治水、利水などあらゆる意味でムダな土木公共事業の典型となっている群馬県吾妻町と東吾妻町にまたがって建設されているのが八ッ場ダムだ。
当初予算の2倍を遙かに超える4600億円の予算がすでに道路、橋梁、トンネル事業などに消えているが、ダム本体工事には入れていない。
この八ッ場ダム事業には、地元群馬県だけでなく、下流域、また利水予定自治体として、栃木県、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都が、まさにキャッチバー(橋下大阪府知事)のごとくやらずブッタクリでカネを国土交通省からとられている。
にも係わらず、これら都県の知事は、永年唯々諾々と数10億円から1000億円近くの直轄負担金とやらをとられてきた。
さすがにオンブズマンは黙っていない。
すでに群馬、栃木県、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都の6都県を地方自治法の住民訴訟制度(第四号訴訟)、すなわち公金の不正、不当な支出として訴えており、今までに東京都、茨城県などで住民側敗訴の判決が出ている。
民主「八ッ場ダム中止」公約、関係知事反発
国が群馬県長野原町で建設計画を進めている八ッ場(やんば)ダムについて、民主党が次期衆院選の政権公約(マニフェスト)で、中止を掲げたことを巡り、関係する都県の知事から反発の声が相次いでいる。 八ッ場ダム事業では、事業費4600億円のうち、同県や水の供給などを受ける5都県が約10億〜約950億円を負担。2015年度の完成を目指し、今秋、本体工事が始まる。 民主党が政権公約を発表した翌日の7月28日には、上田清司・埼玉県知事が定例記者会見で、「極めて無責任」と強く批判。 水没予定地区住民の移転地造成やJR線の付け替え工事が進む群馬県の大沢正明知事も30日、前橋市内で開かれた自民党の立候補予定者の選対会議で、「地元の知事の話を一度も聞かずに中止と載せた」と反発した。 また、東京都の石原慎太郎知事も31日の定例記者会見で、世界的な異常気象で予期せぬ渇水に備える必要があり、関連事業も進んでいるとして、「かなりの巨費を投じて進行中の工事を止めるというのは、結果として大きな無駄にしかならない」と述べた。 この日は、千葉県の森田健作知事がダム本体工事予定地や住民の移転代替地などを視察。「千葉にとっても治水・利水の面で(八ッ場ダムは)大変重要。鳩山代表も政権を取ったら、現実的に考えるのではないか」と語った。 八ッ場ダムを巡っては、市民団体のメンバーらが6都県の知事らを相手取り、事業負担金の支出は違法として支出差し止めなどを求めた訴訟で、東京地裁など3地裁は5、6月、災害軽減などダムの役割を認めるなどして、原告側の訴えを 退ける判決を出している。 (2009年7月31日20時27分 読売新聞) |