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民主党が政権を奪取した後、鳩山総理と官房長官、各大臣との間での基本方針の齟齬が目立っているが、とりわけ見苦しいのは、沖縄県普天間飛行場の移設問題である。 これが際だったのは、米国のゲーツ国防長官の来日後で、岡田外務大臣、北沢防衛大臣とも、オバマ大統領来日までに普天間基地移設問題を決着させるとして、「県外移設、国外移設」に対し、それぞれがいわば勝手な解釈を行い、会見をしている。 一方、鳩山由紀夫総理大臣は、首相官邸で記者団に「わたしは必ずしもそのようには思っていない」と述べ、同意できないとの立場を示ししている。 さらに首相は「(民主党は)県外あるいは海外(への移設)と訴えてきた」と語り、現計画は民主党の主張を満たしているとは言えないと強調。その上で「さまざまな選択肢を検討しながらそれなりに時間をかけて結論を出したい」と、従来の立場を繰り返した。 周知のようにたとえ外交案件であったとしても、前代表の小沢一郎幹事長、その後代表となった鳩山首相が「(民主党は)県外あるいは海外(への移設)と訴え」、マニフェストにもそれなりの主張を顕示してきた普天間基地移設問題について、岡田外相や北沢防衛大臣が、公然と民主党や首相、幹事長らの意向と異なる主張をするのは論外である。 このような異常事態になっている背景には、2つの理由が考えられる。ひとつは、岡田外相、北沢防衛大臣それぞれが官僚に取り囲まれ、こととごく洗脳されていることだ。 実質半世紀以上、米国の言いなりになってきた日本の米国盲従外交路線は、いうまでもなく日本外務省の基軸路線だ。さらに日本にある米軍基地70%以上を基地交付金など補助金、特別地方交付金などで、がんじがらめに押さえ込んできたのも自民党政府であり外務省、防衛省である。 その延長線上にある普天間基地の辺野古への移設を官僚から徹底的にたたき込まれ、洗脳された結果、民主党や小沢一郎幹事長、鳩山由紀夫総理の意向と離れたことを述べているという、見方だ。 大マスコミも自民党政権同様、米国追随一辺倒であるとしても、それだけで岡田外相、北沢防衛大臣がこれほどうるたえ、308議席を与えた国民の前に醜態をさらすとは思えない。 考えられるもう一つの理由は、ひょっとすると鳩山総理自身も普天間飛行場の代替施設の移設は最終的に名護市辺野古しかないと考えつつも、敢えて様子を見ているというものだ。事実、鳩山総理は時間がたつなかで変化するなど、普天間基地の名護市キャンプシュワブ沖への移設をほのめかす発言をしていた。 鳩山総理がこのような対応をとるのは何も普天間基地移転だけでない。他の案件でも似たような対応をとることがある。それを撤回するのは、多くの場合、小沢一郎幹事長から指摘を受けた場合である。 いずれにせよ、現在、連日のように岡田外相と北沢防衛大臣が鳩山総理大臣の意向を無視(?)し、国民の前で右往左往している様は異様である。またそれを打ち消す総理や官房長官の姿もおかしい。 民主党が実質半世紀ぶりに政権を奪取した背景には、まちがいなく米国盲従路線からの方向転換があるはずだ。少なくとも本土復帰後の沖縄に巨大な米軍基地を民主党政権が新設させるような判断だけは避けなければならない。
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