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前首相「美しい国づくり」企画会議
〜2回の会合に4900万円支出〜

青山貞一

掲載日:2007年10月17日


 安倍晋三前首相は、「集団的自衛権」、「教育基本法改正」問題などで多くの私的諮問組織をつくっていた。

 そのうちのひとつ、「美しい国づくり」企画会議の開催に関連し、何と4900万円もの税金、国費が投入されていることが、民主党喜納昌吉参議院議員が政府に出していた質問主意書への政府の答弁書で明らかになった。

 答弁書は、10月16日に喜納昌吉議員にわたっている。
 

出典:参議院

 安部晋三前首相のいわば個人的な心情と趣味で設置された「美しい国づくり」企画会議に12名が集められたが、企画会議が開催されたのは、わずか2回。

 結果として2回の開催のために4900万円の税金、国費が使われたことになる。


   「美しい国づくり」企画会議のメンバー

座長
  平山 郁夫  日本画家
座長代理
  山内昌之  東京大学大学院総合文化研究科教授
  石井幹子  照明デザイナー
  井上八千代  京舞井上流五世家元
  岡田裕介  東映株式会社代表取締役社長
  荻野アンナ  作家・慶應義塾大学文学部教授
  川勝平太  静岡文化芸術大学学長
  庄山悦彦  株式会社日立製作所取締役会長
  田中直毅  国際公共政策研究センター理事長
  中西輝政  京都大学大学院人間・環境学研究科教授
  弘兼憲史  漫画家
  松永真理  株式会社バンダイ取締役

出典:首相官邸「美しい国づくり」Web

 首相官邸Webによれば、美しい国づくり企画会議は、文化・芸能・歴史・産業など各界の有識者の皆さまに集まっていただき、美しい国づくりプロジェクトの企画等について審議していただく会議です。平成19年4月3日に、第1回企画会議が開催されました、ということになる。

 また美しい国づくりプロジェクトは、私たちが本来もっている魅力を引出し、いきいきとした未来につなげようとするものです。今ある美しいもの、失われた、あるいは失われつつある美しいもの、これから作り上げるべき美しいものについて、国民の皆さんが気づき、行動していくきっかけ作りをするものです、となる。

 そして、企画会議の審議を通じて頂いたご意見、ご示唆を「美しい国づくり」プロジェクトに生かし、皆さんとともに、「美しい国、日本」を築いてくことを目指します、ある。

 しかし、肝心な安部前首相が言う「美しい国」そのものの理念,哲学は示されず、この一年、言葉だけがテレビなどに流れた。

 これほど空虚でむなしい試みもないものだが、それよりも何よりも、怒りを感ずるのは、4900万円もの支出だ。不可解なのは、事務所費約3100万円とあることである。

 この一年、「政治とカネ」問題で揺れ動いた。その最大の問題が政治家の事務所問題であったが、なぜ「美しい国づくり」企画会議の開催準備や開催、それもわずか2回だけの開催に、事務所費約3100万円もの大金が使われたのか?

 また謝金がないのも不自然である。手弁当とも思えない。ひょっとすると、事務所費が謝金として流用された可能性もあるのではないか? 

 ぜひ、喜納議員には国会で追求して欲しいものだ。
 
 以下は、喜納議員の質問主意書への政府答弁を伝える毎日新聞。

美しい国づくり:企画会議に4900万円…2回で解散

 安倍晋三前首相の肝いりで設置された政府の「『美しい国づくり』企画会議」に約4900万円の国費が投じられたことが、政府が16日に閣議決定した答弁書で明らかになった。同会議は日本画家の平山郁夫氏ら有識者12人を集めて4月に発足したが、2回会合を開いただけで、目立った成果もなく9月に解散した。

 喜納昌吉参院議員(民主)の質問主意書に答えた。それによると、同会議を運営するために内閣官房が支出した経費の内訳は、職員9人の人件費約1600万円▽事務所費約3100万円▽通信・交通費約200万円。一方で同会議の実績は、日本特有の生活様式や気質を問うアンケートだけだった。

 答弁書は「わが国の良さ、素晴らしさを国民が再認識する機会を作った」と意義を強調したが、政権を投げ出した代償は高いものとなった。【坂口裕彦】

毎日新聞 2007.10.17