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日本の年金は、その制度、実態ともに非常に複雑、怪奇だ。全体像を理解し請求し年金を受給するのは容易ではない。 しかも、公的、私的を問わず年金はすべて<請求主義>、すなわち複雑で官僚主義の典型のような手続を経て、請求し、裁定されない限り65歳を過ぎても一円も年金を受け取ることはできない。 長妻昭大臣らの決死の努力もあり、自民党政権時代に比べればはるかに改善されてきたとは言え、継ぎ足し継ぎ足しで出来た日本の年金制度の制度と実態を理解し、実務に対応するためにはそれなりの知識と忍耐、努力が必要だ(笑い)。 事実、<請求主義>の根幹をなす年金請求の手続が結構、面倒なのだ。しかも、年齢が来てもボーと請求をしないと受給期限が切れ、もらえるものももらえなくなる。年金の受給権は、権利が発生した日から5年で時効になるからだ。 たとえば、特別支給の老齢厚生年金を60歳から受給できる人が67歳まで請求しないで放置した場合どうなるか? 最初の2年分の年金についての権利は、時効で消滅する。実務の専門家に聞くと、実際、特別支給の老齢厚生年金をもらい損ねたひとも多いという。もちろん、上記の場合でも時効になる前の最近5年分の年金は、これから請求しても受給することができる。 世界に名だたる「日本の官僚機構」の上に成り立つ、この悪名高い年金制度、社会保険庁から日本年金機構に組織替えしたものの、まだまだ抱える課題は多い。 40年近く永年ケナゲに働いてきた日本人が知らずしてもらい損ねることだけは避けたいものだ。 本論考では、筆者が体験し、調査したことをもとに、できるだけ分かりやすく、年金の種類と請求手続き、請求に必要な必要書類について述べたい。 参考にしていただければ幸甚である。 1.年金の種類 日本の年金には大きく分け<公的年金>と<私的年金>がある。通称一階部分、二階部分が<公的年金>、三階部分が<私的年金>であり3種の年金制度がある。まずは以下にその概略を示す。 1−1 通称、1階部分(公的年金、国民年金、養老基礎年金) 日本国民に最低限の保障を行うのが国民年金だ。通称一階部分であり養老基礎年金、略して基礎年金という。保険料は定額である。
この国民年金の支給額は、後述するように、65歳から受給する場合、年額792,100円(月当たり約66,000円)である。ただし、60歳から64歳の間から受給できる繰り上げ支給、また66歳以降から受給する繰り下げ支給の制度もある。 1−2 通称、2階部分(公的年金、養老厚生年金) 現役時代の収入に比例した年金を支給するのが通称、2階部分の養老厚生年金、共済年金(保険料は収入の一定割合)である。
この(養老)厚生年金は、(養老)基礎年金に上乗せされ支払われる。支払額は現役時代の収入に比例した年金が支給われる。 この2階部分の厚生年金は、通常65歳から支払われるが、一定条件下で60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。これについては4−1の後段に詳述しているので参照いただきたい。 また厚生年金に加盟したひとが、後に私立学校教職員共済(通称、私学共済)に加盟した場合には、2階部分の厚生年金に加えて3階部分の職域年金部分が支払われる。 1−3 通称、3階部分(私的年金、企業年金)
事実、私自身、この企業年金について知ったのは、会社を辞めて24年も経ってからで、当時の同僚から「請求していなければ、一度問い合わせた方がよい」と言われ、連絡し、62歳の時に企業年金(厚生年金基金)に電話連絡し、請求用紙を送ってもらい、数ヶ月後に私的年金をもらうことが出来た。 ちなみに調べたら、私の場合、支給開始年齢及び期間は別とし、@1階部分の公的年金である国民年金、A2階部分の公的年金である厚生年金、B3階部分の私学共済年金、それに後述するC3階部分の企業年金(厚生年金基金)の4種を受給できることが分かった!! 2.年金の種類とその図式化 以上、1−1から1−3を図にすると以下のようになる。ただし、加入者は平成13年3月時点の数である。 図より明らかなように、1−1(1階部分)の国民年金は対象者数が7000万人を超えているように、国民悉皆加入を原則としている。一方、1−2(2階部分)の厚生年金、共済年金などは4000万人弱である。さらに1−3(三階部分)の企業年金は2000から2500万人となっている。 このように、ひとくちで年金と言っても、3種類すべてに加盟している人と、国民年金だけのひとなど、ひとによって加入する年金の種類と数は異なる。ただし、最も基礎となる1階部分の国民年金(養老基礎年金)は、原則的に一定年齢に達した日本国民全体が係わる年金である。 年金の種類と相互関係図 参考年金パーフェクトガイド2004、第1回 年金の仕組みを知ろう!〜年金の仕組みと特徴〜 |
資料:社会保険庁「事業月報」(平成13年3月)、厚生年金基金連合会「厚生年金基金事業年報」
(注) 「国民年金基金」、「共済年金制度」の加入員数は、厚生労働省調べ、
適格退職年金の加入員数は、信託協会調べによる。
3.年金請求上のポイント 3−2 繰上げ支給額 と 繰下げ支給額(モデル) 年金は原則として65歳からもらうことになるが、上述のように希望すれば60歳からもらう事が出来る。ただし、64歳以前からもらう場合は65歳の額から一定の率で減額され、また、66歳以後にもらう場合には、受給額が増額される。
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昭和16年4月2日以後生まれの人の支給率は月単位で計算されます。 ・一生減額された年金を受けることになります。65歳になっても年金額は引き上げられません。
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