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現在、私が自宅で使っているパソコンは、液晶ディスプレーなどを含まない本体価格がすべて5万円未満である。 と言うと多くの友人、知人は驚くが事実である。 しかも、自宅で使っているデスクトップパソコンの多くは、インテルの最新の第二世代CPU(中央演算装置)、Core i5 2500Kを搭載した超高速パソコンである。ちなみに、末尾にKがついている2500K、2600K、2700KなどのCPUは、OC(over clock)と言って自己責任でクロック周波数を限界まで上げることが出来る。自己責任という意味は、インテル社はOCによるCPUの不具合、破壊については保証の対象外、あくまでOCをするひとの責任で行って欲しいという意味である。 もちろん、私が日常的につかっているパワーポイント、ワード、エクセルなどマイクロソフトのOfficeやホームページビルダーなどWeb制作、メールなどでつかっているパソコンも当然5万円以内である。さらに最新のノートパソコンも5万円以内であり十分に満足している。 上記のパソコンはいずれもBTO、すなわちCPU、マザーボード、ハードディスク、CD/DVDとライブ、メモリー、OS(Windows 7など)、ケース、電源を自分の意志でトッピングし、パソコンショップがそれらを組み上げ数日後に自宅に送ってくれる。 たとえば、3次元流体計算や高度な動画編集に使っている4台の高速BTOパソコンで使っている部品とそれぞれの価格、合計格は以下の通りである。もちろん、すべて新品の部品である。 CPU Intel Core i5 2500K 16500円 マザーボード ASRock B3 H67DE3 Intel H67 チップセット 6500円 ハードディスク WesternDigital 500GB 6200円 CD/DVDドライブ Liteon 1750円 メモリー バルク 8GB 3570円 OS Microsoft Windows 7 DSP版 Home Edition 64ビット 9500円 ケース&電源 Scythe GUNTER-BK 5500円 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 49520円 以下は上記の部品を使った私の2500Kを使った現有機種である。非常にシンプルな構成だが、高度な科学技術計算に十分使える。現在、自宅で2500Kを使ったスーパーパソコンを同時に4台使えるように整備してある。 図 私の現有スーパーパソコン内部 (OS:Windows 7 64ビット、CPU:Intel Core i5 2500K、 メモリー8GB、HDD500GB) 図 私のスーパーパソコン外観 (OS:Windows 7 64ビット、CPU:Intel Core i5 2500K、 メモリー8GB、HDD500GB) 下は上記のスーパーパソコンで数値計算シミュレーションした福島第一原発から東京方向に向かう放射性物質の流れ図である。写真は昨年11月3日、福島市公会堂で行われた脱原発シンポジウムで私が講演しているところを写している。 図 原発から250Kmも離れた東京や横浜までのシミュレーション 撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8 この種の科学技術計算は、気象、地形を考慮し放射性物質がどう移流、拡散するかを予測するもので膨大な計算量を短時間にこなさなければならいが、このような高度な科学技術計算も今や5万円未満のスーパーパソコンで可能となるのである。 図 3月21日の茨城、千葉、埼玉、東京への移流拡散シミュレーション 出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT 以下は、パソコンによるシミュレーションをもとに福島第一原発事故後の放射性物質の移流、拡散を解析した学会論文である。 青山貞一・鷹取敦・池田こみち:福島原発事故に起因する放射性物質による地域汚染の実態解明と汚染構造の把握(2),環境アセスメント学会誌、2012年 Vol.10 No.1 また数時間の動画編集、レンダリングでも上記のスーパーパソコンは絶大な威力を発揮する。3次元計算を伴うゲームでは、グラフィックス専用のCPUであるGPUが必要となるが、通常の動画編集、表示では2500Kを使ったパソコンで十分である。 ポーランドの古都クラクフ 現地撮影及び動画編集:青山貞一 ポーランドの歴史地区ワルシャワ 現地撮影及び動画編集:青山貞一 ところで、上記のスーパーパソコンに使用している部品のなかに日本の製品があるかというと、残念ながらゼロである。 たとえば日本のソニー、富士通、パナソニックなど日本メーカーが売っているパソコンでも、中を見れば部品に国産品はないはずである。 肝心なCPUにインテルの第二世代、Core i5 2500Kを使っているが、このCPUは知る人ぞ知るコスパ、すなわち費用対効果が飛び抜けて高いCPUである。上位の2600Kや2700Kは、2500Kより価格で8000円〜1万円も高いが、CPUのクロック周波数は10%程度しか変わらない。 さらにCore i3-7シリーズの第一世代CPU、たとえば Core i5 750は、Core i5 2500Kよりも価格が20%以上高いが、速度、グラフィック性能などではCore i5 2500Kの方が遙かに上である。 マザーボードは、H61系なら一流メーカー製でも3000円台からあるが、ハードディスクの性能を引き出すためにはH67系の方が優れている。OSはDSP版のWindows 7だが、DSP版と正規版の違いは、正規版が64ビット、32ビットいずれにも対応するのに対し、DSP版は購入時にハードウェア(何でもよい)と抱き合わせで購入することと32ビットか64ビット用を決めなければならないことくらいである。 通常の事務用パソコンなら以下の構成で十二分である。 使用するCPUはインテルのペンティアム・シリーズの最高峰プロセッサG860であるだ。クロック周波数は3GHzである。G860は第二世代のCore i3 2100と速度などは互角のDual Coreプロセッサであり、おそらくCore i3 2100がもつ通常使用しない高度なグラフィック機能をはずしたCPUであり基本性能は高い。 CPU Intel Pentium G860 7500円 マザーボード Intel H61 チップセット 3500円 ハードディスク WesternDigital 500GB 6200円 CD/DVDドライブ Liteon 1750円 メモリー バルク 4GB 2300円 OS(DSP) Microsoft Windows 7 Home Edition 32ビット 9500円 ケース&電源 Scythe GUNTER-BK 5500円 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 36250円 なお、ハードディスクはタイの大洪水の影響で昨年暮れから今年の春まで2−3倍に価格が跳ね上がったが、現在は価格はかなり落ちついてきている。もちろん、CPU価格5,300円程度のIntel Pentium G630でも事務用なら十分使える。 いまやBTOパソコンはマニアの領域から、誰でもが入手可能な時代となっている。当然、基本的な知識があれば、保証期間が過ぎでも故障箇所を自分で発見し、部品交換することで5年でも10年でもロングランで使えることになる。 |