立候補を金銭的に制約する 公職選挙の供託金 青山貞一 掲載月日:2013年6月26日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
皆さんはご存じかどうか分からないが、参議院選の供託金は、選挙区の場合には300万円。比例代表区の場合には名簿搭載者数×600万円なので10名名簿に記載した場合には6000万円の供託金が必要となる。 選挙区の場合には有効投票総数÷議員定数の商の8分の1を超えると供託金が 返還される。比例代表区の場合には比例区議席割り当て数(当選者数)×2×600万円が返還される(つまり名簿搭載者数の半分当選すれば全額返還される)。 たとえば、緑の党の場合、前身のみどりのテーブルの時代に候補者(川田龍平氏)を東京選挙区(定数5)から一人立て(無所属として立候補)、会員、一般等からひろくカンパを集め300万円を供託した。候補者に知名度があったことから、なんとか最下位当選(683,629票)を果たした。(次点は自民党の保坂三蔵 651,484票であった) 今回、緑の党は比例代表区に10名の候補者※を立てるので、600万円×10名=6000万円の供託金が必要となる。これとは別に選挙費用がかかるため、緑の党は1億円のカンパを目標としている。 ※比例代表選出選挙に立候補する政党・政治団体は以下のいずれかの規定を満たす必要がある。しかしひとりも当選しなかったら6000万円は没収される。それ以前に6000万円集められなかったら、立候補さえできず、集めたカンパは宙に浮いてしまう。 ちなみに、今回改選になる参議院議員の前回の比例代表区では、新党日本が1 77万票で1議席を得ているが、これは田中康夫氏であり、長野県知事からの転出であり、知名度抜群だった。その後、2009年秋、田中氏は衆議院議員選挙に鞍替え出馬し当選したが、その後、落選している。 下は日本の公職選挙と世界各国におけるにおける供託金の金額である。 ◆日本の公職選挙における供託金の金額 衆院選(小選挙区)…300万円 衆院選(比例代表区)… 名簿単独登載者数×600万円+重複立候補者数×300万円 参院選(選挙区)…300万円 参院選(比例代表区)…名簿登載者数×600万円 都道府県知事選挙 …300万円 政令指定都市の市長選挙 …240万円 その他の市区長選挙 …100万円 町村長選挙 …50万円 都道府県議会議員選挙 …60万円 政令指定都市の市議会議員選挙 … 50万円 その他の市区議会議員選挙 …30万円 町村議会議員選挙 …(供託金は不要) ◆世界各国の国政選挙における供託金の金額 イギリス …約9万円 カナダ …約7万円 韓国 …約150万円 シンガポール …約79万円 オーストラリア(上院)…約2万5千円 オーストラリア(下院)…約5万円 インド …約2万5千円 マレーシア …約90万円 ニュージーランド …約1万5千円 アイルランド …約5万5千円 アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアなどには選挙の供託金制度がない。 フランスは約2万円の供託金に対しても国民が批判、1995年に廃止している。 見て分かるように、日本の国政選挙の供託金は非常に高額であり、結果的に供託金が立候補を制約していることになる。 既成政党には政党助成金などがあり、大政党には加えて銀行などからの借り入れが可能だが、弱小政党、市民政党の場合、とくに初回はすべて自腹以外にないことになる。 |