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原油価格大幅下落も
燃料サーチャージは再値上げ(1)

青山貞一
掲載月日:2008年10月11日


 今年、バーレル当たり147ドルまで行った先物原油価格だが、現在はと言えば、下の記事にあるように80ドルそこそこまで下落している。

 これは2007年10月時点の水準である。

Y原油が大幅続落、一時80ドル割る

 【ニューヨーク=池松洋】
 10日のニューヨーク原油先物市場は、世界的な景気後退懸念で原油需要が落ち込むとの見方から原油価格が大幅続落している。
 
指標となるテキサス産軽質油(WTI)の11月渡し価格は一時、1バレル=78・61ドルまで下落し、昨年10月以来1年ぶりに80ドルを割り込んだ。
 午前11時30分(日本時間11日午前0時30分)、前日終値比6・93ドル安の1バレル=79・66ドルで推移している。
(2008年10月11日01時26分  読売新聞)


 確かに2006年の7月から2008年(今年)の7月までのWTI先物原油価格の推移を見ると、以下の図1にあるように、1バーレル当たり80ドルは、2007年10月頃の価格水準である。


図1 WTI原油スポット価格のここ2年間の推移
    出典:米国政府公式エネルギー統計

 以下のグラフを見ると、さらにわかりやすい。2007年の10月は赤いグラフのOCT、すなわち10月の水準である。


 図1−2 WTI原油スポット価格の年度比較
      出典:米国政府公式エネルギー統計

 実際のWTI先物原油の価格変化は以下の通り。右端が2008年9月30日である。



 以下はジェット燃料に近い灯油の価格の推移を示している。やはり現状では今年の夏のピーク時に比べ半分強の62%となっている。


 となれば、この夏に暴騰した航空運賃に関連するいわゆる燃料サーチャージが下落して良いはずだ。

 だが、現実には以下のサーチャージ表で分かるように、この7月に大幅に値上げしたばかりの燃料サーチャージは、この10月1日からさらに18%近くも再値上げされようとしている(JAL、ANAの場合)。日本の航空会社の場合、円高メリットもあるはずだ。

 先週までサンフランシスコに学会発表ででかけていた同僚教授によれば、航空会社は日本航空を使ったが、燃料サーチャージは往復で56,000円だったとそうで怒っていた。

 以下を見ると、それを10月1日からさらに66,000円に値上げする!

 WTI先物原油が大幅値下げしているのにである。WTI先物原油が一番高かった7月に大幅上げたしたはずのサーチャージをさらに18%近くも値上げするのはどういうことなのか?

 今や日本の航空会社が世界の航空会社のサーチャージ高騰の先導役となっているのではないか? 

 事実、以下の表から分かるように、JALとANAが燃料サーチャージが一番高く、行き先にかかわらずどんぶり勘定となっている。そもそも、同じ米国でもサンフランシスコとマイアミではまるっきり成田からの距離は異なる。

 国土交通省は一体何を考えているのであろうか?
 

■速報!10月1日から値上げされる航空会社燃油サーチャージ一覧
  ※以下はあくまで片道のサーチャージ料金。往復の場合2倍となる。

航空会社/行き先 9月30日発券分
までの燃油
10月1日発券分からの燃油
日本航空/北米・メキシコ・欧州・中東・オセアニア \28,000 \33,000
全日空/欧州・北米・中東 \28,000 \33,000
ノースウエスト航空/アメリカ本土(カナダ含む) \20,000 \22,000
ノースウエスト航空/ハワイ \15,000 \17,000
大韓航空/アメリカ・ヨーロッパ \24,000 \30,000
フィリピン航空/国際線全て \7,200 \10,400
エールフランス/パリ \19,800 \22,200
アリタリア航空/イタリア \17,900 \26,400