原子力防災計画編の 総則・災害事前対策の概要 (ニセコ町 平成25年3月版) 青山貞一 東京都市大学名誉教授・環境総合研究所顧問 掲載月日:2013年7月19日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
ここで、自治体が策定する地域防災計画の一部としての原子力災害計画における基礎自治体計画の一例として北海道ニセコ町の原子力防災計画(案)の概要を示す。 なお、ニセコ町の原子力防災計画の「退避等措置計画編」は、2013年秋をめどに現在、策定中である。またニセコ町独自の対策などについては青の太字で示している。 3. 計画の各節の概要 3−1 「第1章 総則」の各節の概要 3−1 全体のPDF 第1節 計画の目的 災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力事業者となる北海道電力株式会社が設置する原子力発電所における放射性物質又は放射線が異常な水準で事業所外へ放出されることにより生ずる原子力災害の防災対策に関し、ニセコ町、北海道、指定地方行政機関、指定公共機関、指定地方公共機関等の防災関係機関が必要な体制を確立するとともに、防災に関してとるべき措置を定め、総合的かつ計画的な原子力防災事務又は業務の遂行により、ニセコ町民及び一時滞在者の生命、身体及び財産を原子力災害から保護することを目的とする。 第2節 計画の性格 国の「防災基本計画(原子力災害対策編)」及び「北海道地域防災計画(原子力防災計画編)」、原子力規制委員会が定める「原子力災害対策指針」に基づいて作成した。災対法第 42 条の規定に基づき、毎年検討を加え、国の防災基本計画等の変更等により修正の必要があると認められる場合にはこれを修正する。各防災関係機関に対し、計画の周知徹底を図るとともに、災害情報共有方法や避難場所等、特に必要があると認められるものについては、住民等への周知を図る。 第3節 計画の基本方針 ....ニセコ町独自の節! 災害後の行政機能確保、住民自治確保、地域特性及び科学的な見地からの避難、災害情報の共有、住民等への原子力防災に関する知識の普及啓発、防災業務関係者に対する教育訓練、資機材の整備、通報連絡等の必要な体制をあらかじめ確立する。 緊急時において、迅速かつ的確な応急対策活動が実施できるよう防災関係機関相互の協力体制を確立するなど 第4節 原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の範囲 原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の範囲は、原子力災害対策指針により、泊発電所を中心として、半径5キロメートル以内の即時避難区域(PAZ)と、半径30 キロメートル以内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)とされている。 本町においては 本町においては泊発電所から半径 30 キロメートル圏内外を含めた町全域を「原子力災害対策を重点的に実施すべき区域」とする。 ....ニセコ町独自! ニセコ町における「原子力災害対策 原子力災害対策 原子力災害対策を重点的に実施すべき区域」の考え方 ・ 原子力災害対策指針の規定を遵守する。 → 原子力施設から概ね半径 30kmを目安に、地域に固有の自然的、社会的周辺状況について検討した上で定める。 ・ 平成 23 年 3 月 11 日の福島原子力発電所事故の教訓や独自の放射線等拡散シミュレーション (....ニセコ町独自)を参考とした結果、泊発電所から半径 30 キロメートル圏内外を含めた町全域を「原子力災害対策を重点的に実施すべき区域」とした。 第5節 原子力災害に至らない事故への対応 原子力災害に至らない事故についても、住民等の不安や動揺を招かないよう、道及び原子力防災専門官と連携し、事故の状況を踏まえ、住民等へ適時適切に情報提供を行うなどの必要な措置を講ずる。 第6節 防災関係機関等の処理すべき事務又は業務の大綱 原子力防災に関して、各防災関係機関が処理すべき事務又は業務の大綱 3−2. 「第2章 原子力災害事前対策」の各節の概要 3−2 全体のPDF 第1節 基本方針 ・ 災対法及び原災法に基づき実施する予防体制の整備及び原子力災害の事前対策 第2節 泊発電所における予防措置等の責務 ・ 原子力事業者の泊発電所の運転に際して安全確保 ・ 原子力事業者の泊発電所における原子力防災体制の確立 第3節 原子力防災体制等の整備 ・ 原災法に基づく立入調査の同行の実施 ・ 事故時、道や原子力防災専門官等と連携した対応措置体制の整備 ・ 広域にわたる応援協力体制の整備 ・ 事態の長期化に備えた職員の動員体制の整備 ・ 大規模災害により、必要な人員及び防災資機材が不足を想定し、人材及び防災資機材の確保等において、各防災関係機関と相互の連携 第4節 避難収容活動体制の整備 ....ニセコ町独自の節! ・ 町内全域を対象とした退避等措置計画編の作成 ・情報共有と住民参加を基本とし、、、、地形や雪などの地域特性を考慮 ・PAZの円滑な避難が実施できるよう配慮、避難先は原則UPZ外 ・災害時要援護者関連施設の避難対策が迅速かつ円滑に実施できるよう体制整備 ・計画の策定は、、、、 独自の放射線等拡散シミュレーションも参考 ....ニセコ町独自! ・ 避難マニュアルやしおりを作成 ・ 避難の長期化を想定して、旅館又はホテル等も避難場所として活用 ・ 仮設住宅の建設に向けた供給体制の整備 ・ 避難誘導用資機材、移送用資機材・車両等の整備 第5節 通信連絡体制の整備 ・ 町、道等の通信連絡体制の整備 ・ 住民等に対する情報伝達体制の整備 (11 貢「住民等に対する広報及び指示伝達系統図」参照) 第6節 緊急時モニタリング体制の整備 ・ モニタリング要員の派遣等の体制を整備 ・ 緊急時モニタリング実施に必要な知識の習得 第7節 緊急被ばく 医療活動体制等の整備 ・ 医療関係者等の参加・連携による体制の整備 第8節 防災資機材の整備 ・ 応急対策活動に従事する職員等の安全を確保するための防災資機材の整備 第9節 防災対策資料の整備 ・ 防災対策上必要とされる資料を適切に整備、オフサイトセンターにも備え付け、定期的に更新(資料は泊発電所・社会的環境・自然的環境に関する内容) 第10節 行政機関の業務継続計画の策定 ・ 業務継続計画の策定等により、業務継続性の確保 ・ 体制の見直し、計画の評価・検証等を踏まえた改訂 第11節 原子力防災等に関する住民等への知識の普及と啓発 ・ 講習会等の実施、パンフレット等の配布など様々な手段を活用した啓発 ・ 防災教育の実施 第12節 防災業務関係者の人材育成 ・ 原子力防災に関する研修の積極的な活用を通じた人材育成 第13節 原子力防災訓練の実施 ・ 原子力防災に関する防災体制の確立と防災業務関係者の防災技術の向上 ・ 訓練計画を策定し、計画的に実施 ・ 国の総合的な原子力防災訓練への参画 第14節 泊発電所上空の飛行規制 ・ 災害の状況に応じて一定空域の飛行制限等を実施 つづく |