エントランスへはここをクリック   

ユーザー無視のデジタル家電
〜デジカメ・バッテリー編

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授


掲載月日:2013年11月14日

独立系メディア E-wave

無断転載禁

 日本のデジカメのモデル・チェンジが信じられないほど頻繁だ。同一メーカーからそれこそ数ヶ月単位で新製品がでている。

 よく見ると、どうてもよい機能、余計な機能が少し増えただけで新製品が出てきル。また画素数が少し増えたからといっては、モデルチェンジを繰り返している。

 以下は,私がアナログ時代から愛用しているニコンが販売してきたデジカメのモデル一覧である。2012年までしか示していない。おそらく、その後も新たなモデルを出していると思われる。

◆Nikon Coolpixシリーズラインアップ

COOLPIX L1 2005年10月14日発売
COOLPIX L3 2006年2月24日発売
COOLPIX L4 日本では未販売
COOLPIX L2 2006年6月16日発売
COOLPIX L5 2006年9月8日発売
COOLPIX L6 2006年9月8日発売
COOLPIX S1 2005年4月15日発売
COOLPIX S2 2005年7月8日発売
COOLPIX S3 2005年9月23日発売
COOLPIX S5 2006年2月24日発売
COOLPIX S6 2006年3月24日発売
COOLPIX S7 S7c 2006年9月22日発売(S7cは9月29日)
COOLPIX S8 2006年9月22日発売
COOLPIX S9 日本での発売なし

COOLPIX S500 2007年3月16日発売。
COOLPIX S200 2007年3月23日発売
COOLPIX S510 2007年9月21日発売
COOLPIX S700 2007年10月12日発売
COOLPIX S210 2008年2月29日発売
COOLPIX S520 2008年3月14日発売
COOLPIX S600 2008年3月14日発売
COOLPIX S550 2008年3月20日発売
COOLPIX S610, S610c 2008年8月29日発売
COOLPIX S710 2008年8月29日発売
COOLPIX S50, S50c 2007年4月20日発売(S50cは4月25日)
COOLPIX S51, S51c 2007年9月14日発売
COOLPIX S52,S52c 2008年4月25日発売(S52cは5月16日)
COOLPIX S60 2008年9月19日発売
COOLPIX S70 2009年9月19日発売。
COOLPIX S4 COOLPIX S4 2005年9月23日発売
COOLPIX S10 2006年9月15日発売
COOLPIX P1 2005年9月23日発売
COOLPIX P2 2005年10月21日発売
COOLPIX L10 日本での発売なし
COOLPIX L11 2007年3月23日発売
COOLPIX L12 2007年4月12日発売
COOLPIX L14 2007年10月12日発売
COOLPIX L15 2007年10月26日発売
COOLPIX L16 2008年3月20日発売
COOLPIX L18 2008年3月20日発売
COOLPIX S8000 2010年2月19日発売
COOLPIX S6000 2010年3月11日発売
COOLPIX S4000 2010年3月19日発売
COOLPIX S3000 2010年3月19日発売
COOLPIX S5100 2010年9月2日発売
COOLPIX S8100 2010年10月7日発売
COOLPIX S3100 2011年3月18日発売
COOLPIX S6100 2011年3月18日発売
COOLPIX S9100 2011年3月18日発売
COOLPIX S6200 2011年9月17日発売
COOLPIX S8200 2011年9月17日発売
COOLPIX S3300 2012年2月16日発売
COOLPIX S4300 2012年2月16日発売
COOLPIX S6300 2012年2月16日発売
COOLPIX S9300 2012年3月15日発売
COOLPIX S30
COOLPIX S800c
COOLPIX S01
COOLPIX S6400
COOLPIX S5200
COOLPIX S6500
COOLPIX S9400
COOLPIX S9500
COOLPIX S31
COOLPIX S3500
COOLPIX S80 2010年10月7日発売

