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自壊の道をひた走る大メディアD

〜異常高給のテレビ業界〜

青山貞一

掲載日:2008.12.25

 営業利益が2兆円を超えていたトヨタ自動車が営業赤字となるという。

 これに象徴されるように、金融危機による株価低落と円高のダブルパンチで日本の製造業を中心とした実体経済が急激に悪化している。まるで坂を転げ落ちるように。

 日刊ゲンダイの2008年12月25日の”最終赤字”転落90社リストによれば、2008年9月中旬における東証一部上場企業の業績が極度に悪化していることが分かった。

 ただし、これはあくまで9月中旬での業績見通しである。

 まして、今後、来年1月中旬の第三四半期の業績では、大部分の企業が悪化することは火を見るより明らかである。おそらく業種を問わず、大部分の企業が赤字に転落する可能性も大だ。

 上記の9月中旬の業績リストでは、電力会社である中部電力が780億円、関西電力が640億円、東北電力が430億円の赤字見通しとなっている。また大京が510億円、大成建設が130億円など不動産、ゼネコンも軒並み赤字である。

 さらにあおぞら銀行が270億円、十八銀行が105億円、八千代銀行が71億円など中堅銀行でも赤字が続く。その他、通信機、精密機械、そして大メディアの一角をなす、テレビ業界でも赤字がでてきた。

 すでにテレビ朝日の赤字転落について述べたが、9月業績見通しでは「テレビ東京」の赤字が予想されている。テレビ東京は連結決算をはじめた2002年以来初めての最終赤字となる見込みである。

 ....

 だが、連日連夜、これでもかとアホそしてエロ・グロ・ナンセンスな番組を垂れ流している地上波テレビ局の社員の給与は、驚くなかれ、信じられない高額である。

 下表は在京キー局の平均給与である。見て分かるようにキー局の平均給与は、1453万円と超高額である。
 
テレビ局名  平均給与
TBS  1549万9000円
フジテレビ  1534万3000円
日本テレビ  1405万円
テレビ朝日  1322万円
朝日放送  1556万7000円
朝日新聞 1358万円
出典:日刊ゲンダイ2008.12.25 ほか

 さらにキー局以外を見てみると、テレビ朝日など全国朝日放送網の一画をなす朝日放送(本社、大阪)の平均給与が、1556万7000円とダントツに高いのである。 さらにキャスターでもいわゆるタレントだとと年間1億〜数億円に達するものも多々いる。

 そういう私も、実は4年ほど、在京キー局関連のシンクタンクに勤務していた。テレビ局の場合、正規社員は上記の表にあるように、ベラボーに高給である。

 だが、テレビ業界では、非正規社員である契約社員、派遣社員、下請会社の社員の給与は正規の1/2から1/3と著しく低い。しかも、大部分の番組は、それら下請会社や契約社員が制作しているのである。

 これは明らかに搾取である。

 朝日放送の給与がなぜ高いのかと言えば、それに加え、東京のキー局が制作した番組を流用しているからである。制作費に投入する予算が少なくて済むからだ。

 いうなればこれは手抜きである。だが、この種の手抜きは何も朝日放送に限ってことではない。関西テレビ、毎日放送、読売テレビなど大阪にある準キー局についても言えることなのだ。

 このように、大マスコミは、社内が異常な「格差社会」状態となっている。こんなひとたちが、毎日したり顔で「格差社会」や「現下の雇用不安」と語るのだから、なにおかいわんやである。
 
 今後、来年3月に向け上場企業の営業赤字が増えれば増えるほど、テレビ、大新聞への広告宣伝費も急激に減少する。その結果、3月期決算で、ほとんどのテレビ局が赤字に転落する可能性もある。

 今後、地デジが主流となるが、若者は新聞とともに地デジにそっぽを向いている。

 トヨタがそうであったように、テレビ業界も今年が大きなターニングポイントとなるだろう! まさにテレビ業界は自壊の道をひた走っているのである。