政府の事業仕分けが行われ、「日本宝くじ協会」などが行っている宝くじの普及宣伝事業について「廃止すべき」と結論づけるなど、21日、対象となった28事業のうち、17の事業を廃止または縮減すべきとしました。
政府の行政刷新会議が、公益法人などを対象に行っている事業仕分けは、2日目の21日、総務省所管の「日本宝くじ協会」、「自治総合センター」、「全国市町村振興協会」の3つの公益法人が売上金の一部を受け取って実施している、宝くじの普及宣伝事業などが対象となりました。
この中では、3つの法人が平成20年度にあわせて320億円を受け取り、このうち、およそ120億円を普及宣伝などの名目で、100余りの公益法人に再び配分していることや、いずれの法人も理事長が旧自治省、今の総務省のOBで、常勤役員3人全員が天下りであることなどが指摘されました。
そして仕分け人は、地方自治体の職員向けに発行している雑誌やDVDなどを示し、「裏表紙などに宝くじのマークを入れただけで広告宣伝事業としているが、効果があるのか。
複雑な資金の流れの構造を維持していること自体が不信感を高めている」と質したのに対し、協会側は、「毎年の実績を考慮して配分先を決めている。効果があると信じるしかない」と答えました。
さらに、「法人で勤務する官僚OBに多額の給与が支払われている」とする指摘に対し、宝くじの発行人の立場として参加した鹿児島県の伊藤知事は「国会議員もそれ以上の給料をもらっており、天下りの給料が高いというのは行き過ぎだ」と反論しました。
そのうえで、伊藤知事は、普天間基地の移設問題で、政府が、鹿児島県徳之島にアメリカ軍の訓練を一部移転したいとしていることに関連して、「鳩山総理大臣から地方にお願いするという状況の中で、今回、国が一方的に宝くじ関係の法人を仕分けの対象としたのはおかしい」と主張しました。
一方、秋田県の佐竹知事は「経済成長の時代とは違うので、給与に一定のルールもあってしかるべきだ」と述べました。そして、最終的に仕分け人は、「事業は廃止すべき」としたうえで、「天下りの高額な報酬や立派すぎるオフィスなど、事業のむだの問題が解決されないかぎり、総務大臣は宝くじの発行を認めるべきではない」とする意見が付けられました。
このほか、「海外運輸協力協会」が、発展途上国のインフラ整備の技術支援などを行う民間企業や、NGOに補助金を出す事業、「中央労働災害防止協会」や「河川環境管理財団」がそれぞれ広報用の施設を管理運営している事業は「廃止すべき」と結論づけ、21日、対象となった28事業のうち、あわせて17事業を廃止または縮減すべきとしました。
枝野行政刷新担当大臣は、記者会見で、「原口総務大臣には個別に報告し、具体的な進め方を相談しながら検討したい。仕分けの結論の通りに進めていくとしても、関係者の皆さんにはていねいに趣旨を説明していく」と述べました。
その上で、枝野大臣は、「地方の財政状況が苦しい中で、それぞれの自治体が、個々の判断で自由に使えるお金を増やしていくということだ。事業仕分けの議論をふまえ、しっかり対策を進めていきたい」と述べました。