 今回、問題にしたいのは、頻繁にモデルチェンジするデジカメに使われている電池である。ここでも信じられないことがたくさん起きている。

 たとえば、各メーカーともにモデルチェンジする度に、新たな電池、それも電圧や容量ではなく、形状を変えている。私はデジカメでは、ずっとニコンを使ってきた。

 もう6台目になる。具体的には上記のリストにある赤色で示したものである。S8
 1台、S9 1台、S10 3台、S50である(外観は以下参照)。

Nikon Coolpix S8

Nikon Coolpix S9

Nikon Coolpix S10

Nikon Coolpix S50

 しかし、バッテリー(電池)はモデルが変わると大部分が別物となる。以前のモデルが壊れた場合でも電池そのものは何ら問題なく使えるのだが、新モデルでは新たな形のものとなっているので、まったく使えないことが多い。 

 以下の写真は、左が Nikon Coolpix S10 用の電池、右が Nikon Coolpix S8 用の電池である。見てわかるように、電池の電圧はともに3.7Vであるが、まったく大きさが異なり、相互には使えない。

 その後、 Nikon Coolpix S9 さらにS50 を買った。S9、S50の電池は、たまたまNikon Coolpix S8 用と同じであった。型番は、EN-EL8 である。下写真右側のものである。


ニコンの場合 左が S10用、右がS8用の電池
撮影:青山貞一 Coolpix S8

 よく調べたら、EN-EL8という電池をつかっている Nikon Coolpixシリーズのデジカメは、P1  P2  S1  S2  S3  S5  S50  S50c S51  S51c  S6  S7  S7c    S8  S9であった。

 電圧が同じで容量もほぼ同じなら、同じ形状の電池としていれば、相互に流用できるし、本体が壊れた場合でも、電池だけは他の機種で使える。しかし、多くの場合、機種が変わると使えなくなるのである。結局、使えなくなれば最後は電池を廃棄することになる。電池は多くの場合、有害化学物質を含むから資源浪費だけでなく、環境汚染を起こす原因にもなる。

 問題はこれに限らない。先に第一編では、デジタルビデオカメラの電池が純正とそれ以外で10倍も価格が異なることについて詳細に述べたが、これはデジカメでも同じである。

 下の写真は、右がニコンの純正電池(EN-EL8)、左がニコンの互換電池(EN-EL8)である。もちろん、大きさは同じであり、同じように使える。

 
右がニコンの純正電池(EN-EL8)、左がニコンの互換電池(EN-EL8)
撮影:青山貞一 Coolpix S8

 問題は、純正がおおよそ2000円から5250円、互換がおおよそ370円から500円と純正が最大で10倍近く高額なのである。これは他のメーカのデジカメでも同じようなことが起きている。

 ※純正バッテリー(EN-EL8)の価格例
 ※純正バッテリー(EN-EL8)の価格例2
 ※純正バッテリー(EN-EL8)の価格例3
 ※互換バッテリー(EN-EL8)の価格例
 ※互換バッテリー(EN-EL8)の価格例2

 ニコンの公式Webを見ると、互換バッテリーを使うとデジカメ本体が壊れたり、火事になるなどと書いている。しかし、私が1個500円で2個購入したの互換バッテリーを数年使っているが、まったく問題なく使えている。

 これは第一編で書いたNP120など、デジタルビデオカメラで使っている大容量バッテリーでも同じである。純正が5000円するものの、互換はやはり500円で売っており、すでに5年使っているが、何ら問題なく使えている。

 なかにはそのような粗悪品があるのかも知れないが、多くの場合、電池はOEM生産となっており、互換と言っているものの、実は純正を生産しているアジアの企業が見栄えだけを変えて売っているものが多い。

 上記の問題は、もちろん、ニコンに限らず、キャノンなど他のメーカーも同じである。

 デジカメの場合、家庭用のものの実売価格は1万円から2万円だから,なんとバッテリーだけが4000円となると、何だこりゃということになる。

 これは本体を廉価に売り、インクをバカ高く売っているキャノンのプリンターなどにも共通する問題である。

 可能ならデジカメ・バッテリーは同一メーカーの機種だけでなく、メーカー間でもできる限り共通仕様としてほしいものである。

 こういうことを続けている限り、日本のデジタル家電製品は国内、世界で信用されてないだろう!