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行政刷新会議の事業仕分けで、昨日(11月13日)今日、地方交付税交付金の分野が対象となりました。以下がグーグルなどで検索した場合の地方交付税交付金の一般的解説です。 <地方交付税交付金の一般的解説> 地方交付税交付金とは、地方公共団体の税収入の不足をカバーし、あわせて十分な行政サービスを実施するためや地方団体間の財源の格差を調整するために国から配分される交付金のこと。国税の五税(所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税)の一部分を地方公共団体のための税収入として国が徴収し、地方自治体の実情に応じて再分配するので、地方自治体が予算面で中央へ依存してしまうという弊害もある。地方自治体が国が地方自治体に補填する税金のこと。複雑な算定方法や、9割の自治体が受け取っていることの批判から、2004年度からの国から地方への税源の移譲、補助金・地方交付税の削減を同時に進める「三位一体の改革」を推進。地方自治体の財政的な自立を促し、行政のスリム化を目指す。地方自治体が国が地方自治体に補填する税金のこと。 上記では実態がまったく分かりませんので、以下、廃棄物の焼却施設を事例に解説します。これは大学で3年生対象に行っている公共政策論のなかで行っているものです。 公共事業と地方交付税交付金について以下に簡単に説明します。 国庫補助を受け地方自治体が公共事業を行う場合 通常、国からの補助率は1/4(25%)、1/2(50%)があり、沖縄県では最大90%まで国庫から補助金がが出されます。 地方自治体は国庫補助分以外を一般会計から拠出すると思いきや、実は地方自治体は公債の一種であります地方債を発行してまかないます。地方債は自治体が債権を発行し、借金することです。 ところが、あにはからんや地方自治体が発行する地方債なる債権を国が地方交付税交付金を自治体に与える形で償還してあげているのです。簡単に言えば、地方の借金を国が地方交付税交付金によって面倒をみているのです。 その結果、事業総額が100億円での公共事業で、国庫補助が1/2の公共事業の場合を考えると、国が50億円地方自治体に補助することになりますが、残りについても国が地方交付税交付金として地方債分の面倒を国が見ているため、実質補助率は50%ではなく、最高で84%にも達することになります。実質的に国が84%面倒をみていることになります。 以下の図は焼却炉・溶融炉の中枢プラントへの中枢補助率が1/4(=25%)の場合の実例。 具体例として、ゴミ行政を例にとると、一基で数100億円かかる焼却炉や溶融炉などの廃棄物中間処理施設を横浜市、神戸市、千葉市などの政令指定都市や那覇市、厚木市など基礎自治体である市町村が建設する場合、地域によるが国庫補助が1/4(=25%)から1/2(=50%)出されます。さらに自治体が発行する地方債を国が地方交付税交付金で償還してあげることから、実質的には1/2補助の場合でも84%(=84億円)が補助されることになるわけです。 この場合、自治体は16%の頭金で100%の焼却炉が建設できることになるわけです。これが日本で公共事業が突出して増えた原因です。 ちなみに焼却炉、溶融炉の場合、実務は 1)焼却炉本体への補助金は環境省(もともとは厚生省)、 2)地方交付税交付金(通称特別交付金と言っている)は総務省 (もともとは自治省)、 3)ゴミ発電装置がある場合は経済産業省(元通産省資源エネ庁) が対応しています。 小泉時代以降、補助金を削減あるいは全廃するかわりに、その分を地方交付金として市町村など自治体に補助するように制度変更しました。この意味するところは、補助金より交付金の方が国から地方への使途などを指示、強制する度合いが少ないということですが、実質的には所管省庁の影響力はそれほど変わっていません。 したがって、上記の廃棄物施設の場合、補助金はなくなりすべてが地方交付税交付金となりました。建設する市町村は循環型社会形成推進交付金を受けるための計画書((大部分は需要が右肩上がりのインチキ予測の計画)を環境省に提出し審査(実質×となることはない)を受けると上記の地方交付税交付金を受けることが可能となっています。 上記は基礎自治体→国:環境省となっており、都道府県は実質手続から除外されています。私が長野県で知事の政策顧問だったとき、市町村から形式的に長野県に上がって来たとき、田中知事とこの循環型社会形成推進交付金のための計画書を環境省に半年ほ送らず抱え込んだことがあります。県議会、市町村議会が大騒ぎしていました。当然、地元住民が当該焼却炉建設に反対し、私や知事も現地視察し、さまざまな問題があったためです。おそらく全国でこんなことをした知事は田中さんだけだったでしょうが、国に対する問題提起となったことは間違いがありません。 さらに教育費のように補助金を全面交付金に変更するものもありますが、そうなると自治体ではもともと教育費だったものを公共事業費ひ振り向けるところもでてき大きな問題となっています。 <参考文献> ●青山貞一:廃棄物焼却主義の実証的研究〜財政面からのアプローチから、武蔵工業大学(現在、東京都市大学)環境情報学部紀要 |