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テロ特法継続で、政府・自民党、
苦し紛れの国連頼み

青山貞一
 
掲載日:2007.9.19


青山貞一ブログ

 安倍首相が所信表明翌日の9月12日、突如辞任を表明したことで、政府・与党のテロ特措法の延長問題が暗礁に乗り上げた。さもなくとも間に合わ間に合わないとされてきたテロ特措法の延長だが9月14日に告示された自民党総裁選挙、その後の首班指名、組閣などで、いわゆる延長は時間切れとなる可能性が大であった。

 自民党総裁の有力候補である福田衆議院議員からのテロ特措法の与野党間での継続協議について、民主党の小沢代表は、以下の記事にあるように、新政権でも基本的に今までの姿勢、態度は変わらないことを改めて言明してた。

小沢民主代表、海自給油の継続は新政権でも反対
日経新聞 2007.9.19

 民主党の小沢一郎代表は18日の記者会見で、インド洋での海上自衛隊による給油活動の継続に関して「(反対方針は)参院選の政権公約でも国民に明確に約束している。(世論の動向で)変えるとか、変わるとかはない」と述べ、政権が代わっても反対する意向を重ねて示した。

 自民党総裁候補の福田康夫氏らが活動継続に向けた与野党協議を求めている点については「自分たちの主張をきちんとするという前提で話し合いは可能な限りやっていけばいい」と指摘し、話し合いには応じる考えを示した。(00:03)


 他方、政府・自民党は、新法で対応するなどとしていたが、ここに来て、以下の記事にあるように国連の新決議により、日本などアフガニスタン関連のテロ対策に協力し派兵している国々への謝意を表明することを画策していた。

対テロで新国連決議・政府、関係国と調整
日経新聞 2007.9.19

 日本政府は18日、臨時国会の焦点であるインド洋での給油活動の延長問題に絡み、海上自衛隊の派遣の根拠となる新たな国連安全保障理事会決議の採択に向け関係国と調整に入った。民主党が「国連が直接認めた活動ではない」として延長に反対している現状を踏まえたもので、実現すれば今国会での活動継続の可否に大きな影響を与える可能性がある。

 今月末に採択を予定するアフガニスタン国連治安支援部隊の活動延長に向けた安保理決議に「テロリストや武器の移動を防ぐためのインド洋での多国籍海軍による海上阻止行動(MIO)の必要性」に触れる文言を盛り込む方向で調整。MIOに関する単独の国連総会決議とする案もある。(07:00)

 
 国連新決議の中に謝意を入れることは日本政府・自民党の苦し紛れの策であることがミエミエである。民主党は「新決議の内容は活動継続の明確な法的裏付けと言えない」として反対姿勢を続ける構えである。

 具体的には小沢一郎代表はアフガニスタンでのテロ掃討作戦について「米国の戦争であり、安保理決議で正当と認められていない」との立場を崩していない。また民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者団に「国連安保理決議は必要条件であって十分条件ではない。結論を大きく変えることにはならない」と力説ししている。

高村防衛相「民主党の反対理由なくなる」、鳩山氏「十分でない」
日経新聞 2007.9.19

 海上自衛隊が支援するインド洋でのテロ海上阻止行動(MIO)などに謝意を示す決議を国連安全保障理事会が19日にも採択する見通しになったことを踏まえ、日本政府は海自の給油活動継続に向けた新法案の作成を急ぐ方針だ。野党の民主党は「新決議の内容は活動継続の明確な法的裏付けと言えない」として反対姿勢を続ける構え。与野党どちらの主張が世論の支持を得られるか、今後の国会論戦が極めて重要になる。

 参院で第一党となった民主党の小沢一郎代表はアフガニスタンでのテロ掃討作戦について「米国の戦争であり、安保理決議で正当と認められていない」との立場だ。

 高村正彦防衛相は19日午前、記者団に「(新決議があれば)民主党の一番大きな反対理由はなくなる」と強調。与謝野馨官房長官は記者会見で「国際社会が日本の活動をどう評価しているか。理解する目安となる重要な決議だ」と語った。民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者団に「国連安保理決議は必要条件であって十分条件ではない。結論を大きく変えることにはならない」と力説した。(14:24)


 いずれにせよ、現実には9.11以降、米国のブッシュ政権が当初アフガニスタン、その後、イラクに戦争を仕掛けて以降、いわゆる「テロ活動」は沈静化するどころか、拡大の一途となっている。

 そもそも、巨額の税金を投入しているテロ特措法、イラク特措法の期別の中間総括すらまともに、政府から出されておらず、単に何カ国が参加しているから日本も参加しなければ的な安易な「皆で渡れば怖くない」的な対応は、憲法九条をもつ日本の立場としておかしい。

 さもなくとも、なし崩し的な解釈改憲により続けてきた集団的自衛権マガイの行為をこれ以上、国民としても許容できないところだ。

<参考>青山貞一:なし崩しの自衛隊海外派兵の歴史

 日本のメディアは、大部分がことテロ特措法継続に関しては政府与党寄りの報道をしている。

 しかし、以下の解説にあるように、日本政府が過去してきたことは間違いなく<憲法違反>である。戦時の海外公海(アフガニスタン)そして戦時の海外領土(イラク)への自衛隊の派兵は、政府自民党が詭弁の限りを尽くそうと、間違いなく憲法違反なのである。

 最高裁は半世紀以上続いている自民党政権下で思考停止、機能不全に陥っているだけ、各法制局も政権政党に人事面で蹂躙されていることで明確な判断を下さないだけのことだ。

 今回、小沢代表はおかしいことをおかしいと言っているだけであり、欧米諸国が参加しているアフガニスタン関連テロ対策に日本が参加しないことを非難するのはお門違いである。

自衛隊、海外なし崩し派兵の歴史

湾岸戦争後のペルシャ湾への掃海艇派遣


 1991年、海上自衛隊は湾岸戦争終結後、ペルシャ湾に掃海艇を派遣した。この派兵は、湾岸戦争の終結後であったが、海外の公海上への初の派遣であった。
       
カンボジアPKFへの陸上自衛隊派遣

 1992年、陸上自衛隊が戦争終結後にカンボジアに地雷除去などの目的で派遣された。この派兵は戦争終結後であったが海外領土への初めての派遣であった。
       
テロ対策で海上自衛隊がインド洋に派遣

 2001年、海上自衛隊が戦時下のインド洋に派遣された。このときは戦時下であるが、海外公海上への派遣であった。テロ特措法
       
イラクへの自衛隊派遣

 2003年12月、政府は自衛隊をイラクに派遣することを決定した。これは戦時下の海外領土へのわが国最初の自衛隊の派遣となる。イラク特措法
       
イラクにおける多国籍軍への参加?

多国籍軍
 一般には、国連安全保障理事会の決議や勧告を受けて各国が合同で編成する軍隊のことである。国連憲章で規定された国連軍とは別のものであり、各国がそれぞれの責任において派遣する。



出典:東京新聞より青山貞一が作成