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日弁連次期会長、事務総長となる
宇都宮さんと海渡さんを励ます会
参加記

青山貞一

April 2010
初出:独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


 2010年3月31日(水)の午後6時30分から東京都千代田区六番町にある主婦会館「プラザエフ」地下2階で、先の日本弁護士連合会(以下、日弁連)の会長選挙で見事当選された宇都宮健児弁護士、宇都宮さんから事務総長に任命された海渡雄一弁護士を励ます会が開催された。

◆日本弁護士連合会公式web http://www.nichibenren.or.jp/

  新会長挨拶 

 2010年度・2011年度の日弁連会長に就任するに当たり、ご挨拶申し上げます。

 新しい日弁連執行部は、「市民の目線で第二次司法改革」を基本方針に掲げます。改革の原点を見定めるには、「弁護士は今、市民の身近にあって何をすることを求められているのか」を常に問い直すことが求められます。

 一つは、貧困と格差が拡大する社会における、弁護士の「社会生活上の医師」としての活動です。貧困問題対策本部を立ち上げて、生活保護や労働相談などの活動を全国的に推進します。このような活動を、幅広く継続的なものにするためには、弁護士の主体的取り組みとともに、民事法律扶助の拡充がぜひとも必要です。

 もう一つは、えん罪をなくすための刑事弁護人としての活動です。被疑者国選制度を担うとともに、全面的国選付添人制度の実現を目指します。取調べの全過程の可視化、検察官手持ち証拠の全面開示、起訴前保釈の実現などの課題にも、全力を挙げて取り組みます。市民の司法参加を目指すものとしてスタートした裁判員制度については、裁判員裁判への取り組みを通じて、被告人の防御権、弁護権が守られているかという観点から検証し、必要な改革を図るべきである、と考えます。

 拝金主義のはびこる世の中にあって、弱者の味方として情熱的に仕事に取り組む弁護士こそ、市民が求めてやまない弁護士像であると思います。社会的・経済的弱者に光が当たる改革の担い手となる「人」をどう確保するかは、司法改革の根幹をなす問題です。

 ところがこの不況下に、給料なしで法律事務所に所属する「ノキ弁」、就職できなかった「即独弁護士」など、経済的に不安定な状況に置かれている新人弁護士が増えています。法科大学院で学ぶための奨学金で多額の債務を抱える者も少なくありません。これに加えて修習資金の貸与制が導入されれば、さらに重い負担がのしかかります。修習資金の給費制の廃止は法曹資格を単なるビジネスのための個人的資格にしてしまい、改革の根幹を掘り崩す危険性を孕んでいます。合格率の低迷や新人弁護士の厳しい状況が知られるにつれて法曹志望者が減りつつありますが、給費制の廃止は、この傾向に拍車をかけることになりかねません。早急に対策本部を立ち上げて、給費制の維持を求める運動に取り組みます。

 また、これまで新人弁護士は、就職して先輩弁護士とともに仕事に取り組みながら、現場の仕事を覚えていきました。医師と同じように、弁護士も、実務研修が必要です。司法試験合格者増に見合う就職先がないということが、依頼者である市民の権利・利益が十分に守られないという結果に結びつくことのないように、早急に事態の改善を図らなければなりません。法曹養成制度の改革には一定の時間がかかるとすれば、増員ペースの減速(法曹人口の減少ではありません)に着手すべきであると考えます。

 他方、これまで弁護士の過疎・偏在の解消には一定の成果を挙げてきました。しかるに、裁判官ゼロ(判事・判事補非常駐)支部が48カ所(2009年12月現在)、検察官ゼロ(検事非常駐)支部が112カ所(2008年6月現在)あり、地家裁・検察庁支部の機能は縮小傾向にあります。司法予算は相変わらず増大せず、現在でも国家予算の0.4%以下の状況です。「裁判官・検察官ゼロマップ」を作り、市民とともに裁判官・検察官の大幅増員や地家裁・検察庁支部機能の充実、司法予算の拡大を求める運動に取り組みたいと思います。

