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ここでは、小沢氏(あるいは陸山会)側が購入した土地と建物が政治資金収支報告書のなかでは、一体何の支出項目となっているのかについて言及したい。 ●政治資金規正法における支出項目 最初に政治資金規正法における支出項目を示す。 支出項目は大別して「経常経費」と「政治活動費」の2つがある。「経常経費」にはさらに、@人件費、A光熱水費、B備品・消耗品費、それにC事務所費がある。 また「政治活動費」には、@組織活動費、A選挙関係費、B機関紙誌の発行その他の事業費、C調査研究費 、D寄付・交付金 、それにEその他の経費がある。
●何年のどの支出項目で土地と建物を購入したか? 本シリーズの第三弾の「現金主義」では、土地購入代金及び宿舎建築物の建築費用は次のように書かれていた。
すなわち、上記4)では、土地購入代金及び宿舎建築物の建築費用は、陸山会の平成17年の政治資金収支報告書のなかでは、、「経常経費」の「事務所費」に相当する費目として処理されていると説明している。 もちろん、果たしてこれが事実かどうか、またその処理が正しいかどうかが問題となるが、ここでは支出項目について、収支報告書に示される既存データから解明を試みる。 本シリーズの第二弾の基礎データに掲載した下表(表1)のうち平成17年の支出勘定の「経常経費」を見ると、確かに「4億2千9百万円」(429,030)が支出されており、さらに「事務所費」として「4億1千5百万円」(415,254)が支出されていることが分かる。 表1を見ると、平成17年の「経常経費」は平成16年〜平成20年のどの年の支出額と比べても突出して多いことがわかり、平成17年の「経常経費」、そのうち「事務所経費」で、土地購入代金及び宿舎建築物の建築費用を払ったことが推定できる。事務所費は表1中、ピンク色の部分に相当する。 さらに小澤氏個人と陸山会代表の小沢氏との間で取り交わされた以下の確認書をが平成17年1月となっていることからも確認できる。 これに対し、故中川昭一氏を信奉するあるひとがブログで「小沢代表の資産管理団体である陸山会が、13カ所に合計10億2000万円相当の不動産を政治資金で買い漁っている。しかもこれらの不動産がすべて小沢代表本人の名義になっている問題です。要するに、小沢さんが自分のポケットマネーではなく、政治資金を使って蓄財しているという問題です」と書いている。 しかし、土地と建物の名義が小澤一郎(個人)となっているのは、以下の確認書で明確に理由を述べている。確認書の法的効力については疑問があるが、小澤氏自身の言い分からは、政治資金で小澤氏個人の資産をむやみに増やしているものではないことが分かる。 確認書を説明する小沢一郎幹事長 なお、上記の確認書は以下の不動産にもある。BとCが今回の直接対象物件(東京都世田谷区深沢8-28)である。 @ 仙台事務所 所在地:仙台市青葉区錦町1−3 登記日:平成15年4月30日 確認書日付:平成18年9月14日 A 盛岡事務所 所在地:盛岡市開運橋通3 売買日:平成15年3月18日 確認書日付:平成18年9月14日 B 深沢事務所・土地(476平米) 所在地:世田谷区深沢8−28 登記日:平成17年1月7日 確認書日付:平成17年1月7日 C 深沢事務所・建物 所在地:同 登記日:平成18年6月6日(池田秘書は登記が事務的に遅れたためと説明) 確認書日付:平成17年9月14日 D チュリス赤坂事務所 所在地:赤坂2−17 登記日:平成6年1月25日 確認書日付:平成7年1月25日 E 水沢事務所 所在地:岩手県奥州市水沢区袋町6 登記日:平成11年11月30日 確認書日付:平成18年9月14日 F 政策事務所 所在地:赤坂2−17 登記日:平成6年2月22日 確認書日付:平成6年12月22日 G 赤坂事務所B 所在地:赤坂2−8 登記日:平成13年1月18日 確認書日付:平成18年9月14日 H 赤坂事務所A 所在地:赤坂6−1306 登記日:平成11年3月4日 確認書日付:平成18年9月14日 I 元赤坂事務所駐車場 所在地:元赤坂1−7 登記日:平成6年11月24日 確認書日付:平成6年11月25日 J 保管事務所(資料と機材の保管用) 所在地:赤坂2−14 登記日:平成6年12月22日 確認書日付:平成6年12月22日 K 南青山事務所 所在地:南青山2−2 登記日:平成13年12月22日 確認書日付:平成18年9月14日 L 元赤坂事務所 所在地:元赤坂1−7 登記日:平成6年11月24日 確認書日付:平成6年11月25日 上記の確認書の出典:http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/121253/ つまり、これは陸山会が小沢氏個人あるいは銀行から借入した4億円及びその返済金とは別に、土地購入代金及び宿舎建築物の建築費用のために「経常経費」の「事務所経費」として支出されたものと推察できる。事務所費は表1中、ピンク色の部分に相当する。 |
平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | |
2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | |
収入 | 379,048 | 580,024 | 339,099 | 151,609 | 103,854 | 163,035 |
寄付金 | 320,285 | 177,143 | 334,386 | 128,981 | 86,504 | 52,590 |
(うち政治団体) | 307,146 | 157,100 | 309,060 | 111,640 | 70,000 | 37,020 |
借入 | 56,500 | 400,000 | 0 | 0 | 0 | 0 |
*一新会からの寄付 | 0 | 0 | 0 | 17,023 | 0 | 0 |
その他 | 2,262 | 2,880 | 4,713 | 5,605 | 17,350 | 110,445 |
支出 | 387,627 | 121,202 | 679,964 | 342,414 | 115,060 | 170,6164 |
経常経費 | 111,253 | 44,766 | 429,030 | 74,123 | 56,182 | 36,094 |
(うち事務所費) | 99,119 | 38,355 | 415,254 | 58,351 | 46,505 | 26,085 |
政治活動費 | 276,373 | 76,436 | 250,933 | 268,290 | 58,878 | 134,522 |
差引 | -8,580 | 458,821 | -340,865 | -190,805 | -11,207 | -7,582 |
前年繰越 | 159,808 | 151,229 | 610,051 | 269,186 | 78,382 | 67,176 |
次年繰越 | 151,229 | 610,051 | 269,186 | 78,382 | 67,176 | 59,594 |
上記を表に書き込むと以下のようになるものと思われる。 |
このように、平成19年8月6日以前にあっては、たとえ高額であっても、当時は土地と建物を政治資金規正法の範囲内で購入することが許されていたことになる。
これも株式会社の会計からすると信じがたいことではあるが、経常経費については報告内容及び領収書の添付の必要性がないことになる。 |