米国の海兵隊グアム移転計画と 日本側の情報操作による世論誘導 青山貞一 Teiichi Aoyama 20 Dec. 2009 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
||
伊波市長は、米軍側の資料を基に海兵隊のグアム移転計画を分析したうえで、「辺野古移設を普天間返還の前提とする考えはおかしい」などと主張した。 伊波市長は、米軍の計画は2005年10月までの時点では、グアムに海兵隊の司令部を移転させるだけの計画であった。しかし、その後2006年7月に策定したグアム統合軍事開発計画のなかでは、米軍が移転させるのは司令部だけでなく普天間基地関係を含めた実戦部隊を含めた海兵隊をグアム移転させることにしたと述べている。 出典:伊波沖縄県宜野湾市長 日テレNEWS24の番組「代表質問」 現在、約15000人いるとされる海兵隊員のうち、人員レベルの移転規模は沖縄からグアムに移転する海兵隊員は約8000人、家族などが約9000人とされている。 出典:伊波沖縄県宜野湾市長 日テレNEWS24の番組「代表質問」 だが、日本側はグアム統合軍事開発計画にある事実を知りながら、2006年5月に策定された「再編実施のための日米ロードマップ」をもとに、米軍は司令部だけをグアムに移転し、沖縄に残る米海兵隊が普天間基地代替施設としての辺野古に開発される飛行場を使用するとしている。 上記に関連し、米国は2006年9月にグアム統合軍事開発計画に基づき、沖縄にいる海兵隊のグアム・テニアン移転に伴う一大事業の環境影響報告書に着手し、この11月(2009年11月)できあがった草稿環境影響報告書を広く、告示・していることが独立系メディアの池田こみち氏の調査で分かった。 米国のNEPAに基づき実施されたグアム統合軍事開発計画 に対する環境影響評価の草稿報告書(2009年11月) 出典:日テレNEWS24の番組「代表質問」 この草稿環境影響報告書は、当然のこととして日本の環境影響評価法ではなく、米国の国家環境政策法(NEPA)にもとづき行われている。 以下が2006年9月に米軍の公式Webから削除されたと言われる環境影響評価実施告示に基づき実施された草稿環境影響報告書の概要である。いずれも英文。
米国はこの環境アセスメントにおける代替案分析のなかで、沖縄、ハワイ、グアム、韓国、シンガポール、オーストラリア、タイなど9カ所の移転先候補地(代替案)の中で、グアムが客観的に一番移転に適すると戦略上から分析、評価している。 出典:日テレNEWS24の番組「代表質問」 米軍側のグアム移転計画では、米海兵隊はグアムのアンダーセン基地にある2つの大きな軍事飛行場(その他、民間用がひとつある)を普天間の代替施設として使用することを想定しており、その内容は伊波市長の説明と符合する。 ●伊波洋一(宜野湾市長):普天間基地のグアム移転の可能性について ●天間基地のグアム移転の可能性について(パワーポイント版) ★宜野湾市の伊波市長に聞く(動画) 日テレNEWS24 すなわち米海兵隊の沖縄からグアムへの移転計画では、2014年以降、けっして海兵隊関係が大規模で移転するのではなく、当初から普天間飛行場の代替施設ともども移転することになっていたことが上記の環境アセスの人員計画から伺えるのである。 グアムの軍事関係人員変化の概要 沖縄などからグアムへの総人員増加の推定 沖縄からグアムに行く海兵隊員の家族住宅建設場所は下図の左の□の地域だが、アンダーセン基地にはすでに二つの巨大な滑走路があり、計画概要図を見ると普天間代替施設としてそれらの飛行場を使う計画も示されている。 グアムのアンダーセン基地北部地域における飛行施設 (軍事用だけで2つある) 出典:伊波沖縄県宜野湾市長 日テレNEWS24の番組「代表質問」 グアムのアンダーセン基地北部地域の移転計画 グアムのアンダーセン基地南部地域の移転計画 旧自民政権は、日刊ゲンダイの以下の記事にあるように、おそらく米国のこの戦略、戦術を十分知りながら辺野古への基地建設に係わる利権がらみで普天間の辺野古移転を画策したのだろう。 ●天間移転をこじれさせた歴代自民党政権と役人の大罪 日刊ゲンダイ ●普天間問題、1兆円の砂利土建利権でもうグチャグチャ 日刊ゲンダイ 今後、万が一、名護市の辺野古にV字滑走路を建設しても、その数年後には残りの海兵隊員がグアムに行くことになり、空港は不要となる。 現に民主党の長島外務政務官は、その場合には辺野古を民間利用すればよいとNHKの日曜討論で述べている。信じられないことだが事実である。 自民や長島政務官のような民主の「ネオコン」が辺野古への普天間代替施設の移設を急ぐのは、国民が真実を知る前に鳩山政権に辺野古建設を最終合意させるための陰謀と言ってよい。 それを知ってか知らぬか分からないが、大メディアは、以下の記事のように連日、日米同盟の機器とか、いらだつ米高官なんて記事を一方的に垂れ流している。 ●「いらだつ米高官」「日米同盟の危機」なんて全部ウソ 日刊ゲンダイ ●「同盟の危機」だって? 米大使館が新聞の普天間報道に呆れ顔 週刊文春 結局、この間、日本国民は情報操作による世論誘導に惑わされてきたことになる。それにしても、このような事実を岡田外相や北沢防衛大臣はどう認識、理解しているのであろうか? また日本の新聞、テレビなど大メディアは、なぜ自ら調査し、その真相を明らかにしないのか? きわめて不可思議である。 それとも、彼らも長島政府間同様、すべてを知りながら自民旧政権の言いなりになっていたのであろうか? 鳩山首相は、ぜがひでも、ここはグアム移転一本でゆかなければならない! |