 さらに、2008年の自由権規約委員会の総括所見をはじめとする国際人権諸機関からの相次ぐ勧告に応え、その勧告内容の実現に努めると共に、政府から独立した国内人権機関の設立、個人通報制度の導入などを通じて国際水準に沿った人権保障システムの刷新を目指して努力します。

市民の皆様のご理解とご協力をお願い致します。

2010年(平成22年)4月1日
日本弁護士連合会会長 宇都宮 健児(うつのみや けんじ)


 私は宇都宮弁護士とは今まで面識がなかったが、事務総長に就任する海渡弁護士(東京共同法律事務所)とは、ここ数年、国相手の行政訴訟や行政不服審査をともに闘ってきた経緯もあり、環境総合研究所の同僚、池田こみちさんと一緒に参加した。

 以下は励ます会の案内状の文面である。


宇都宮さんと海渡さんを励ます会

 このたびの日弁連会長選挙は、史上初の再投票となりましたが、宇都宮健児候補が勝利することができました。

 皆様方のご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。

 これから2年間、宇都宮健児会長・海渡雄一事務総長のコンビで「風通しの良い日弁連」を作り、これまでの司法改革の成果の確認と問題点の洗い出しに取り組み、「市民のための司法」を実現するために、修習資金の貸与制阻止、法曹養成制度の立て直し、法律扶助制度の改革などに、市民と連携して運動を進めていくことになります。

 そのような運動の出発に当たり、この選挙を一緒に闘ってきた仲間の弁護士だけでなく、宇都宮さんと海渡さんを応援してくださる国会議員、市民団体、消費者団体、労働団体の皆様方や修習生にも来ていただいて、下記要領にて宇都宮さんと海渡さんを励ます会を開催したいと思います。

 ご多忙中のこととは存じますが、ご出席いただきますよう、ご案内申し上げます。

 
 当日、午後6時半少し過ぎに主婦会館地下2階を訪問する。

 すでに会場は熱気むんむんだ。

 全国各地からかけつけた多くの弁護士、その多くは宇都宮さんをこの間支援してこられた「市民のための司法と日弁連をつくる会」の弁護士のようだ。

 また宇都宮さんがこの間ご尽力されてきた反貧困、ヤミ金・過払い問題、消費者問題などの市民団体、NGO、海渡さんがご尽力されてきた人権問題、環境問題、反原発、労働問題など分野の市民団体、NGOも多数参加していた。

 さらにそれらの分野に関心を持っている国会議員、マスコミ関係者等で会場は賑わっていた。

 宇都宮さん、海渡さんのお二人は、いわば社会経済的弱者救済環境・人権保護の分野で日本を代表する弁護士であり、日弁連のトップにこのような方々がたたれたことは画期的なことであるが、私見ではこれでやっと日弁連も法曹の本来の役割を本格的に担う体制がととのったと思う。


