今年7月、1バレル当たり147ドルまで暴騰したWTI先物原油(WTI Crude Oil Spot)だが、その後は崖を転げ落ちるように価格が低下してきた。
図1はすべての基本となるWTI先物原油の価格である。図より分かるように2008年7月にピーク時147ドルまで暴騰した原油価格は、2008年12月2日現在、43.6ドルまで激落、12月18日には40ドルを切っている。
http://www.chron.com/disp/story.mpl/hotstories/6148285.html
図1 WTI先物原油価格
OPECは、この間原油の減産を継続してきた。また40ドルを切ったことを受け、理事会を開き、さらなる減産を決議したとのことだが、原油価格はとどまるところ知らず、下落している。
ということは、この夏の1バレル、147ドルなどの暴騰は、明らかに人為的な投機によるものであり、原油消費の実態を反映したものでないことが明白になった。
これを受け、無鉛ガソリン、灯油価格も激落している。図2は無鉛のガソリン価格、図3は灯油価格である。単位はともに1ガロン(=3.8リットル)当たりのドルである。
図2 無鉛ガソリン価格
ガソリン価格は1ガロン当たり1ドルを切っているが、これを一リットル当たりの価格に返還すると、1リットル=26セントとなる。1ドルを90円とした場合、1リットル当たり、何と24円である。
日本の場合、例の暫定税率など高額の税金、それに卸、小売りなどの流通経費を含めても1リットル当たり90円以下になってもおかしくない。実際、90円台のガソリンスタンドが出始めている。
図3 灯油価格
では間違いなく便乗値上げをしてきた航空業界の燃料サーチャージのもととなる灯油価格はどうか?
図3は灯油価格の推移である。2008年7月のピークでは1ガロン当たり4.2ドルまで暴騰したが、現在はと言えば2008年12月8日現在、1.4ドルである。約1/3に激落していることが分かる。
この秋、成田ー米国路線の燃料サーチャージを片道3万3千円、往復で6万6千円まで上げたJAL、ANAだが、来年1月1日より往復で2万2千円値下げすることになった。
しかし、現在の燃料価格水準が2005年1月レベルにあるとすれば、急激な円高などの為替動向を合わせ、日米間の燃料サーチャージは往復で2万円以下でよいはずだ。
その意味で、国土交通省はじめ各航空会社は相も変わらず、燃料サーチャージを便乗値上げしていると言える。
筆者は、これについて詳細分析を行っている。