都議選総括と一票の格差 青山貞一 掲載月日:2013年6月24日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
●都議選総括 表1に2013年6月23日に投開票された東京都議選挙の党派別の当選者、そして表2に党派別の得票数及び前回選挙との比較を示す。 表1 東京都議会議員選挙の党派別の当選者数 出典:東京都選挙管理委員会速報値 |
平成21年7月12日選挙 | 平成25年6月23日選挙 | |||||||
票 数 | 率 | 前回当選 議席 |
票 数 | 率 | 票数増減 | 率 | 今回獲得 議席 |
|
自由民主党 | 1,458,108 | 25.9% | 38 | 1,633,304 | 36.0% | 175,196 | 10.2% | 59 |
民主党 | 2,298,495 | 40.8% | 54 | 690,623 | 15.2% | -1,607,872 | -25.6% | 15 |
公明党 | 743,428 | 13.2% | 23 | 639,160 | 14.1% | -104,267 | 0.9% | 23 |
日本共産党 | 707,602 | 12.6% | 8 | 616,722 | 13.6% | -90,881 | 1.0% | 17 |
東京・生活者ネットワーク | 110,407 | 2.0% | 2 | 94,239 | 2.1% | -16,168 | 0.1% | 3 |
維新 | - | 374,109 | 8.3% | 374,109 | 8.3% | 2 | ||
みんな | - | 311,278 | 6.9% | 311,278 | 6.9% | 7 | ||
みどりの風 | - | 6,463 | 0.1% | 6,463 | 0.1% | 0 | ||
生活 | - | 9,563 | 0.2% | 9,563 | 0.2% | 0 | ||
その他 | 65,414 | 1.2% | 0 | 38,369 | 0.8% | -6,461 | 0.1% | 0 |
行革110番 | 24,058 | 0.4% | 0 | 18,470 | 0.4% | -5,588 | 0.0% | 0 |
社会民主党 | 20,084 | 0.4% | 0 | 12,948 | 0.3% | -7,136 | -0.1% | 0 |
幸福実現党 | 13,401 | 0.2% | 0 | |||||
市民ネリマ行革110番 | 7,183 | 0.1% | 0 | |||||
大統領会 | 688 | 0.0% | 0 | 421 | 0.0% | -267 | 0.0% | 0 |
東京維新の会 | - | 3,306 | 0.1% | 3,306 | 0.1% | 0 | ||
緑の党グリーンズジャパン | - | 3,224 | 0.1% | 3,224 | 0.1% | 0 | ||
無所属 | 250,869 | 4.5% | 2 | 118,450 | 2.6% | -132,419 | -1.8% | 1 |
全党派計 | 5,634,323 | 100.0% | 127 | 4,532,280 | 100.0% | -1,102,043 | 0.0% | 127 |
出典:東京都選挙管理委員会データより鷹取敦・青山貞一作成
表1と表2を見比べると、59議席を獲得した自民党は、前回選挙より17万5千票あまりを上乗せしているが、全員当選の公明党と議席が倍以上となった日本共産党は、それぞれ10万4千票、9万票ほど獲得数が減っている。 これを見るだけで、今回の選挙の投票率が約11ポイントほど前回より低かったことが、強固な組織票を持っている公明党と共産党にとって濡れ手に泡の結果であったことが分かる。すなわち10万票近くの票を減らしながらも公明党は全員当選、共産党は倍以上も議席を獲得したのである。 一方、大勝した自民党は、前回選挙に比べ17万5千票多く獲得しただけで、なんと1.55倍の59議席を獲得しているのである。 凋落が著しい民主党は、前回の1/3以下の69万票となったが、約64万票の公明党が23議席獲得、61万6千票の共産党が17議席を獲得していいるのに、15議席しか獲得でず、都議会第一党から第四党に急転直下落下した。 小政党を見ると、今回都議会議員選挙初めての挑戦となったみんなの党が約31万票で7議席取ったが、37万4千票を獲得した日本維新の会は、わずか2議席にとどまった。これは、多くの選挙区に候補を立てた維新の会と、選挙区を厳選したみんなの党の違いが如実に現れた格好である。 維新の会は、東京・生活者ネットワークが11万票あまりで3議席を獲得したのに対し、37万4千票で2議席となっていることからも、明らかである。 こう見てくると、国政で昨年末、大勝した自民党が追い風を生かし、少ない票数(163万票あまり)で59議席を獲得している。全得票に対する自民党票の割合は36%あるが、全有権者に対する割合は、わずか15%に過ぎないことが分かった。 また投票率が前回より11ポイント低いことで、創価学会というがっちりとした組織票をもっている公明党、また日本共産党がそれぞれ10万票近く減らしながら、全員当選(公明党)、倍以上(共産党)を果たしたことになる。 さらにみんなの党は選挙区を厳選したことで手堅く議席を得たと言えよう。 以上、今回の都議選は、前回より11ポイント低い投票率が組織を持たない政党や弱小政党にとって非常に厳しいものとなったことが分かる。 ●都議選における一票の格差 ところで、調べていたら表3にあるように、人口が多く有権者数も多い練馬区が、人口が少なく有権者数も少ない大田区より、定義席数が2議席少ないことが分かった。 そこで人口が多い世田谷区、練馬区、大田区、足立区、江戸川区の有権者数と議席数を調べ、1議席あたりの有権者数を計算したら表3のようになった。 表3 1議席あたりの有権者数 人口 有権者数 議席数 1議席あたりの有権者数 1 世田谷区 887,876 721,328 8 90,166 2 練馬区 717,752 580,915 6 96,819 3 大田区 697,933 578,630 8 72,329 4 足立区 685,601 539,399 6 89,900 5 江戸川区 673,428 530,678 5 106,136 注)人口は平成25年4月1日現在の値 有権者数(選挙人名簿登録者数)は平成25年6月13日 すると、やはり大田区が1議席あたりの有権者数が72,329人であるのに対し、練馬区は1議席あたりの有権者数が96,819人と1.34倍となった。 また、江戸川区は1議席当たりの有権者数が106,136人なので、大田区との格差 は1.477倍以上である。 いずれも格差が2倍内と言えば2倍以内ではあるが、明らかに不公平となっていることが分かった。 今回は人口の多い5区だけについてチェックしてみたので、他の区、市でどうかはわからないが、上記の格差は、いわばお隣同士の関係にある有権者にしてみると明らかに不公平さを感ずるに値するものであろう。 |