開会前に談笑される宇都宮日弁連次期会長


開会前のそろい踏みです。
左が宇都宮日弁連次期会長、左が海渡日弁連事務次期総長。

 そのうち釜井英法弁護士が司会者となり、各界からの祝辞がはじまった。


司会の釜井英法弁護士


■衆参国会議員からの祝辞

 最初は衆参国会議員からの祝辞である。与党議員だけでなく、野党議員(後藤田衆議院議員)らも駆けつけられた。


国会議員(初鹿明博衆院議員、民主党) からの祝辞。テレビ取材はTBS


国会議員からの祝辞、激励


国会議員からの祝辞、激励


国会議員からの祝辞、激励


国会議員からの祝辞、激励


■市民団体・NGOからの祝辞

 国会議員からの祝辞の後、反貧困、ヤミ金・過払い問題、消費者問題、人権問題、環境問題、反原発、労働問題など分野の市民団体、NGOの関係者からの祝辞が相次いだ。


市民団体、NGOからの祝辞、激励


市民団体、NGOからの祝辞、激励


青山貞一(環境総合研究所)から祝辞、激励


市民団体、NGOからの祝辞、激励


市民団体、NGOからの祝辞、激励


市民団体、NGOからの祝辞、激励


市民団体、NGOからの祝辞、激励


■次期事務総長の海渡弁護士からのご挨拶

 ここで次期日弁連事務総長となる海渡雄一さんからご挨拶があった。海渡さんは今後、日弁連の仕事に専念されることになり、個別具体の弁護案件へのかかわりが難しくなりそうだ。日弁連が抱える課題は多く、また会長選挙に際し宇都宮さんがかかげた公約に類するテーマはいずれも解決が容易なものではないだけに、今後2年間大いに奮闘して欲しいものだ。

 ご承知のように海渡さんの連れ合い(ご本人の弁)は、現在の民主、国民、社民の連立政権で消費者問題担当相、福島瑞穂参議院議員であり、夫婦そろって人権、労働、消費者、環境の各問題に司法、立法、行政の3分野でがんばられることになる。


海渡雄一日弁連事務総長のご挨拶

■海渡 雄一(1955年7月21日- )

プロフィール

日本の弁護士、兵庫県出身。監獄人権センター事務局長。2010年4月より日本弁護士連合会事務総長(予定)。妻は弁護士で参議院議員の福島瑞穂(社民党党首)。夫婦別姓を実行するため、婚姻届を提出しない事実婚である。

経歴

  • 1979年 東京大学法学部卒業(前年22歳で司法試験合格 この為に2年留年)
  • 1981年 司法修習33期修了し弁護士登録
  • 日弁連において刑事拘禁改革実現本部事務局長代行、国際刑事立法対策委員会副委員長、共謀罪立法対策ワーキンググループ事務局長を歴任。
  • 2010年4月 日本弁護士連合会の事務総長に就任(予定)
これまでに担当した主な事件・参加弁護団 [編集]

・国労弁護団
・監獄内の人権に関する訴訟多数(訴訟を通じて、受刑者と子どもの面会を禁止する規則を撤廃させたり、革手錠使用の違法性を認めさせ革手錠の使用頻度を激減させた)。
・原子力発電所の危険性を問う訴訟多数(もんじゅ訴訟、浜岡訴訟など)。
・航空機事故遺族代理人(日航機事故、中華航空機事故)。
・電力線搬送通信(PLC)訴訟
・東九州自動車道土地収用事業認定・収容採決差し止め訴訟
・横浜市保育所民営化反対裁判を担当、2006年3月に勝訴

監獄内の人権に関する活動

・監獄内の人権状況の改善のため、1995年に監獄人権センター(NPO法人)を設立し事務局長に就任。被拘禁者の人権侵害事件における損害賠償請求事件などを多数手がけた。1998年には、国連人権高等弁務官事務所主催の専門家会議「刑務官に対する人権教育」に招待された。監獄人権センターは、2003年、東京弁護士会人権賞を受賞している。

■次期会長の宇都宮健児弁護士からのご挨拶

 ここで次期、日弁連会長となる宇都宮弁護士から就任に際してのご挨拶があった。

 以下のプロフィール、経歴、人物をご覧になればおわかりになるが、宇都宮さんは子供の時代、学生時代からやむなく「貧困」を体験されてきただけに、弁護士になれてから主要なテーマとされてきた反貧困、ヤミ金・過払い問題、消費者問題、人権問題への係わりは想像を絶するものがある。

 実務で係わられてきたひとつひとつの事件で宇都宮さんが弁護、支援されてきた方々、団体が会場に大挙して来ており、ご挨拶の随所で大きな拍手をされていた。これひとつを会場で見るだけで、宇都宮さんのひととなりを体感できた。まさに社会正義をひとつひとつの現場で身を挺し実践されてきた、その現場主義には脱帽である。 


宇都宮日弁連会長のご挨拶

■宇都宮 健児(1946年12月1日 - )

