補者を出しておらず、今回の共産党の方針転換で、自民、民主両党の候補者の一騎打ちになる小選挙区が大幅に増える見通しだ。

 共産党に限らず、社民、国民新党も小選挙区でまったく誰も当選しなければ、立候補する意味がなく、さもなくとも厳しい財政的な影響も大きい。

 共産党は今後、比例区をより重視し、参院選に続いて650万票の目標を掲げるという。

共産党、選挙区候補を半減 2大政党化の影響
朝日新聞 2007年09月09日

 共産党は8日の第5回中央委員会総会で、次期衆院選の小選挙区について、擁立する候補者を大幅に絞り込む方針を明らかにした。新たな基準を適用すると、候補は前回衆院選から半減し、130前後にとどまる計算になる。参院で民主党が第1党になるなど2大政党化の流れが加速するなかで、全300小選挙区での擁立を目指してきた従来の方針の転換を強いられた形だ。

 志位委員長が同日、党本部で講演し、(1)参院選比例区での同党の得票率が8%以上の小選挙区に絞る(2)ただし、各都道府県ごとに最低1人以上は擁立する――との新基準を公表。その理由について「従来の方針のままでは、多額の供託金没収による財政圧迫など、マイナスが大きい」と説明した。得票率が10%未満だと、供託金が没収されるためだ。今後は比例区をより重視し、参院選に続いて650万票の目標を掲げるという。

 共産党は03年衆院選では全小選挙区に、05年は275小選挙区に候補者を立てたが、いずれも全敗だった。公明、社民、国民新各党は一部の小選挙区でしか候補者を出しておらず、共産党の方針転換で、自民、民主両党の候補者の一騎打ちになる小選挙区が増える見通しだ。

 05年衆院選では、民主、共産両党候補の得票を足せば、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あった。共産党の候補絞り込みは、民主党への追い風になるとの見方もあるが、共産党側は「選挙での野党共闘を想定した決定ではない」としている。


 ちなみに、2005年のあの郵政民営化が争われた衆院選では、民主、共産両党候補の得票を足すと、当選した与党候補の得票を上回る小選挙区が約40あったという。

 日刊ゲンダイは、識者の予測として、もし、共産党が衆院の全小選挙区で立候補を取りやめると、民主党の議席は120増え、多くの自民党有力議員が落選すると予想している。それほど共産党の全小選挙区で立候補をとりやめることの影響は自民党にとって甚大なのだ。

 もちろん、現実には共産党投票者が小選挙区ですべて民主党に投票することはないだろうが、自民党の漁夫の利は著しく減退することは、間違いない。

 志位委員長は、共産党の今回の候補絞り込みは、共産党側は「選挙での野党共闘を想定した決定ではない」といつものように強がっているものの、この方針変更は、結果として2大政党化を助長し、民主党への追い風になることは間違いない。

 自民党は共産党の全国の小選挙区に立候補者を立てる戦術で、永年、安定多数をえてきたが、今回の共産党の決断で、次回の総選挙から手痛い影響を受けることになる。

 現在、自民党は衆院で305議席あるが、次回の衆院選挙では、もともと200議席を割るという予測もある(以下の記事参照)。

 これに共産党の方針転換が加われば、現在の議席が半減する可能性も否定できない。

衆院300選挙区シュミレーション
自民は100議席以上減


 次から次へと出てくる閣僚のズサンな資金管理。 党内も「この内閣はダメ」と見ているが、だとすると、解散・総選挙が現実味を帯びてくる。

 永田町で注目を集めているのは、政治ジャーナリストの野上忠興氏が行った 「衆院選300選挙区完全シミュレーション」だ。

 野上氏は共同通信で編集委員、政治部次長を務め、安倍番として名を馳せた。 「ドキュメント安倍晋三」の著者で、もっとも安倍を知っているジャーナリストだ。

  野上氏は前回の衆院選、前々回の衆院選のデータを突き合わせ、次点との差が“風”によって、 どのように変わるかを詳細分析。これに先の参院選の結果を衆院の300選挙区に当てはめて、 票の行方をシミュレーションした。

 「これまでも参院選の比例票を単純に衆院300選挙区に当てはめて、 当落を予想するシミュレーションはありました。しかし、衆院選と参院選は性格が違うし、 公明党の票の何割を自民に上乗せするかでも結果は大きく違ってしまう。

  そこで、過去2回の衆院選の票、そのときの世論調査をもとに浮動票の動向を探り、 それに参院選の結果、自民不人気による学会票離れなどを加味して、当落予想をしたのです」(野上忠興氏)

 結果は現有305議席を擁する自民党は小選挙区144、比例55の199に激減。 ヘタしたら、小選挙区は117議席まで減る可能性もあるという。31議席の公明は29に。 与党は228議席と出た。

 一方、民主は小選挙区136、比例84で220議席。 社民4、国民新党3、新党大地1、新党日本1、共産10。 野党は239議席で与党を上回る。 選挙区別に見てみると、前回自民が9勝6敗だった愛知県が、全選挙区で与野党逆転の可能性があるという。

 シミュレーションの詳細は今週号のSAPIOに出ている。

出典:日刊ゲンダイ 

 いよいよ、自民党の実質独裁政治はオダブツとなる。

 民主党にも課題はたくさんあるものの、いつまでもそれを言っていると実質的に自民党の独裁政治を許すことになる。

 なにはともあれ、これで政権交代が現実のものとなる日がいよいよ近くなってきた。

 以下は、日本共産党第5回中央委員会総会より。

総選挙―「比例に力集中」の新方針

 きたるべき総選挙でどうたたかうか。参院選の総括などをふまえ、志位氏は、新たな方針を提起しました。

 一つは、得票目標は、今回の参院選で掲げた「六百五十万票以上」とし、これを当面、衆参の国政選挙の共通の全国的目標として掲げて、その達成をめざすことです。

 もうひとつは、比例代表での前進に力を集中できる選挙態勢をとることであり、そのために、「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」としたこれまでの方針の見直しを提起しました。

 第一は、小選挙区での立候補について「参院比例得票を8%以上獲得したところで、日常的、系統的に活動できる力量ある候補者を擁立できる選挙区」と「各都道府県で一選挙区以上」で候補者を擁立してたたかうことをおよその目安にして、都道府県の自主的判断で決定することです。

 第二は、比例代表選挙の候補者は、ブロック全域で活動する候補者に加えて、すべての都道府県から擁立することです。

 志位氏は、この方針見直しについて、いまの党の力量をリアルに検討した上での提案であると説明。全党が知恵と力を合わせて開拓すべき探求課題として、総選挙の比例代表選挙で前進するための活動を文字通り日常不断のとりくみにする、党機関と幹部の力を比例選挙に集中できる利点を最大限生かし切る、という二点を強調しました。

 国政選挙で勝てる党建設の問題では、「政治と理論の面で、そして組織の面で、強く大きな党がどうしても必要だ」として、この間のとりくみなどをふまえ五点について重点的に提起しました。

 幹部会報告を受けた討論では十八人が発言しました。


つづく