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共産党議員と元産経記者が
くしくも同じ論調となった
「朝まで生テレビ」


青山貞一
30 Jan. 2010
独立系メディア「今日のコラム」

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 テレビ朝日の「朝まで生テレビ」

 これは、いつものことだが、司会の田原総一郎氏の強引な引き回しと、ご自身が考えるシナリオと結論に強引にパネルを誘導するやり方にうんざりしてする。

 そんなこともあって、最近は「朝まで生テレビ」や「サンデープロジェクト」はトントみていなかった。

 司会者問題とともに、この種のテレビの討論番組は、パネリストの人選によって議論の行方が討議の前から大方推察でき、面白くもない。とくに軽薄なジャーナリストや表層的な評論家は最悪だ。

 さらに言えば、無理矢理に視聴率を確保しようとするため、敢えて超エキセントリックなことを言ったり超穿った見方をする御仁をパネリストに入れたりする。

 ところで、1月30日午前1時30分からのテレビ朝日の「朝まで生テレビ」は、小沢氏の政治資金規正法問題、土地建物問題、水谷建設問題を、個別具体のレベルで徹底討議する(田原氏)と名を打っていただけあり、なかなか聞き応えがあった。

 ただ私は朝まで生テレビは、ベッドに入りながら聞いているので、途中で寝てしまうことが常となっている。今回も4時過ぎからの討議はほとんど覚えていない(笑い)。

 具体的な人選は以下の通りである。

司会: 田原 総一朗
進行: 長野 智子・渡辺 宜嗣(テレビ朝日アナウンサー)
パネリスト: 細野豪志(民主党、衆議院議員、党副幹事長)
辻惠(民主党・衆議院議員、弁護士)
平沢勝栄(自民党・衆議院議員、元警察官僚)
穀田恵二(日本共産党・衆議院議員、党国会対策委員長)

青木理(ジャーナリスト、元共同通信記者)
大谷昭宏(ジャーナリスト、元読売新聞大阪本社記者)
郷原信郎(名城大学教授、元東京地検検事)
小林節(慶応大学教授、弁護士)
高井康行(弁護士、元東京高検検事)
平野貞夫(元参議院議員)
山際澄夫(ジャーナリスト、元産経新聞記者)
若狭勝(弁護士、元東京地検特捜部副部長)

 今回の「朝まで生」開催の大きな目的、趣旨は、以下の通りであった(青山私見)。

@憲法に謳われている「推定無罪」、すなわち刑事事件に関しては、最終的に最高裁で判決が出るまでは無罪であるということがどこまで守られているかという問題、

A検察内部の実態、とくに「風を吹かす」ことで大メディアを援軍に情報操作による世論誘導で大犯罪人をつくりだす検察手法の実態、

B大メディアの思いこみ、予断報道によって小沢幹事長が必要以上に犯罪人、大悪者と扱われているかについての問題、

C政権交代で小沢幹事長が中心となり、政治主導を具体化したことに霞ヶ関官僚の一部である検察が組織保身を含め焦燥感で小沢潰しに動いているのではないかという問題、

D政治資金規正法の制定趣旨とその解釈、運用の実態を過去捜査に係わってきた検察庁OBならを含め検証すること、

E虚偽発言などで有罪判決され現在刑務所に収監されている水谷会長の5000万円×2証言(?)に端を発したを根拠とした地検の捜査シナリオの信憑性、

Fその水谷建設関連証言は、元福島県知事の佐藤氏のいわゆる冤罪モドキ事件の捜査に係わった地検関係者が得たものであること、

G日本の立法、行政、司法のなかで、まったく情報公開、説明責任がない検察庁の捜査シナリオ、捜査の問題点


などが討議のテーマであったと思う。

 ところで、1月30日深夜の「朝まで生」を視聴していた方は、おそらく同じ印象を持ったと思うが、日本共産党の穀田議員と元産経新聞でジャーナリストの山際氏の2人は、上記の開催趣旨をまったく理解せず、結果的にせっかくの討論を妨害していたと言っても過言ではない。

 その意味からすると日本共産党の穀田議員と元産経新聞でジャーナリストの山際氏の2人を除けば、妥当な人選であったと思う。

 以下、2名の言動について私見を述べる・

 穀田議員と山際氏の2名は、いずれも討論番組の趣旨を理解せず、事実認識より価値判断(またはイデオロギー)を優先し、終始、絶叫しており、まさに聞くに耐えないもので、その発言には本当にうんざりした。

 周知のように、この2人が所属している(していた)組織、すなわち日本共産党と産経新聞社は、55年体制の遺物のような組織であり、思想、イデオロギーが180度異なるものの、その実、精神構造、価値観はほとんど同じである。今回の討論でもそれが今更ながらいやと言うほど分かった次第である。

 共通していると言えば、この2人はともに「新聞あかはた」と「産経新聞」””新聞””メディアに係わっていることだ。自分たちでまさに「世論を煽り立て」、そこで顕示した事実が真実であるかのごとく声高に絶叫している。

 もちろん、これは何も「あかはた」と「産経」だけでなく、読売新聞、朝日新聞なども同じパターンである! 

 すなわち、自分たちで連日連夜煽り立て記事を一面などで報道し続け、その後に、まことしやかな「世論調査」をしている。まさにマッチポンプ以外のなにものでもないのではないだろうか。到底、「社会の木鐸」などとは言えない存在である。

 今の日本の大メディアは、自分たちが情報操作による世論誘導の先兵となっていることを自覚すべきだ。これは一切の情報公開が無く説明責任が義務づけられていない検察と、記者クラブに象徴される横並びのギルド的談合組織、記者クラブの存在が情報操作による世論誘導のインフラとなっている。

 討論では、たとえば、討論番組の中で、穀田議員と山際市が声高、いや絶叫していたのは、「世論」である。

 国民、世論の70%以上が...小沢氏を...と見ている、と言うものである。

 だが、穀田議員と山際氏が依拠するその「世論」そのものが、大メディアの一方的な報道により形成されているという重要な事実が彼らには無視されているのだ。

 さらに、世論形成のもととなっている昨今の大メディアの報道が、国民から何ら選ばれていない、権力化した検察の予断的な思惑、シナリオによって誘導されているという重要な「事実」も彼らにはまったく理解、認識されていないのだ。

 その意味からして上記2名をパネリストに入れたことは、明らかにミスキャストであり、せっかくの事実や事実認識に基づく検証という討論時間のおそらく1/3が彼らの的はずれな絶叫によって浪費されたのは至極残念であった。

 とりわけ、山際氏は各種ネットにおいても「(山際氏が発言すると)スタジオの空気が変わって、みんなうんざりしたような表情になる」と論評されているように、予断、自分の価値判断で事実なり真実に依拠しない感情論のオンパレードであり、到底、聞くに耐えない。これは、まさに産経新聞系の論調そのものではないだろうか?

 ひるがえって、日本人は「識者」「評論家」「専門家」と言われる人たちの多くが、ともすれば「事実認識」と「価値判断」をない交ぜにしている。また事件上の配慮に著しく乏しいという特徴がある。

 上記2名の状況と無関係な絶叫を除けば、今回の「朝生」は、妥当な人選であり、なかなか聞き応えがあった。