【ニューデリー時事】
鳩山由紀夫首相は28日、懸案の米軍普天間飛行場の移設問題で現行計画の履行を求める米国の意向を尊重する姿勢を鮮明にした。県内移設に反対する社民党に配慮し、新たな移設先を模索し始めたが、反発を強める同盟国の米国を前に、方針転換を強くにじませた。
首相は今月半ばに、沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する日米合意の白紙化を米側に伝えた段階では「辺野古ではない地域を模索し、決めるという状況を何としてもつくり上げていきたい」と新たな移設先の選定に強い意欲を示していた。
しかし、こうした鳩山政権に対し、米国は一層反発。クリントン米国務長官が藤崎一郎駐米大使を呼び出し、現行計画の早期履行を迫った。与党内からも日米同盟関係の悪化を懸念する声が上がった。
普天間問題で首相は当初、明確な方針を示さず、混乱を招いた。2010年度予算編成でも指導力を発揮できず、自身の「政治とカネ」にまつわる問題で世論の批判を受けた。こうしたことが、内閣支持率の低下につながっているとの見方が与党内では支配的だ。
首相は来年5月をめどに、移設先の最終結論をまとめる考えだが、社民党が現行案を拒否するのは明白で、政府・与党内の協議は難航必至だ。「米国の意向を無視した与党合意はあり得ない」とまで言い切った首相の指導力が今後、問われることになる。(2009/12/29-00:41)
黄色付けは筆者