プロフィール

愛媛県出身の日本の弁護士。多重債務問題、消費者金融問題の専門家。日本弁護士連合会(日弁連)消費者問題対策委員会委員長、東京弁護士会副会長などを歴任、全国ヤミ金融対策会議代表幹事、オウム真理教犯罪被害者支援機構理事長、反貧困ネットワーク代表や年越し派遣村名誉村長を務める。2010年4月より日弁連会長。

経歴

1946年、愛媛県東宇和郡高山村(現西予市明浜町)に傷痍軍人の長男として生まれる。故郷の田之浜浦は江戸前期に開発された半農半漁の地だった。1955年、一家で大分県に開拓入植。

1959年、熊本県に住む母方の叔父の元に預けられる。中学、高校、大学と卓球部に所属。1965年、熊本高校卒。東京大学合格、学資を稼ぐため1年間入学猶予。1966年、東京大学入学、駒場寮で暮らす。

1968年、司法試験合格。1969年、経済的事由により大学中退、司法修習生となる。1971年、弁護士登録(東京弁護士会)。岡安法律事務所に入所。1979年、佐藤法律事務所に入所。1983年、宇都宮健児法律事務所を開設、後に東京市民法律事務所とする。

2010年、日弁連会長選挙に立候補。元副会長の山本剛嗣との選挙戦となる。

2月5日の投票で、得票数では山本に及ばなかったが、全国に52ある弁護士会のうち地方を中心とする42会で山本を上回る。同選挙においては、最多得票者が全国の3分の1以上の会においてそれぞれ最多票を得なければ当選できないという規定(日弁連会則61条2項)があるため、初の再選挙となる。

3月10日の再選挙では宇都宮が山本を上回る得票を獲得し、かつ46会で最多票を得たため、当選する。

人物

大分県に入植した当初は家族とともに電気もない土地を開墾する。勉強・スポーツ共に秀で、親類と話し合った結果、中学から熊本県に移り住む。親を楽にさせたいという思いからプロ野球選手を志したが体格的な問題から中学1年時に断念し、勉学に打ち込み東京大学に合格。経済的な理由から入寮した駒場寮では当時学生運動が盛んで、寮生らと議論を重ねる中で弁護士を志す。

大学在学中に司法試験に合格。当初は顧客開拓が思うようにいかず、簿記学校の講師をしながら生計を立てる。

1970年代後半、当時ほとんど顧みられることのなかった多重債務者の弁護を引き受ける。現行の消費者金融に関する訴訟実務の大半は宇都宮が独力で整備する。しかし、依頼者が急増し当時勤務していた事務所から「サラ金問題をやるなら事務所を辞めてくれ」と言われ独立。

以降、豊田商事事件、地下鉄サリン事件、オレンジ共済事件、KKC事件、日栄事件、全国八葉物流事件、五菱会闇金融事件、商工ファンド事件などを手がける。オウム真理教幹部に殺害された坂本堤弁護士の妻は宇都宮の事務所で勤務していた。

映画『夜逃げ屋本舗』を監修するほか、宮部みゆき『火車』に登場する弁護士のモデルである。

出典:Wikipedia



ふたりでご挨拶

■弁護士からの激励

 お二人の就任挨拶に続き、修習生やこの間、会長選挙を支え支援されてきた弁護士からご挨拶、激励、お礼などがあった。


修習生からの祝辞


仙台の女性弁護士からの祝辞、激励、お礼


仙台弁護士会の会長で「市民のための司法と日弁連をつくる会」
事務局長の新里宏二弁護士からの祝辞、お礼


「市民のための司法と日弁連をつくる会」の女性弁護士からの
祝辞、激励、お礼


■会場にかけつけた弁護士、市民団体

 以下は全国、津々浦々から会場にかけつけた弁護士、市民団体。多くの知り合いの弁護士、市民団体、NGOの方々とお会いすることができました!


右端は池田こみちさん


会場にかけつけたひとびと


会場にかけつけたひとびと