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我が国の身近な冤罪事件として最も多いのが痴漢事件であろう。 一旦、満員電車の中で女性に痴漢として手を捕まれたら最後、明白な第三者的な証拠がないまま警察に引き渡され、取り調べの中でいくら無実を主張しても、起訴され、公判に持ち込まれる。 場合によっては起訴される前に、痴漢行為を認めれば略式命令請求、いわゆる略式起訴としてやるとか、さらには被害者との間での金銭的な示談をもちかけられたりする。示談に応じれば起訴猶予となる、とったこともある。 しかし、本当に痴漢行為をしていない男性にとっては、略式起訴であれ、示談による起訴猶予はいずれもいたたまれないことだ。そこであくまで無罪を主張すると、検察に起訴される。 しかも無罪を主張し続ければ、最大22日間拘置所に拘置され、連日連夜警察の厳しい取り調べを受けることになる。 一旦起訴されると、弁護士をつけてがんばっても圧倒的大部分の痴漢事件は、執行猶予が付くにせよ有罪とされてしまう。 今の日本では周知のように一旦、検察によって起訴され、公訴されると99.9..%が有罪となってしまうのである。 もちろん本当に痴漢行為をしている場合には、略式命令請求に応じ科料を受けるあるいは被害者と和解し、起訴猶予となるのも選択の一つであることは言うまでもない。 私の大学(武蔵工業大学)の附属中学、附属高校を卒業され立教大学卒業後、映画監督となった周防正行氏が制作した「それでもボクはやっていない」という映画はまさに、痴漢行為をしていない男性が逮捕、起訴され裁判に掛けられてゆく顛末を描いたものだ。
ところで、皆さんは、この2月、こともあろうか甲南大学法学部にいた学生が交際相手の女性と組んで、痴漢をでっち上げ、通勤途中の男性から示談金をとろうとした事件を覚えているだろうか? この事件では、女性が痴漢をしていない男性を車中で痴漢呼ばわりし、その近くにいた法学部在学中の学生がしてもいない男性の目撃者となりすました。男性は逮捕され、留置場に入れられほぼ一昼夜拘束された。 その後、女性が警察に自分は痴漢被害を装ったとして申し出たため、男性の冤罪は免れた。当然のこととして、その女性は虚偽告訴罪として逮捕、起訴され有罪が確定している。 一方、痴漢のでっち上げをもちかけ、虚偽告訴などの罪にとわれた甲南大学法学部在学生(当時)の判決が大阪地裁であり、蒔田文幸被告に対し、懲役5年6月(求刑・懲役8年)の実刑を言い渡した。 私はこれほど卑劣、そして極悪非道な犯罪はないと考えている。 しかし、もし、女性が初期の段階で虚偽告訴を警察に申し出なかったら、おさだまりのように、警察、検察は無実の男性を起訴し、有罪にもちんだに違いない。まさに冤罪そのものである。
しかも、その場合、無実の男性は一貫して「やっていない」と主張するだろうから、22日の拘留にとどまらず、下手をすると公判開始までの数ヶ月、拘置される可能性もある。
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